almost everyday.

its a matter of taste, yeah

B★B★B

目が覚めたら右目に違和感。まぶたがぼやんと重たくてほんの少し痒い気もして、おそるおそる鏡を見たらば二重の幅が左目の3倍くらいになってました。うわ、これはこのまま放っておいたら確実にお岩コースだ。あした仕事行けねえ!と慌てて近所のドラッグストアへ。結膜炎用の目薬を買い、帰りの車に乗り込むなり箱をこじ開け右目に点眼。あうー、しみる、しみるよう。しかし何だってまた、いきなり目が腫れてるんだろう。きのう何か汚れたものとか触ったっけ?記憶の底をさらってみても何も思い出せないので、あきらめておとなしく帰宅後、しばし安静に。10時間以上寝たのにまた横になって、ごはんを食べてうとうとして思い出したように目薬さしてひたすらゆるんと過ごしてました。洗い物とかその他もろもろ、ぜんぶ相方がやってくれました。やさしい伴侶を得たわたしはきっと幸運なのだと思います。ありがたきしあわせ。

競馬中継が終わった頃に目を覚ましたら、まぶたの重みがだいぶ抜けておりました。おお、よかった。ありがたい。そんなわけで自ら車を運転し相方をバス停まで送り届けた後、雨の中を歩いてsonicまで。本当にお客さん少なかったらどうしよう、とはらはらしましたがいざ入ってみたら既に100人弱?くらいはいたのでひとまず胸をなでおろしました。

わたしが入店したときは、おそらくトップバッターと思しきスリーピースのバンドが演奏してたんですが。そこのボーカルさんがMCで「せめて音楽の中では誰かを救えたらいいなと思います」みたいなことを言ってて、それを聞いたら反射的にふと「それは違うんじゃないのかなあ」なんてことを思わされてしまいました。たとえば、リンダリンダを歌ったときのヒロトさんが誰かを救おうとしてたとはとうてい思えません。最初から「誰かを救おう」と思って歌を歌うのと、そういうことを一切考えずに歌った歌が結果として思いがけず「誰かを救う」というのとでは全然違います。そしてわたしは後者のほうがすばらしいと思います。だいたい、「誰か」って誰のことよ?こんなところで揚げ足とっても仕方ないとは思うのだけれど、演奏する側が「救う側/救われる側」って明確な線引きをしてしまってるようじゃ、その歌はなかなか人の心を掴めないぜ。ってことを言いたくなったわけです。理屈っぽくてごめんなさい。最後に演奏した英語詞の曲は、踊れてなかなか格好よかったですよ。

その他、対バンさんたちのひとくち感想。あぶらすましをオープニングのSEに流してた、これもやはり3ピースのひとたちには気持ちよく踊らせていただきました。プライマルのジェイルバードを流してたひとたちは、ボーカルさんの腹筋がすばらしくきれいでそればっかり凝視してた気がします。もしかしたらあのひとは、イギー・ポップを目指していたりするのかしら。続く女子ボーカルのひとたちは、声がのびのびしてて気持ちよかったです。たったかたったか、ってマーチ風のリズムが入る曲がかわいかった。あと、ベースの男のひとが頭ちっちゃくて細っこくてまるでモデルさんのようでした。モテそうだ。

というわけで、いよいよトリにズボンズ登場。ズボンズのライブを見るのは、ちょうどきっかり2年ぶりくらいです。前回がニューサンフランシスコリリース直後の激ロックシンポジウム@郡山で、そのときのステージには少々、いやかなり違和感を抱いた覚えがあったので、今日のライブを迎えるまでは期待と不安が半々くらい複雑に絡み合っていました。というか、ライブだけじゃなく新譜に対しても同じ気持ちでした。

というのも。前作は何て言ったらいいのかこう、内へ内へと向かうことでじわじわ高みに登りつめていこうとしてるみたいな、聴き手の存在をその視界からシャットアウトして音の純度を高めようとしてるみたいな、他者を一切寄せつけないアンタッチャブルな孤高感に満ちていたように思うのです。曲と曲との繋ぎ目が見当たらない、音そのものが生き物みたいにうねるあのステージは確かに凄いものだったし、あの場においては麻薬のような(という比喩を用いようにもわたしはその味を知らないわけですが、あくまで想像の上で)陶酔感を作り出すことに成功していたと思います。が、わたしにとってあのアルバムの音は「手を伸ばしても届かない」「なんだか高尚な」「聴く時と場所を選ぶ」ものに聞こえて仕方ないのでした。要するに、わたしには少々敷居が高かったということです。あのアルバムが「ズボンズに必要な道のりだった」と言われれば確かにそうなのかもしれないと思うけれど、単純に、わたしはあのアルバムを楽しんで聴くことができませんでした。何だか、ずっと、痛かった。それが前述の「期待と不安」に繋がっていたというわけです。

という長い長い前振りを経て、ようやく本日のライブの感想であります。ひと言で言うと、とても「外へ向かって開かれた」ステージだったように思いました。何よりもまず、マツオ氏が楽しそう。彼を取り囲むメンバーもリラックスしてくつろいでるように見えます。新曲はヒップホップ的なリズムと伸びやかなメロディがフィーチャーされていて、これまでの作品で言えばLET IT BOMBやLOVE IS FUNKYあたりの雰囲気に近い肌触り。マツオ氏のシャウトから切れ切れに聞き取れる歌詞は必ずしもハッピーなわけではなくて、どちらかと言えば諦めやつぶやきに近いものもあるのだけれど、それらを全部ひっくるめて、そういうもやもやを踏まえた上で楽しもうとしてる大らかさというか懐の深さというか、そういうものを感じました。かつてのライブで必ずと言っていいほど演奏されていた定番曲(本日は"Black INK Jive","South Central Rock","Mo' Funky")が復活したのもうれしいです。最前列でぴょんぴょん飛び跳ねながら我を忘れて踊っていたら、ふと目が合ったマツオ氏に帽子をひょいとつまみ上げられそのまままるで自分のみたいに、ワンコーラス被ったままで歌ったのちに投げて返してくれた。というサプライズもあったりしました。えへ。この帽子はこれまで以上に大事にしようと思います。おやすみなさい。