almost everyday.

its a matter of taste, yeah

エンジェル、見えない恋人

  • 朝、フォーラムでエンジェル、見えない恋人。売り文句にてあの名作「ぼくのエリ 200歳の少女」が引き合いに出されるとあって、これは是非とも観たい!と楽しみにしていました。
  • 物語そのものは完全なるファンタジー、にもかかわらず折にふれリアリティに満ちた艶めかしい描写が飛び出すので、スクリーンから片時も目が離せませんでした。夢と現実、空中と水中をふわふわ行き来するかのようでいて、不意にずしりと地に足がつく感触を突きつけられるかのよう。「見えない恋人」であるエンジェルの視点や声の振動を通じて、本来スクリーンからは伝わるはずのない肌の温もりや湿り気を帯びた息づかいまでもを疑似体験できたと感じています。
  • こうした「視覚を除いた五感」を「映像効果と音響のみ」で表現しようとする姿勢はとてもチャレンジングで、その試みは多くの場面で成功しているとも思うのだけれど、先述した疑似体験への没入を拒むひとにはきっと受け入れがたいタイプの映画に分類されるだろうな…とは容易に想像がつきます。平たく言えば、突っ込みどころが満載なのです。わたし自身はわりといけるクチなもんで「考えるな、感じろ」と心の隅でうっすら念じつつ美しい映像にただただうっとり見惚れておりました。フェティッシュだなあ、余韻があるなあ、そして忘れがたいショットも満載だなあ。いわゆる王道とは違うものの、変化球として長く記憶に刻み込まれる作品であると確信しております。
  • それはそれとして、これ、どういうオチになるんだろう?と早い段階から気になっていたのですが、終盤なるほどそう来るか!と膝を打つ美しい円環が描かれたのですっかり満足してしまいました。おとぎ話はこう来なくっちゃね。その後の話はまた後ほど。