almost everyday.

its a matter of taste, yeah

完全な安定がないなら完全な不安定だってないな

モンキー ビジネス 2008 Fall vol.3.5 ナイン・ストーリーズ号
こないだ買ったモンキー・ビジネスの対談を読んでいて、気になったことがひとつ。
それは「コネチカットのアンクル・ウィギリー」において、ラモーナを「無垢な子供」には収束しきれない・あるいはエロイーズを「(ラモーナから見て)まともに話もできないろくでもない大人」とは言いきれないように描いている、と論じ合っているところです。こういう話、いつかどこかで誰かがおんなじようなことを書いてた気がする。
それが誰の何の本だか思い出せずにずっともやもやしてたんですが、けさ唐突に思い出しました。松尾スズキさんでした。あれはたしか10年くらい前、BUZZの連載で似たようなことを書いてはおられなかったか。いや、書いてた。間違いなく書いてた!と、思い出せたことが嬉しくて今度はその本を探し出して読み直したくていてもたってもいられなくなり、普段の朝なら出かける支度はじめるぎりぎりまでふとんにすっぽりくるまってるところをすぱーんと起き出し、押入れの奥の本棚ひっぱりだして上から下まで舐めるようにして大捜索。結果、なんとか見つかったから良かったようなものの、これがうっかり実家で眠ってたりしたらいったいどうするつもりだったんでしょう自分。せっかく見つけ出せたので、ちょっと長くなりますが引用させていただきます。

この日本人に学びたい (知恵の森文庫)
「○○○○○のこと書いたら、突然激しい痔になっちゃったよ。もうほとんど鬱状態
天罰というものに関する「物語」は、これで充分なのである。「○○○○○のこと書いたら、痔になって、その後、首がヘルニアになって、鬱なんだ。」これでは、話がゴテゴテしすぎてテーマが読み取りにくいではないか。「へえ、何?ヘルニアって腰の病気じゃないの?」。そんな風に話題が流れたら死んだ人の立場ってものがないだろう。しかも実を言えば作為的にヘヴィな状況ばかり書いてみせたが、本当はこの間に私はある老舗の出版社の文学賞を受賞するという、結構おめでたいことも経験しているのだ。
「○○○○○のこと書いたら、痔になってヘルニアになって受賞しちゃったよ。…鬱なんだ」
これじゃ、何が言いたい奴なんだか全くわからないじゃないかないか。
(中略)
しかし、所詮リアルとはそういうことではないか。
意味ありそうで意味がない。
リアルは「ノイズ」に満ちている。
おえっ!かっこよすぎてバカみたい。
(中略)
私はノイジーなリアルを語れる作家になりたい。
おえっ!またかっこいい。

  • 光文社 知恵の森文庫 この日本人に学びたい 松尾スズキ P39〜52より引用

ひとことで言うと*1、善とか悪とか白とか黒とか、何もかもがきれいにぱっきり分けられるわけがないよね?ってことなのかな。だとしたら嬉しい、というか、心強く思う。おやすみなさい。

*1:ひとことにまとめてしまえるわけなんかないし、おこがましいにも程があるという話だけれど