almost everyday.

its a matter of taste, yeah

完璧な転倒

それはもう、何て言ったらいいのでしょう。目の覚めるような痛さでした。

見事に、綺麗に、それも朝から。結構な勢いでもって、まるで頭からダイブするような勢いで地面に叩きつけられました。きのう借りたCDを開店前のレンタル屋さんに返すべく普段の通勤ルートとは少し違う道を通ったせいで、いつも以上に頭がぼんやりしていたのでしょうか。駐車場の入口に低く張られた車除けのチェーンがアスファルトの色と同化していて視界に入らず、そこへ脚をひっかけて倒れたのでした。さらに悪いことに、出勤時刻が遅れることを懸念したわたしは、よせばいいのにそのわずかな距離を小走りに駆けておりました。その際のスピードを仮に8km/hとして、およそ50キロの身体が地面に叩きつけられる瞬間の衝撃のでかさを思うと今さらながら戦慄が走ります。丈夫な骨に産んでくれてありがとう、ママン。もっとも、転んだ瞬間にはそんなことを考える余裕などなく、というよりむしろ「何が起こったのか理解できない」といった感じだったのですけれども。

幸いにも、咄嗟の判断(というより条件反射と呼ぶべきでしょうか)により受身の姿勢がとれていたため目立った怪我はなくて済みました。右手の指先からほんのわずかに血を流したのを除けば無傷と言ってよさそう、とさえその時には思ったのです。が、無事職場についていつものように仕事を始めたところで次第に身体が熱くなってきました。地面に打ちつけた部位がそれぞれ、右のすねと左膝と左の腰骨あたりが脈打つようにどくどく言ってるのが響くんです。何だか嫌な予感がしたのでトイレに立って各部を点検してみると、いずれも打撲としかいいようのない見てくれで、特に左膝はたんこぶのごとく肉がぼっこり盛り上がっておりました。怖い、怖いよ怖すぎる。先週もらった肩の痛み止め薬が机の中に残っているのを見つけるやいなや、これ幸いとばかり飲み下したら熱がわずかに収まった(ような気がした)のでひとまずセーフ。まさかあの時の薬が、こんなところで役に立つとは思いませんでした。グッジョブ、先週の自分。

それはそれとして、ほとんど地面にキスするような恰好で倒れこんだあの瞬間のことを思い出すと、痛みとはまた違った感覚が呼び戻されるのを感じます。それは例えて言うなら、冷たい刃物で意識をすぱんと切り落とされるような、それでいてじりじり熱く息苦しいような、あまり経験したことのないふしぎな感覚です。そして、地面に打ちつけた身体のあちこちが少しずつしかし確実に熱を上げていくあの感覚も、痛みはあれど決して不快なものではありませんでした。「ああ、自分の身体にも血が通ってるんだなあ。ちゃんと生きてるんだなあ」というようなことを今さら実感させられるというか、そういう変な生々しさがあったのです。まるで見当違いかもしれないけれど、ひょっとしたら、自傷行為にはしるひともこういうことを求めていたりするのかなあ。というようなことをちょっとだけ考えたりしました。薬が切れてしまわないうちに眠ります。おやすみなさい。