almost everyday.

its a matter of taste, yeah

たまには総括みたいなことでも

これまでずっと、生まれて生きて30年。ていうのはなかなかにきりのいい数字だと思うわけです。ので、これまでお世話になったものへの感謝の気持ちのひとつも書いておこうかしら。と思い立ち、ずっと長いこと聴き続けてわたしの血となり肉となった、いいや下手すりゃ骨とか歯にまでなったかもしれない曲をひたすら列挙することにしました。というわけで30曲。書き始めたら異様に長くなってしまったのでさすがにたたみます。以下、完全に自分用の記録として。

  • The LOCO-MOTION / LITTLE EVA

B.O. Little Eva62年リリース、聴いたのはたぶん9歳か10歳。姉が学校の課題(たぶん創作ダンスか何か)で使っていたのを聴いて、たちまち好きになりました。よくよく考えてみるとこのときわたしが聴いていたのはカイリー・ミノーグによるカバーのほうだったのかもしれませんが*1それでも、なんとなく本家のほうが好きです。その最もたる理由のひとつは、真夜中の通販番組で「ベストヒットオールディーズ」みたいな感じのCDが紹介されてるときによく流れるから、かもしれない。と最近になって気が付きました。テレビの音しか響かない、静まり返ったひとりの部屋にあの曲が流れると、ただそれだけで何となくほっとするんです。ひとりで夜中に聴いてても無意味に悲しくなったりしない、ほどよい陽気さがいいのでしょうか。わからないけどなんか好き。この中途半端な距離感も含めて。

  • You Can't Hurry Love / The Supremes

Ultimate Collection66年リリース、聴いたのはたぶん10歳とかそのくらい。光GENJIの大人なほうのおふたりと喜多嶋舞さんが共演してたドラマの主題歌、もしくは挿入歌だったようなおぼろげな記憶があるのだけれど、ぐぐってみてもよくわからないので*2何かの間違いという可能性も大いにあり。当時はもちろん、詞の内容どころか歌ってるひとのことすら理解できてませんでしたが、毎週必ず同じ時間になると流れるこの曲は何故だかとても大好きで、聴くたびふわふわ心が浮き立ってました。そのせいか、今でもこの曲を聴くとなんとなく条件反射でまだ小さかった頃のことを思い出します。似て非なるのにどことなく同じ匂いのするNOKKOさんverも好き。そして話は変わりますが、NOKKOさんと言えば「人魚」もだいすき。ダイアナさんもNOKKOさんも気持ちよさそうに歌うところが素敵だなあ、うらやましいなあ。と思います。

  • the easiest way to fall / Freda Payne

バンド・オブ・ゴールドたぶん70年頃リリース、聴いたのは94年。小沢健二×スチャダラパーオールナイトニッポンで流れてたのを聴いて、いっぺんで好きになりました。その日のオンエアを録音したテープは、あまりに何度も聴きすぎてぼろぼろになったほどです。それからさらに月日は流れ、就職して自由に使えるお金を手にしたばかりの頃にたまたまお店でベスト盤を見つけて即購入しました。こっちのジャンルに疎いのでこの喩えで合ってるかどうか自信はないけれど、いわゆるソウルミュージックと呼ばれる音楽のみずみずしくて甘いところがぎゅうっと詰まった「真夏の果実をもぎとるような」音じゃなかろうか。という気がします。この盤には「痛快ウキウキ通り」のネタ元*3も収録されてるよ!

  • Best Of My Love / Emotions

Best of My Love: Best of77年リリース、聴いたのは97年。あまりに有名すぎる曲なのでそれまでも幾度となく耳にしていたはずなのですが、はっきりと「これ、いい曲だなあ」って認識したのは映画「ブギー・ナイツ」を見たときが初めてだったように思います。プールに飛び込んで平泳ぎで進んでいく女の子を水中からカメラで追う、というシーンがひどく気持ちよさそうでかわいくてなおかつエロくて、話の筋などほとんど覚えちゃいないのになぜかこの場面とそのときバックで流れていた曲が忘れられないままでいるんです。それからもうひとつ、この曲はマツモトトモさんの「キス」という漫画でもあるエピソードの鍵となる通低音として登場するのですが、これがまたいい話で。優れた作品は全く別のジャンルにも影響を及ぼすものなのだなあ、という好例かと。

