almost everyday.

its a matter of taste, yeah

ビリーブ 未来への大逆転

  • 朝いち、チネでビリーブ 未来への大逆転。今なお現役バリバリのアメリカ合衆国最高裁判所判事のかつての成功譚、つまりタイトルからして結末は明らかなわけで、そのクライマックスに至るまでのプロセスこそが本作の魅力にも瑕疵にもなり得るという宿命を背負った作品に他ならないわけです。結論から言えばスマート、ものすごくスマート。ゆえに、主に泥臭い意味合いにおいて物足りなかった点が少しだけ。
  • 1956年、ハーバード法科院の入学者500人のうち女子学生はたった9人。さらに本作の主人公ルースことキキはこの時点で既婚かつ乳飲み子を抱えており、のちに同じく法科生である夫の精巣ガンが発覚するという超絶ハードモードに飲み込まれていくわけです。その辺りの描き込みが、どう考えても足りてない。幼いジェーンは親の苦境に痛み入るかのごとく空気を読んですぐ泣き止むし、生存率5%と言い渡されたはずの夫のマーティンはさしたる苦難もリハビリも経ずして健やかに生きながらえているし、何て言うかこう人生すごろく順調ですね〜みたいな白けた感じが否めなかったのでありますよ。そんな風に何もかもがすんなり上手くいくと思うの?ねえねえ。第二子に至っては出産まわりの経緯すらすっ飛ばされてたし、実際のところは二人まとめて育児に忙殺されてた時期こそいよいよしんどかったろうし、その辺りが全く描かれないあたりに上っ面だけの他人事感をほんのり感じた次第であります。いやいや待って。いくらなんでも、さすがに都合よすぎじゃね?って。泣き止まない息子とふてくされる娘に手を焼いて途方に暮れる姿を描いてこその働く母じゃね?何から何まで万事この調子でサクサク捌けてたらむしろこっちが劣等感にやられるんじゃね?って気がしたんでした。
  • それからもひとつ気になったのは、法曹界ものにありがちな判決がらみのクライマックスを一切排除していたこと。自由を求める民衆の快哉やマスコミ経由の情報伝播が全く描かれず、家族と身内と依頼人のごく限られた範囲の中でのみ喜びが分かち合われたことで、勝訴の歓喜が盛り上がりに欠けた感は否めないと思いました。物語冒頭のシーンと最終盤とをオーバーラップさせる演出はたいへん巧みだった、けれどもその後は字幕ではなく映像でこそ唸らせてもらいたかった。そこんとこだけちょっと残念。野球その他の話についてはまた後で。
  • というわけで、先発は藤平。かなり早い段階でKOされ、継投の石橋&高梨も内容が良くなくてかなり暗澹とした気持ちに傾きかけておりました。が、その後が凄かった。5回青山、三凡。福山、6〜7回を跨いで一人もランナーを許さず。
  • このタイミングで電波の届かない場所へ外出したわたしとしては「3タテやむなし、中継ぎ陣も一部絶好調。週明けに照準合わせて行こう」くらいの気持ちでおりましたが、帰ってきたら東北どころか日本全土(の野球ファン)が一斉にザワついていて一体何事かと思いました。キャッチャー銀次はさすがに驚く。それもチーム今季初盗塁阻止のおまけつきとは。
  • 打線に関しては誰よりもまず、オリの守護神増井相手に反撃の狼煙をあげた藤田のガッツを讃えたいです。今季のプロは頼れる代打。この高揚感をもって週明けの西武戦に備えてまいりたいところです。あとは足立。これ、第二捕手としてはいろんな意味で屈辱的だと思うんですよね。ここで何とか立ち上がってきてほしい。おやすみなさい。