almost everyday.

its a matter of taste, yeah

アバウト・レイ 16歳の決断

  • 連休明け、発作収まりきらず万全を期して自主オフ。ふとんから首だけ出して女子ハーフパイプ決勝を注視しつつうんうん唸って午前中をやり過ごすなど。
  • それにしてもハーフパイプ、カメラワークが酷い。とにかく酷い。延々引きの映像ばかりで、臨場感に欠けることこの上ないです。ジャンプを間近に観られるのはドロップイン直後の第1エアのみ、あとは寄らない中央カメラがメイン。途中で1回、申し訳程度にジャンプにズームするそのタイミングがことごとくズレていて競技の魅力とダイナミズムをごっそり削いでくれやがってます。

  • 本場はこんなじゃねえべよ絶対、と憤懣やる方ないまま適当にぐぐったX Gamesの映像はさすがというか何というか、もろもろひっくるめて完璧にエンタテインメント仕様でした。IOCJOC?どっちか知らんが仕事しろよって話です。頼むよ。しょぼいよ。あれマジ本当に。

  • 体調が落ち着いてきたところを見計らって、リハビリがてらMOVIXへ。アバウト・レイ 16歳の決断エル・ファニング目当てかつ病み上がりにつき注意力散漫で細かい伏線を見落としてたのかもしれませんが、それらを踏まえてもストーリー運びがあちこち分かりづらかったように思います。前述のとおり、エルさま目当てで買ったパンフレットを読んでようやく「え!あれってそういう意味だったの?」と気づいたシーンの多いこと。むしろ、パンフレットを読み込むことでようやく細部を補完できた感すらあります。単にわたしの目が至らないんだろうけど。それでも。
  • 大筋としては90分間、とにかく早く男になりたくて仕方ないエル・ファニングを取り巻く大人たちがひたすらデモデモダッテを繰り返す話。どちらかと言えば親世代に近い自分としては、ママの気持ちがよく分かるんですよね。劇中のセリフ「いつか髭面の息子が『あの時の選択は間違っていた』と言ってきたらどうするの?」という問いかけがまさにそれ。わが子の未来に責任を持てるの?という選択はあまりにも重たく、一度舵を切ったら取り返しがつかない、という意味で身のすくむ思いがします。
  • その停滞感、あるいはどっちつかずの揺れる心情を描く細やかな目線が秀逸でした。冒頭、スケートボードと地面の間を這いつくばるように滑る視点。マーチンのゴツいブーツと華奢なヒールが3人分並ぶ病院。ぐしゃっと丸めて後部座席に投げ打たれた同意書は右へ左へころころ転がり、悪ガキに取り上げられたマーチンを探して歩く夜の街では皆上階を見上げている。少しずつ変わっていくかに見えて同じところを行きつ戻りつしている、その様子がとても生々しいと感じました。
  • それにつけてもナオミ・ワッツのあの色気よ。コートからのぞく細い手首、寝起きのノースリーブの豊満でも貧相でもないしなやかさ、淡いピンクのニットに透ける下着のライン。どれをとってもエっっロおおおお!エル・ファニングがきりっと凛々しい少年に扮しているため、否が応でもその対比が際立ちます。飄々としたレズビアンのおばあちゃんカップルもよかった。
  • 翻って、フィクションとは言え海の向こうではこうも多様な母親像がさも当たり前のように描かれているというのに、ここ日本では未だ作り手側が何の疑問も持たず無邪気に「あたしおかあさんだから」などという戦中スローガンみたいな歌を世に出してくるんだよなあ…と思うと暗澹たる気持ちになります。何なんでしょうね。おやすみなさい。