almost everyday.

its a matter of taste, yeah

いつか見えなくなるもの

  • ↑これは先週、FNS歌謡祭に出演した星野源さんを見てふと思ったことなんですけども。ついさっき、彼を90年代の小沢健二さんになぞらえた論説*1を目にしたんですね。

  • 確かに。言われてみれば、約20年の時を隔てていずれも時の人となった彼らには、いくつもの共通項があるような気がしてきたんでした。
    • バンドでの活動を経てソロデビュー(フリッパーズ・ギター/SAKEROCK)
    • 初期は内省的な曲が多め(「天気読み」「くせのうた」)
    • 中期でソウル〜ブラックミュージックに開眼しブレイク(「ラブリー」「Week End」)
    • その後、超アッパーな曲でお茶の間レベルに浸透(「強い気持ち・強い愛」「恋」)
    • ポップアイコンとしてある意味アイドル的とも言える人気を博す(渋谷系の王子/サブカル〜非モテ寄りの王子)
  • 小沢さんの被観測範囲が当時の音楽〜サブカルチャー方面に限られていたのに対し、星野さんは今や役者、さらには文筆のフィールドまで手中に収めんとしていること、この大プッシュ・大ブレイクには事務所の先輩の結婚にまつわるあれこれが少なからず影響しているであろうことなど、様々な要素が絡み合って倍々ゲームで話が大きくなってる感があり、そこに何かしらこう、背筋がひんやりするよな怖さを感じるのです。先のツイートの通り、このままBPMを上げて上げて上げ続けて、やがてとうとう限界に達してしまったら、その時は一体どうなるの?っていう。
  • 周知の通り、小沢さんはジャズコンボ作やインストアルバムのリリースを挟みつつ沈黙の時を過ごし、ライブ活動を再開するまでに長い長い時間を要しました。それはそれでいい。元気でさえいてくれるのなら、多少のことには眼をつぶりましょう。それはそれとして、星野さんは既に二度も病に倒れ休業を余儀なくされているのですよね。それが怖い。とても怖い。しんどくなったらこれを楯にして、あるいはなんか適当な理由をつけて休める環境を整えていてくれますように、と願わずにはいられないのです。
  • それを考えると、かつて活動を共にしたハマケンこと浜野謙太さんはものすごおおくいい按配に売れ続けてるよなあ、としみじみ感じ入ってしまうのでした。バンドにきっちり軸足を置きつつ、役者業でもいろんな作品に恵まれて、しんどい時には大きな励みとなるであろう家族も既に得ていて。よかったな、本当によかったなあって。
  • 何が幸せかなんて人それぞれとしか言いようがないけれど、星野さんが世間という名の巨大な欲に呑まれ、心身ともに消耗しながら消費されていくのだとしたら、それはとてもつらいだろうなと思うのです。「会社員」の目の覚めるようなマリンバや、「老夫婦」の穏やかに枯れたボーカルもまたいつか聴きたいんです。この狂騒を乗り越えた先、何年後でもかまいません。待ってます。

  • 暖かい朝、暖かい夕方。週末からこっち、ひどく冷え込むということがないので何だか拍子抜けしたままでいます。こういうときに油断するのがいちばんいけない。手洗いうがい。手洗いうがい。
  • 帰り際にお届けものをひとつ、雰囲気だけでも伝わるといいな。おやすみなさい。

*1:と、呼ぶにふさわしいボリュームでした