23.Octahedron / The Mars Volta
実に1分半以上、遠い海鳴りのように静かなイントロを経て幕を開ける新作。オープニングからいきなりフルスロットルに攻めてきた前作「ゴリアテの混乱」とはまるきり正反対、という印象を受けました。2曲3曲と聴き進めてみても、それはなかなか覆されません。前作の「まったくもって先の読めないプログレッシブな曲展開」や「それでいて歌ものとしてのポップさも兼ね備えたソングライティングの妙」、そして何より「圧倒的な熱量」に骨抜きにされた身としては、やや物足りないというか肩すかしを食らったような気持ちにさせられるというか。
とにかく、何もかもが正反対なのです。破綻なく流れるメロディ、抑制された体温低めの歌いぶり、そして演奏。これだけ聴いたらこれはこれで間違いなく格好いい、と感じるに違いないのだけれど、いかんせん前作が前作だけにどうしても「上品なうす味に仕上がりました」というふうに響いてしまいます。かろうじて5曲めだけは前作の流れを汲む激しさに満ちているけれど、この流れにあっては1曲だけが突出してる感も否めません。「いっちょ派手なのも入れとくか、フェス用に」とかそういうこと？だなんて穿った見方をしてみたくなる。とりあえず、自分の中ではあれとこれは全くの別物、と捉えることにしておこうと思います。前述のとおり、これはこれでもちろん格好いいので。だけどごめんね、現時点ではやっぱり5曲め断然ラブ。
