almost everyday.

its a matter of taste, yeah

dear bride

  • 平日朝は、ほぼ例外なくめざましテレビをつけたまま出かける仕度をしています。
  • めざましテレビが格別好きというわけではなく、単に20年以上続いた習慣を今さら変えるきっかけがないというだけの話ですが、それはそれとして。あの番組では、天気予報のたびごとにテーマソングが流れるんですよね。そこそこ大きなボリュームで。
  • 現在は西野カナがこれを担当していて、大サビがたいへん華やかにドラマチックに歌い上げられるものですから、いつの間にやらその気もないのにメロディと歌詞がしっかり脳裏に刻み込まれてしまいました。特に、

大きな夢を今この場所で叶える君を心から誇りに思うよ

  • という部分がひときわ情感たっぷりなので、「これはきっと勝者を讃える曲なのだ」とばかり思い込んでたんです。「栄光の架橋」とか「We Are The Champions」みたいな感じの。タイミング的にあれかな、リオ頑張ったねとかお疲れさまとかそういう意味合いだったりするのかなって。西野さんったら、意外に熱い一面もあるのね。スポーツ方面まで視野に入れてくるなんて、ひょっとして東京五輪狙ってたりする?とかなんとかそんな感じで。
  • それで先日、歌番組で字幕つきでこれを歌う西野さんを初めて見かけたんですね。おお、あれだ、毎朝流れるあの歌だ、フルで聴くの初めてだなあって。
  • まさかの結婚式ソングでした。
  • いやね、もうね、言葉を失うってこういうことかと。大きな夢って何なのかと。結婚そのもの?あるいはいっそ式を挙げること?いやいやいやいや。「しょうらいのゆめは、およめさん!」がしっくり来るのは女児までと相場が決まっているものでしょうに。年間どれだけの人が結婚してるか分かってる?63万5000組ですよ(※2015年統計)。加えて言うなら式そのものも、金さえ積めば、なんなら相手がいなくたって挙げられちゃうご時世だったりするんですよ?そういうごく一般的なライフイベントのひとつを「大きな夢」とブチ上げたあげく「誇りに思うよ」だなんてあんた一体何者だよどんだけ偉いんだよそれはさすがにウエメセすぎんだろ、とびっくりしてしまったんでした。歌われた側も「お、おう」って感じになったりするんじゃないか。内心こっそり「なんだこいつ」とか思ってるんじゃないのか。
  • そうは言っても、そこはそれ。夢や価値観は人それぞれ。「大きな夢」はまだ分かるんです。もしかしたらこの新郎新婦は、ロミジュリ的困難を乗り越えてゴールインを果たしたのかもしれない。あるいは、難病を生き延びてやっとこの日を迎えたのかも知れない。はたまた、向こう3代食うに困らぬ玉の輿にのれたのかもしれない。ただひらすらに「およめさん」を夢見てきたとことんピュアなお嬢さんなのかもしれない。そういうことならまだ分かる。余白に思いを馳せることはできる。
  • しかし。それを「誇りに思う」と歌い上げるに至るまで、つまり余白のその先までにはなかなか想像が追いつかないんです。ロミジュリ両家が和解したのか、毒を煽ってなお生き残ったのか。苦しい治療を堪え忍んだのか、それを支えた側なのか。金持ちを手玉に取ったスキルを讃えたいのか、新郎の目利き具合を褒めそやしたいのか。ピュアな心を失わずにいることを賞賛するのか、呆れ半分の皮肉交じりなのか。そこらへん、一切なんにも見えてこない。なもんで、「誇りに思う」という歌詞がいかにも唐突に聞こえてしまうんです。
  • それっていうのは、わたしが勝手にゆずのお二人もしくはフレディ・マーキュリー的勇ましさをイメージしていたがための落差という気もしないではないんですが、それでもやっぱり「誇りに思う」は言いすぎじゃね?カナのポジション、どこら辺なわけ?という疑問が消えてなくなることはないのでした。

嬉しい日も不安な日も君の側には彼がいるよ/何があっても心配ないよ

  • いったい何の根拠があってこうも力強く言い切れるのか。そこまで言うからには当然、新郎とも面識があるどころの話ではなく、勤務先から人となりまで知りおおせてるに違いない。とすれば、おそらく同級生。きっとそれなりに仲もよかったはず。ただのクラスメイト程度でそこまで仲がよくなるとは考えにくい、ていうかそしたらぶっちゃけ新婦はカナになってるはずなので、設定そのものが崩れてしまう。なら何だ。そうだ部活だ。それもけっこう強豪校だ。野球とかサッカーとかなんかこう、プロになって稼げそうなやつだ。新郎がエースで新婦とカナがマネージャーだったんだ。マネージャーかつ親友かつライバルだったんだ。そんで新郎がケガかなんかで一旦挫折したんだきっと。紆余曲折を経てプロ入り果たしてレギュラーにも定着して、侍JAPANもしくはA代表入りを果たしたんだ。新婦はそれを、フードマイスターとか野菜ソムリエとかTOEICとかそういうやつで支えたんだ。それでようやくこの日を迎えたんだ。シーズンオフだしちょうどいいよね。分かる。分かるよ。わたしにもやっと見えてきたよカナ。野球ならきっとセだよね、パだと遠征多いもんね、側にいるとか言えないもんね。
  • というわけで、夢と挫折と友情と献身と金を余すことなく盛り込んだ妄想が完成したわけなんですけども、結局スポーツ、ていうか野球から離れることはできませんでした。ごめんなさい。おやすみなさい。