ヒゲとボイン(紙ジャケット仕様)91年リリース、聴いたのはその1年後くらい?わたしの場合、リアルタイムで聴けたユニコーンは「スプリングマン」のみで、それより先に出ていた旧譜はすべて友人に借りて聴きました。そりゃあもう、まさにテープが擦り切れるいきおいの聴きっぷりでした。当時の自分はいかにもティーンエイジャーらしく「おかしな二人」に代表されるポップな曲がお気に入りだったのですが、その反面で「ケダモノの嵐」の渋いリフに心を奪われたりもしており、わたしの現在のこの「何でも聴きます」的な雑食ぶりはたぶん絶対このひとたちによって形成されたんだろうな。と確信するに至っております。
そんなわけでどの音源もそれぞれすごく好きなのだけれど、アルバムではなく曲で言うならたぶんこれが現時点ではナンバーワンフェイバリット。うつくしいメロディにちっとも似合わない、やるかたなく投げやりな詞を「これしかない」と思わせてくれるあたりに、音楽の持つ力を感じさせてくれるようなそうでもないようなもやもやっとした感じがたまりません。

Jingle‐Jangle92年リリース、聴いたのは93年。これもまた友人に勧められて聴きました。当時はもっぱら、ポップでありつつ強く重たくぶっとい音の格好よさにやられてましたが、年を重ねるにつれ詞の潔さがしみこんできてるように思います。喜怒哀楽から少し離れた「フラットな気分」を湿り気なしに歌わせたら今も、このひとの右に出る者はいないのではないかしら。自分の中ではずっと同じ、いつまでたっても変わらない声で変わらない歌を歌い続けてくれる数少ない揺るがない存在のひとつです。

オン・プレジャー・ベント ~続・カラー・ミー・ポップ92年リリース、聴いたのはその2年後くらい。フリッパーズギターはリアルタイムに間に合わなくて、ふたりのソロを聴いてから遡ってこちらを聴いたという完全な後追いです。にもかかわらず、地元のCD屋で彼らのファーストアルバムを買ったらなんとそれが初回盤で、しかも当時はそれにまったく気づいておらず後年遊びに来た友人に「なんで初回で持ってんの?あんた今いくつ?」と驚かれたりしたという冗談のような本当の話もあったりして、それを思い出すたびいつも「ああ、うちの地元はやっぱり半端ない田舎だったんだなあ」と切なくもなつかしい気持ちになったりするわけです。
で、なぜフリッパーズの自分内ナンバーワンがこれなのかというと。その半端ない田舎唯一のレンタルCD店にたった1枚だけ入荷されていたフリッパーズがどういうわけか"続カラー・ミー・ポップ - on PLEASURE BENT -"で、オリジナルアルバム購入前にそればっかりを聴きすぎたためにフリッパーズといえばあのイントロ、という自分の中だけの図式がきっちり出来上がってしまったから。というやるかたない外的要因によりもたらされた結果がこれというわけです。ずいぶん後になってヘッド博士収録の"winnie〜"を聴いたときなど「なんかおとなしすぎてしょぼくね?」とまで思ったくらいですもの。ああバチあたり。それとまったく同じ理由で「クールなスパイでぶっとばせ」もライブ盤のが好きだったりします。あそこでスカパラが派手に出てきてくれないとどうもすわりが悪い、というか。

LET’S KNIFE92年リリース、聴いたのはたしか95年頃。無邪気とか純粋とかイノセンスとかいう言葉をあんまり信用してない*4自分ではありますが、「混じり気なしに素のまんま」という意味においては間違いなくイノセントだなあ。と納得させられてしまう曲です。何しろ歌い出しの歌詞が「ロケットに乗って冥王星に行きたい」で、サビが「水金地火木土天海冥」ですもの。こんな曲はどこ探しても他にはないよ、と今でもずっとそう思ってます。みんなのうたで流れてほしい曲ナンバーワン。自分の中では「はみがき」よりも。

犬は吠えるがキャラバンは進む93年リリース、聴いたのもほぼリアルタイム。エフエム仙台*5のリクエスト番組で初めてあの曲を聴いたとき、イントロのあの小さくささやかな音に、直感的に星が瞬くさまを重ね合わせてぞくぞくしたことを今もはっきり思い出せます。王子様へと覚醒した後のテンション高い小沢さんも、出す曲出す曲どれもみんな刺さりまくったシングル黄金期の小沢さんも好きだけど、ストイックにはりつめていたこの頃の小沢さんはまた別な意味で格好よかったな。と思います。

