almost everyday.

its a matter of taste, yeah

せめて夢の中ででも

お盆にはまだ早いのだけれど、そろそろそういう時期だからでしょうか。ひさしぶりに父親の夢をみました。目覚める前の、ほんのわずかな時間だけれど幸せだった。そっちの様子はさいきんどう?次また会えたら教えてください。
それにしても、ああ、父ちゃんと飲みたいな。ほどよく下世話でくだらない話をしながらビールを次々空にして、それでママンに「まだ飲むの?いい加減にしなさいよ」なんて言われたい。そんなささやかな楽しみは、どんなに強く願ったってもう二度とやってこない。あらためてそう思うと、何だかいまだにひどく悲しい。悲しい。悲しい。

「…ねえ、ヤスミン。おれが死んだら泣く?」
ソウルは、体を半分起こして、ヤスミンを見詰めた。その瞳は、大きく見開かれていて、彼女からの確実な答えを待ちわびていた。
「解らないわ」
ソウルは、目をそらさずに、彼女を見詰め続けていた。彼は、その後に、本当の答えがあるのを知っていた。
「でも、きっと、ナイフで刺されたように、心が痛むと思うの」
「おれの死が、あんたを傷付けるってことだね」
そうじゃない。しかし、ヤスミンは、そこに説明を加えるのをためらった。口に出したら、きっと、彼も、自身にナイフを隠し持つようになる。そんなふうに思うのだった。ソウルは、彼女の思惑には気付かない様子で、残りの飲み物を口に運んだ。チョコレートミルクの髭を口のまわりに付けながら、幼い決意を口にした。
「おれ、じゃ、死なない、絶対」
ソウルは、この時、今まで生きて来た中で、一番、大きな選択をしたのだった。
==アニマル・ロジック / 山田詠美 ISBN4-10-103619-5 新潮文庫P540-541==

↑この小説の中で、いちばん深く突き刺さった部分。今もってなお、なぜ生粋の日本人である彼女がこの題材を選んで長い物語を綴ったのかがわからなくて理解しかねる箇所もずいぶん多いのですが、それでもいくつか泣けてくるほど切実な描写があります。折に触れて思い出してはたまらない気持ちにさせられる。この気持ちを忘れちゃいけない、という気持ちにも。
仕事の話は本日自粛。かわりに、ちょっとうれしかった出来事をひとつ。
泡で出てくるタイプの商品。カビとりスプレーやハンドソープや洗顔料、いろんな種類がありますが大抵どれも「必ず同じ製品の詰替用をお求めください」「違う製品を入れた場合、きちんと出ないおそれがあります」みたいな注意書きがあるんですよね。でも、その詰替用を買いに行ったらたまたまそれが売り切れてたんです。そうは言っても背に腹は代えられないよ、ってことで似たようなやつを買って帰っておそるおそる違う容器に入れてみました。したらばこれが、ちゃんと出ました。そりゃそうだよな、メーカーは違えどきっと容器は大して違わないだろうしな。ひととおり考えてみればふつうに分かりそうなことなんだけど、それを実際に自分でやってみたら上手くいった。というのが何故だか変にうれしかったんでした。しんどいことがいろいろあると、些細なことでもやけに幸せに感じられたりするものですよね。そんなことない?おやすみなさい。