almost everyday.

its a matter of taste, yeah

僕にできることはと言えば

早朝、ママンと家を出発。手術室へ入る前に少しだけ、父上の顔を見てきました。想像していたよりもずっと血色がよく、栄養剤の管を入れたままひょいひょい歩いて看護婦さんに軽口をたたく(我が父も、他人が見ればただのオヤジ)姿はとても病人に見えないのだけれども、あと数時間後にはこのひとの腹がぱっくりひらかれるわけで。何とも言いようのないやたら湿った感情に浸らないよう、現実にしがみつくので精一杯。いってらっしゃい。
手術室のドアが閉まるのを見届け、手持ちぶさたになった4人(姉夫婦も到着)は談話室へ移動。本日の運転担当であるわたしは受付へ駐車券をもらいに・・・行ったはいいが、「外来の方でしたら領収書を見せていただかないとお渡しできません」って、そりゃあ理屈は分かるけどさ。たった今手術してんのに、そんなもん出るわけないでしょうよ。おまけにこのねーちゃんの態度が最悪なのでした。こちらの顔すら見ずに「アンタほんとにどっか悪いの?」とでも言いたげな口調。普段の自分なら「そらしゃーない」と思えるかもしれないけども、悪いが今日は高ぶってるんだ、気分がよう。くるりと振り向き小声でこっそり「使えねぇ、ふざけんじゃねえぞこの腐れボケ」と毒づきながら病棟へ。ごめんね、あたしも悪かったよ。多分。

仕事の合間に駆けつけてくれた父上の親友・タマガワさんと談笑しつつ、待つこと数時間。10年ぶりに会った父の同級生は、やはり同じように年をとっておりました。何というか、言葉遣いや態度や雰囲気がすごく近い。30年以上も親友やってるとこういうふうになれるんでしょうか。すごいな。

その後、執刀医に呼ばれ手術室の前へ。今しがた切り取られたばかりの患部を直に見ながら、簡単な説明を受けました。目の前にあるのは、ぷるんとしたオレンジ色の塊。4人全員の目に浮かぶ不安げな色。皆、同じことを考えていました。「・・・・・・腸ってこんなんだっけ・・・・・・?」状況を察したらしい医師が一言、「ああ、このオレンジ色は全部脂肪ですよ。」まじですか?たしかにうちの父上はちょっと細身のハンプティダンプティみたいな体型ですが、それにしたってこれは多すぎるだろう。「いやね、皮下脂肪はほとんどないんですよ。ぜんぶ、内臓脂肪でした。大変だったんですよー、患部まで到達するのが。」と言って、その塊をめくってめくってひっくり返したところでようやく縮んだジャバラのような腸が見えてきたのでした。シリアスな場面のはずなのに、皆苦笑。さすが父上。こんな時まで身体はってウケ狙わなくていいのに。

それはさておき、一応悪い部分はすべて取れたようです。現時点では。進行具合によっては今後抗癌剤の投与もありうるらしいけど、結果が出るのはまだ先の話です。とりあえず、よかった。ほっとしました。自宅へ戻ったら一気に気が抜けてしまい、お茶も飲まずにママンとふたり寝入ってしまいました。夜眠るタイミングがつかめず、かえって疲れたような気もしますが。

※ この2日間、言葉をかけてくださった皆様へ。すごくすごく力が出ました。ありがとう。甘っちょろいこと言ってごめんなさいね。もう大丈夫です。