Modern Life Is Rubbish93年リリース、聴いたのは94年頃。ブラーは「パーク・ライフ」から入って、そこから遡って聴くようになりました。ドッグレースも南の島のエロスもドーヴァー海峡もフィルダニエルズも上向き前のめりで楽しかったけど、それより何よりアルバム全体に漂う「アッパーなのに影があって病んでて不穏」な空気がよかったんだと思います、いま考えてみると。そして、覚醒前夜の「モダン・ライフ〜」はその不穏さが表面張力ぎりぎりな感じに煮詰まりきっててさらにいいです。じっくり煮込んでどろどろになって、それでもさらに煮詰めてみたら何故かさらさらになった。とでも言うべき複雑な経緯を経た透明感があります。ある意味エヴァーグリーン。

Brutal Youth94年リリース、聴いたのもほぼリアルタイム。受験勉強中に聴いてた萩原健太さんとちわきまゆみさんのラジオ番組*6で初めて聴きました。みずみずしいピアノのイントロに導かれるおっさんの嗄れ声、そしてあの、冬の終わりの厚い雲を突き抜けて空のてっぺんまでいっきに届いてしまいそうに高らかなメロディ、にいっぺんで心を奪われました。なんなんだ、これ?すごいすごい。って。ここらへんをきっかけとしてぽつぽつ洋楽にも手を出しはじめたわたしは、まるでカルガモのこどもの刷り込みみたいに以後ずっとコステロさんを「耳の拠り所」的に敬いつつ聴き続けることになり、そして、それは今でも続いています。聴き手としてのわたしの中でのゴッドファーザー的存在、てやつかもしれません。

メロウ・ゴールド94年リリース、聴いたのもリアルタイム。高校に入学して地元よりも少し大きな町へ通うようになったのとほぼ時を同じくして駅前に大型CD店ができたことから、毎日のように入り浸っては気になった音源を片っ端から聴き漁ってました。これはその時期に運よく聴けた曲のひとつ。こんな音とこんなリズムとこんな声がいっしょくたに、ひとつの曲に入ってていいんだ?ってびっくりしたのを覚えてます。さんざん聴いてそれでも足りずに何度も何度も飽きるくらいリピートしたのに、それでも今でもいつ聴いたってやっぱり格好いいんです。この印象が強すぎるせいか、自分の中のベックさんのイメージは未だにここらへんのままだったりします。

  • just when you're thinkin' things over / the charlatans

ザ・シャーラタンズ95年リリース、聴いたのもほぼリアルタイム。そのころたまたま雑誌で見かけたモノクロ写真ティムさんの、とろんとした眠たげな目と半開きのやらかそうなくちびるがなんとなく忘れられなくて、試聴もせずにシングルを購入*7。したらばこれが最高の当たりだった、というわけです。この曲の中で、サビ前にさりげなくつぶやくように歌われる"it's a matter of taste, yeah(=好みの問題だからね。)"は、わたしの座右の銘みたいなものでもあります。10年以上ずうっと今でも聴き続けてる、大事な曲のひとつ。

SEASON96年リリース、聴いたのもリアルタイム。当時話題になったのはロング・シーズンのほうだったように記憶していますが、わたしは断然こちらが好きです。今でも。佐藤さんがいなくなった後の世間の評価の変化に何となく割り切れないものを感じる一方、かつての佐藤さんの「売れないように注意してる」という発言を思い出してはにやりとしたり、それでもやっぱりさびしいのは変わらないわけで。毎日聴くにはさびしすぎるけど時々ずしんと深く響いて忘れ難い、という今のこの距離がちょうどいいのかもしれません。自分にとっては。

ピンカートン96年リリース、聴いたのもリアルタイム。「人生のままならなさ」みたいなものにようやく気付きはじめた高校3年生の耳に、リヴァースさんのあの「why?」はひどく生々しい現実感を伴って突き刺さったのでした。ここで歌われる本当の恋だとかセックスだとかに悩むことはさすがにまだなかったものの(そりゃそうだろう)、その嘆きの切実さだけはほぼ完璧に共有できたつもりになって、なんだかひどく高揚したのをよく覚えてます。そのせいか、今もたまにシャッフルでたまたまこれがかかったりすると胸がどきーん!と鳴ります。条件反射ってやつでしょうか。三つ子の魂なんとやら、みたいな。

