almost everyday.

its a matter of taste, yeah

I Believe / Tim Burgess

まずは、彼と彼のバンドについて少しばかりご紹介を。

I Believe□ティム・バージェス、イギリス人。マンチェスター郊外のノースウィッチ出身、ロサンゼルス在住。
□89年にザ・シャーラタンズのボーカリストとしてデビュー。
□当時、ザ・ストーンローゼスを中心に盛りあがりを見せていたマンチェスター・ムーブメントに上手いこと便乗・バカ売れしたらしいのですが、残念ながら筆者は当時の状況をよく知らないので特に何とも言えません。
□以来、現在に至るまで7枚のアルバムをリリース。
□同期バンドが次々解散する中、オリジナルメンバーが脱退したり逮捕されたり天に召されたりしてもめげることなく、今なお飄々と活動中。
□メンバーの趣味が変わるたび、バンドとしての音楽性も常に変貌。
□泥臭かったりケミカルだったり骨太だったり、割ところころ節操なくって「尻軽だなぁ」と思えないこともなかったけれど、何故だかそれが不思議なくらいナチュラルに思えてしまうバンドそのものの大らかさと、グルーヴィーな鍵盤に彩られた重厚かつ風通しの良い音づくりこそが彼らの魅力かもしれません。

・・・などと自分は勝手に感じています。以上、説明はこのへんでおしまい。

で、自分がその不埒ぶりにもかかわらず長いこと彼らの音を聴きつづけてきた理由というのが、このティムさんの声によるところ大なのです。正直、この声が歌ってさえいてくれれば、後ろでどんな音が鳴ってもかまわない。とさえ思います。これが30男(※下手すりゃ40間近)とはとても信じられないくらい、甘くて軽やかで屈託のない、おまけに儚い余韻さえ残す歌声。もしも毎晩眠りにつくまで彼が何かを囁いてくれるなら、二度と悪夢は見ずにすむかもしれない。本気でそう信じたくなるほど特別な声なのです。わたしにとっては。

そういうわけで、彼がソロを作っていると知った際にも「どんな音だって構いやしない、聴きます買いますお願いだから聴かせてくださいぃっ」と盲目状態に陥りつつ、ただひたすらにリリースを待ち続けてきた次第です。とか言うわりには入手するのが遅れましたけどね。しかたがないさ、外盤だもの。そんなことはどうでもいいや、とにかく音を聴いてみました。

胸を高鳴らせつつプレイヤにCDを押し込んでみると、デジタル窓には「11tracks 36:42」の表示。短かっ。CD1枚70分強録音可能なこのご時世に、なんという潔さでしょう。曲は意外にもポップ、それに軽やか。王道ロックンロール・またはカントリーの香り漂う曲を中心に、それでもなかなかバリエーション豊かな曲が並びます。小気味よいビートに足元をすくわれそうな#2、ファルセットが気持ちいい#3、それに#8のささやかな、それでいて圧倒的な開放感といったら!しあわせすぎて、踵がふわりと宙に浮かんでしまいそうです。何だかすごく満たされた気分。例えて言うなら「声だけでいい」と焦がれていたのに思いがけず抱きしめられてしかもそのうえチュウまでしてもらっちゃった、というような感じに近いかもしれません。わけがわからんな、我ながら。ははは。

とりあえずひととおりアルバムを聴き終えたのち、ぐるぐるリピート設定してから、ふと傍らの歌詞カードを開いてみました。中ジャケには、抜けるような青空をバックに、両手を広げてこぼれんばかりの笑みを浮かべるティムさんの姿が。ああ、こんなにもまっすぐに、軽やかに、前を見て行くことができたらどんなに素敵かしら。甘くしなやかな声ととろけるような笑顔を前に、なんだか泣きそうな気分になってしまいました。心の名盤、早くも追加決定。愛してます。

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※ 興味を持たれた方は、外資系ショップへどうぞ。今のところ(03.10.28現在)日本盤は出てません。

※ 暫定版オフィシャルサイトはこちら→http://www.pias.com/timburgesswebsiteのようです(ただし英語)。