almost everyday.

its a matter of taste, yeah

正直者ではないけれど

お使いを頼まれて近くへ歩いていく途中のこと。赤く染まった紅葉は、眼鏡越しにではなく裸眼で見上げるほうがずっとうつくしい。ということに偶然気づきました。木全体がまるで燃え上がってるみたいに見えるのです。ひどく、ぞくぞくする眺め。

ひさしぶりに笑えるくらいせっぱ詰まった急ぎの仕事が入り、うんうん唸って髪をかきむしりながらも何とか形にしてボスに見てもらったら「・・・やればできんじゃん」みたいなことをぽつりと言われました。知らなかったのですか?わたし、おしりに火がついたら声かけられても気づかないくらい集中および没頭する性質ですよ。そんなボスは先日セブンイレブンiPod nanoを衝動買いしたのだそうで「1,000曲入るんだってよ、これ」と子供みたいにうきうきしながら見せてくれるんですが、わたしが既にphotoを所持しているのを知ったらおそらくがっかりするのだろうと思うと無駄にはらはらしてしまいます。絶対ばれないようにしなくては。ちなみに、ボスのnanoの中身は主にマイルス・デイヴィスブラームス、だそうです。・・・本当に4Gで間に合うのか?というのが他人事ながらちょっと心配になってきました。だいじょうぶかしら。交響曲が途中で収まりきらなくなったりはしないだろうか。まあ、そしたらきっと買い直すんだろうけど。ボスはわりかしブルジョワジーです。うらやましい。

今日は寒いし風も冷たいし散歩に行くのやめとこうかなどうしようかな、と思いつつシャッフルで曲をかけたらいきなり最初に"HOW HIGH"がかかったので、そりゃもう歩かないわけには行かんだろう。と勝手に考え必要以上にはりきっていつもとは違うルートをぐるりと回ってみたら、いつもお世話になっている顔なじみの調剤薬局が明かりもつけず真っ暗なのに気づきました。定休日ではないはずだし、まだ店じまいの時間でもない(そもそも初めにここを選んだ理由は営業時間が長いから、だったのです)はずだけどなぁ、おかしいなぁ。と思い店内を覗いてみると、驚いたことに棚も品物もきれいさっぱり片付いてがらんと真っ白な部屋になってしまってるではありませんか。うへえ、倒産?夜逃げ?とあわてて入口へ駆け寄ると、そこには「店舗移転のおしらせ」がそっけなくも一応まともに貼り付けられていました。ので、とりあえずはひと安心。困ったことが起こったわけではないのですね。よかった。

がしかし、わたしは今後いったいどこの薬局へ行けばよいのでしょう。数多の調剤薬局があろうとも、遅くまで開いてていつも必ず同じひとが窓口にいてくれて顔を見ただけで「ああロキソニンブスコパンとマーズレンね」「今回は早いね。いつものじゃなくてレルパックス?」と察知してくれたのはあの薬局のあのひとただひとりだったというのに。えーん。仲のいい叔父さんがどこか遠くへ行ってしまったみたいな気分だわ。どうしよう本当に。

途方に暮れつつそのまま歩くこと数十分、あたたかな明かりに吸い寄せられるようにサティへ。これまでずっと欲しかったものの、どうしても自分の思い浮かべるイメージに合致するものが見つからず半ばあきらめかけていた「シンプルでヒールの高すぎないミドルブーツ」に出会えやしないかと売り場をふらふらうろついていたら、ここ何年かずっと頭の中で描いていたイメージとそっくりそのまま同じとは言えないまでもかなりそれに近いものがぽつんと棚に残ってるのを見つけました。あんまり唐突だったので、最初は何かの見間違いかと思ったほどです。試しに片足を入れてみると、履き口が自分のふくらはぎにぴったりと沿うほどのジャストフィットぐあいでした。夜に履いてこうなのだから、脚がむくんできつくなることもないでしょう。さらにはこのブーツ、本革でしかも定価の50パーセントオフになっていました。そのうえ、試し履きしていたのを脱いでる最中、シャッフルモードのヘッドホンからは「ホームラン」が流れてきました。なんていうかもう、頭の中でファンファーレが鳴ってるみたいな気分です。そんなこんなでにやにやしつつお買い上げ。帰り道の寒さに備えて飲みきりサイズの赤ワインを買い求め、ひとり祝杯をあげながら胃の底をじりじりと熱くして上機嫌でふたたび歩いて帰途についた次第です。そこそこまじめに生きてりゃたまにはいいこともあるんだな、と思いました。満足です。おやすみなさい。