ザ・ベンズ95年リリース、聴いたのもリアルタイム。海の向こうの音楽に手を出し始めたのがもろブリットポップ隆盛期だったもので、初めて聴いたレディオヘッドは王道の「クリープ」でした。でも、より胸にぐっさり突き刺さったのは断然2枚めのこの曲。当時BSで毎週オンエアされてた渋谷陽一さんの番組で、たまたま録画したビデオクリップがすごく印象的でした。辛いことなど何もない(と思えるのはもちろん今だからなのだけれど)のにやたらと悩みがちだったハイティーン期の心にクリーンヒットしたせいで、当時のことを思い出すと今でもベンズが聴きたくなります。きっとパブロフ的な何かのせい。

Second Coming95年リリース、聴いたのもほぼリアルタイム。少し上の世代だと「ローゼズと言えば1枚め」みたいな共通認識があるように思うのですが、わたしはその1枚めの中でも特に「フールズ・ゴールド」が、さらに言うならその後の「ワン・ラヴ」が、そしてセカンドの「ベギング・ユー」が好きなんです。どファンクなのが好きなんです。そういえばフールズ・ゴールドは映画「ロック・ストック・トゥー・スモーキン・バレルズ」の終わりのいちばんおいしいところでも使われてましたね。あのラストであのタイミングであの曲が流れてきた瞬間は笑いが止まりませんでした。うまい!って。

  • Highway a Go Go / zoobombs

SUPER FUNCY of ズボンズ97年リリース、聴いたのもリアルタイム。なじみのお店でたまたま試聴機に入ってたのを聴いてみたら、1曲めからいきなりすごいどしゃめしゃ具合だったので驚いた記憶があります。何このテンション?と呆気にとられてトリコになって、それ以後ずっと今日に至るまで聴き続けてる。てことはもうだいぶ長いお付き合いなわけです。そして、今までライブを見た本数が最も多いのは、間違いなくこのひとたちです。初めて生で見たときの演奏は、音源なんかとは比べものにならない凄まじいどしゃめしゃ具合だったなあ。音がデカすぎて声がまったく聞こえない、メロディラインすらなぞれないこともザラだったなあ。そういうところをずっと見届けてきた、という自負(と言うのはさすがにおこがましいけれども)みたいなものがあるせいで余計に近しく聴き続けてるのかもしれないです。

Radiator (Bonus CD)97年リリース、聴いたのもリアルタイム。このひとたちの曲はファーストからずっと聴き続けていて、数え切れないくらいたくさんいい曲がある中で、とりわけ好きなのがこれです。彼らの母国ウェールズ語で歌われる2分足らずの短い曲で、アルバムの中ではおそらくインタールード的位置付けの小品なのですが、初めて聴いたときからずっと心に残り続けてます。理由は未だにわからない、けれども不思議な余韻が残るいい曲。身体がふわりと数センチだけ浮き上がるような、控えめな高揚感がきもちいいのです。

  • when the curtain calls for you / Jonathan Fire* Eater

Wolf' Songs for Lambs97年リリース、聴いたのもほぼリアルタイム。生まれて初めてみた海外バンドが彼らでした。しかも対バンがミッシェルガンエレファントでした。折りしもその日はひどい大雪、しかも成人式でした。さらに言うなら、てのひらに握りしめてたチケットは某音楽雑誌の読者プレゼントで運よく当てたものでした。さまざまな幸運と偶然が絡み合っているせいか、この日のことは今でも断片的に強く心に残り続けています。まるで猿のおもちゃみたいにつたなく、それでもやたら印象に残るドラムであるとか、今にも壊れてしまいそうに頼りなくも印象的な音のオルガンであるとか、まるで酩酊してるみたいによろよろしつつもどこか官能的な歌声であるとか、そういうことがひとつひとつ危ういながらもきっちり記憶に刻み込まれてるんです。こういうことが重なるってのはそうそう滅多にあるもんじゃないのだな。という当時の自分の直感はたぶん間違いじゃなかったのだと思います。

  • やさしい気持ち / CHARA

やさしい気持ち97年リリース、聴いたのもリアルタイム。資生堂のCMで流れてたのがやけに印象的だったのを覚えてます。蜂蜜がとろりと滴り落ちてくみたいに甘くメロウな歌い出しのメロディ、それに導かれるようにくっきりしたリズムを刻みはじめるパーカッション、囁くような呟くような裏声と甘いブレスに窒息しそうなサビの高揚感。どうしようもなく幸せになれたら、それを失いたくないと思えたら、こういうふうに歌えるようになれるんだろうか。と、強烈な羨ましさをおぼえました。以後ずっと、わたしの中では最強の恋する乙女ソングとして君臨し続けています。いいなあ。いいなあ!

