almost everyday.

its a matter of taste, yeah

夢が夢ならそれでも構わない

06年3月。その頃、わたしは5年勤めた職場を離れる準備に追われていました。5年。それは言うまでもなく、決して短くはない年月です。すったもんだの引継ぎを終えてようやく転勤先に落ち着いたと思ったら、そこで待ち構えていたのは前職よりも遙かにハードで規模も大きな仕事の数々でした。時はさらに遡って02年2月、その頃はちょうど社会人生活初の後輩指導に頭を悩ませていました。今にして思えば、あれほどそりの合わない人というのもめずらしいものでした。相手の方もそうとうやりづらかったろうな、と思えます。今なら。そこからさらに5年以上前、96年10月は就職試験の真っ直中でした。終わりの見えないペーパーテスト期間を極度の緊張とともに何とか乗り越え、来たるべき面接試験の脳内シミュレートに励む日々でした。94年8月はその職を得るために必要な学費を稼ぐべくバイトに励み、かつ一日の半分を走ることに費やしていました。93年9月はラジオを聴きつつ受験勉強に明け暮れていました。そのラジオから不意に流れてきた、星がまたたくような音。そして、そのイントロに導かれた、とてつもなく暗いメロディと起伏に乏しいつぶやくような歌声が、まだ15歳の子供の耳に大きな大きな爪跡を残したのです。それがすべての始まりでした。
これまでの毎日のささやかなターニングポイントと呼べる瞬間、そこにはいつもあのひとの音楽がありました。オリジナルアルバムのリリース時期に、主に仕事上の「ここ一番」というタイミングが(勝手に)シンクロしているのです。それはただの偶然にすぎないけれど、とても喜ばしいことでした。
そして、わたしはこれまで一度も彼の歌う姿を生で見たことがありません。「チケットが手に入るかどうか」という問題以前にまず、仕事との兼ね合いで今回も断念せざるを得ないことになりそうな気配が濃厚ではありますが、それでもとても嬉しいです。彼がまた歌おうとしていることが。おやすみなさい。