almost everyday.

its a matter of taste, yeah

マダムのおかしな晩餐会

  • 午後、チネにてマダムのおかしな晩餐会。「スモーク*1」で孤独な中年男の色気だだもれのハーヴェイ・カイテル&長身痩躯にきらめくアッシュブロンドのトニ・コレット*2が競演するとあって楽しみにしておりました。なんてテンポの良い会話劇…!
  • そこそこゴージャスなセレブたちの中に突如放り込まれる羽目になったメイドをめぐる恋と欲と嫉妬の話、というわけで会話の端々にはキツめの皮肉や言葉遊びがてんこ盛り。登場人物全員がどこかしらちょっと迂闊で浅薄で、にもかかわらず何とも憎めないのは、予想外の事態に慌てふためいたり嫉妬に我を忘れたり浮かれて調子に乗っちゃったりと素直かつ正直に振る舞っているためでしょうか。欲望に忠実というか愛に生きるというか切り替えが早いというか、見ていてやたらと小気味よいのです。その人間くささでスノッブさが中和されてる感、すごくある。
  • 女主人アンがアートディーラーの英国紳士デイヴィッドに真実を告げるところ、ボブの息子スティーヴンがアンとマリアをモデルに書いた小説が未完であるらしい件、マリアがメイドの職を手放したその後など、観客に解釈を委ねる演出はいかにも大人向けのコメディといった趣がありました。ここを余韻とするか消化不良とするかで好みがだいぶ分かれてきそう。
  • それにつけてもトニ・コレットの、あの堂々たる佇まいよ。リッチな年増男の後妻に収まりやりたい放題ゴージャスな日々を送る女の傲慢さやいけすかなさ、リベラルを装いながらも隠しきれない上から目線、女主人としての尊厳と自意識、極上の美貌やスタイルや若さを失いつつある恐れそして嫉妬。これら全てがひとりの人格に違和感なく混在しているという説得力が素晴らしかったです。鼻持ちならないだけじゃなく、セックスレスに悩んでうっかりよその男になびいてしまいそうになる弱さも併せ持つ女、端的に言ってめちゃエロい。たまらん。
  • 御歳80(!)のハーヴェイ・カイテルはまだまだお元気そうで何よりだし、マリア役のロッシ・デ・パルマトニ・コレットのスレンダーな肢体と対をなす豊満なボディラインが最高に魅力的だったし、すべての騒動の発端たるスティーヴン役のトム・ヒューズはびっくりするほど色男でした。わたしの知る限りこの世で最も美しい男子と言えば西のノア・サーベトラ*3そして東の高良健吾なんですけども*4、ここに名を連ねる存在が遂に現れたかという気がしています。何から何まで眼福でした。
  • それで今日は、いつもより2時間ほど遅く家を出て福島へ向かい、会議をひとつこなした後に半休をいただきました。会場にふたつ前の職場でお世話になった先輩の姿を見かけ、束の間ランチをご一緒するなど。「最近どうすか?」「もうね、ヒマ。すっごいヒマ。毎日定時で帰ってるから来年ウチの部署なくなるかも」とのこと、あれから何も変わってなくて安心しました。わたしも余計な残業はしないほうだけど、この先輩はとにかく凄い。徹底してます。心強いわ。
  • その後は母んとこにちょっとだけ顔を出し、雲南の仲良しさんに福島の地酒を手配してサクッと帰宅。のち映画。いつもならまだ電車に揺られている頃合いにごはんの支度ができている、というのはとても良いものですね。おやすみなさい。

*1:わたしのオールタイムベスト3傑に君臨し続けている作品です

*2:「マイ・ベスト・フレンド」で病に倒れる役回りが痛々しかったので元気な演技が観られて嬉しい…!

*3:エゴン・シーレ 死と乙女」

*4:性の対象とかではなく、跪いて芸術品としてその美しさを崇めたい