DOUBLE BUBBLE00年リリース、聴いたのは01年頃。たまたま知人に借りたヴェルヴェット・アンダーグラウンドのトリビュート盤に収録されていた「ヘロイン」に胸を撃ち抜かれました。で、そこからオリジナルの音源を聴き始めたわけなんですが、この曲を初めて聴いたタイミングというのがちょうどこの地に移り住んだ時期と重なっておりまして。膝かっくんされるみたいにふわふわと揺れるリズム、遠いところから歌いかけられてるみたいなエフェクト具合がその時の不安定ぶり・心細さにぴったりフィットしたようで、いまだにこれを聴くとほんの少しだけ当時のことを思い出したりしなかったりします。というのはもちろん、そういうことを抜きにしても有り余る勢いでもって彼らの音にのめりこんだからなのですが。

  • Trousers / Hi-5

maximum volume00年リリース、聴いたのは01年頃。彼らの2作め"beat's come"をジャケ買いしたのが見事ど真ん中ストライクだったため、そこから遡るかたちでデビューアルバムを聴きました。いろんな音やアイディアが散りばめられてた2作めとは違い、デビューアルバムはただただ勢いのみで突っ走りましたみたいな力強さに溢れていてますます好きになりました。そのラストを飾るこの曲は、ややテンポを落としてそれでも勢いは失わず、まっすぐこちらを見据えたまんまで詞のひとつひとつをかみしめるように歌う様がとても真摯に感じられます。このひとたちはきっと、変化球よりも直球が得意なんだな。と思ったその印象は今も変わってません。そろそろ原点回帰してロッキンな音を聴かせてはくれまいか。と願い続けて早数年、先頃のライブでは久方ぶりにかつてのギターレス編成を復活させてくれたそうなのでにわかに期待が高まりつつあります。セルフタイトルのアルバムが出てからそろそろ丸4年、そろそろ覚醒してくれてもいい頃じゃないかしら?どきどき。

  • dusty turned into dust / PATE

Mo Psycho01年リリース、聴いたのは03年頃。PATEさんはいわゆるシカゴベース人脈の親交が深く、ソロ名義のファーストアルバムではシークレットトラックにゲンタさんが絡んでたり*8、トラットリアのコンピレーションでこれまたゲンタさんと組んでたり*9、といった不純な動機で聴き始めました。が、メロといい音といい声といいとにかくあらゆるポイントがツボに入って、次第にずぶずぶはまりこんでいった感があります。このソロ3作めは特に名盤。今も頻繁に聴いてます。すごくすごくきもちいい。

  • coasting / ash

Intergalactic Sonic 7リリースは02年*10、聴いたのは確か97年頃。ろくに読めもしないのにイキって買ったNMEのおまけカセットテープにデモバージョンが収録されてました。アレンジ粗いし歌いかたもモサモサしてるし、まさしくデモ。といった感じの曲なんですが、それでも何だか妙に心に残りました。それからずいぶん時がたち、リリースされたバージョンを聴いて詞を読んだときに、ようやく理由がわかったんです。彼らの詞には諦めや絶望といったダークなモチーフが頻出するけれど、この曲はさらにその先へ踏み出そうとしてる。何ていったらいいんでしょう、「諦めることを受け入れる強さ」みたいなものが静かに、でも確実に息づいてる。と強く思いました。曲の終わりで呟くように歌われる詞がとても好きです。

  • POPMENT / APARTMENT

Sparkle Bicycle03年リリース、聴いたのもほぼリアルタイム。とある知人と同じコンピレーションアルバムに収録されていたのがきっかけでした。それはすごく幸運なことだった、と思っています。枯れたようにローファイな音、感情のよみとれないフラットな歌声、にもかかわらずきらきらカラフルなメロディ。こういう曲をつくることができるのはきっと、あらゆる音楽を聴いてきたマニアックなひとなんだろうな。と直感的に思ったので、このとき彼がまだ10代と知ったときには心の底からびっくりしました。あれから5年、早熟から完熟への道のりはゆっくりと、しかし着実に進行中。

04年リリース、聴いたのは06年。ドロノフネは05年のジャズフェスでたまたま聴いた「アカウタ中華街」と「種子島」がずっと耳に残り続けてて、06年にSET YOU FREEでいわきに来たときあらためてちゃんと聴いたらまんまとトリコになりました。惚れ込んだと思ったらあっという間に解散してしまい、結局リアルタイムで聴けた時間はとても短かったのだけれど、それでもめぐり会えてよかった。と思えるバンドです。ここで挙げた「天井世界パズル」はとくに、極上の名曲。流通盤に収録されてないのがもったいなくもあり、それを知ってる自分がちょっと誇らしくもある、というアンビバレンツにやられちゃうほどいい曲です。めくるめくメロディ、ていうのはきっとこういうもののこと。*11

NO SCHOOL04年リリース、聴いたのもリアルタイム。シカゴベース活動休止後、後期メンバーで編成されたUMIBACHIはフィジカル面がより強化されて気持ちよく踊れるバンドになりました。シカゴベースの時もそうだったけど、常に一貫して寡黙というか商売っ気がないというかストイックというか、要は「音出す以外のことにあんまり興味なさそう」な態度にやきもきさせられつつも頼もしさを感じてしまったりしつつ現在に至ります。とりあえず、まずは何より、"vacillate"を音源化してください!よろしくお願いします。ほんとうに本気で。ずっと待ってるんです。はやくはやくはやく。PCじゃなくてちゃんとしたスピーカーで爆音で聴きたいんです!切に。

BPA05年リリース、聴いたのもリアルタイム。UMIBACHIと対バンだったときにたまたま見て、いっぺんでやられてしまいました。この曲は06年に500枚限定の8センチシングルとしてリリースされているのだけれど、自分はその前年に手売りされてた12センチバージョンのほうが好きです。きらきらした音がのっかる前の、生身剥き出しの音がとても良い。と思います。単にそっちを聴き込みすぎただけという気もしないではないですが。
自分はどちらかと言えば生音>エレクトロ、そして歌もの>ヒップホップを好む性質なのですが、そこらへんを踏まえるとgroup_inouは完全に守備範囲外なわけで。仮にもしライブより先に音源を聴いてたら、あるいはしっくり来なかったかもしれません。でも、そこらへんを全部すっとばして胸ぐら鷲づかみにしてくれたあたりに得体の知れない力強さを感じています。もうひとつ付け加えるなら「こういうことがあるからやっぱりライブは楽しい」と思わせてくれたことがとても嬉しいです。

リリースは06年、聴いたのもほぼリアルタイム。ただし過去の未発表音源としてコンピレーションに収録されたので、実際はたぶん01年頃の曲のはず。テルスターという名前は知っていたものの音はほとんど聴いたことがなく、たまたま聴いたコンピ盤でいっぱつKOされました。「かたちにならぬ思いなど/かたちにならぬ程度だよ/もう言い訳はしないで求めなさい」ていう歌詞がまずは何よりすばらしいです。ほんとうに、そのとおりだ。と強く強く思いました。それからもうひとつ、このひとたちの曲はベースラインがどれもとても格好いいなあと思います。アルバムはファーストが特に好き。近作では「判断を仰ぎたい」「海洋博」あたりがツボ。

*1:カイリーverのリリースは87年なので、タイミング的にもぴったり重なるんです

*2:ドラマのタイトルだけは分かりました。「ワイルドで行こう!」だそうです

*3:The Unhoocked Generation。イントロがまるっと同じなので思わずニヤリ。

*4:そうした形容も用いて何らかの対象を持てはやす時、裏表一体に存在している筈の残酷さについては見てみぬふりでやり過ごされていると感じることが多いため

*5:※当時はまだdateFMじゃなかったんです

*6:キヤノンFMワンダーランド

*7:これ、当時の自分にとってはかなりの大冒険です

*8:日暮愛葉さんがボーカルで参加してる"walk the dog"のアウトテイク

*9:Bend It!JAPAN M9. kamo feels the noize

*10:ベストアルバム"intergalactic sonic 7th"に収録

*11:動画の曲は「夜光虫」です。これまたいい曲。なのに流通盤に入ってません