almost everyday.

its a matter of taste, yeah

布施明 君に会いに行くよ AKIRA FUSE LIVE 2016~2017 @トークネットホール仙台(仙台市民会館)

  • あれはいつのことだったか、紅白歌合戦で歌われた「君は薔薇より美しい」がものすごく印象的だったんです。5人ほどの女性ダンサーを従えて、ラッキィ池田のシュールかつコミカルな振り付けで、そのど真ん中で朗々と歌う布施明さまがこの上なく気持ちよさそうに見えて「あんなふうに歌えたらきっとめちゃくちゃ楽しいんだろうな」と思ったことを今もよく覚えています。そして「いつか必ず生歌を聴くんだ」と心に決めていたのでした。それから決して短くはない月日が流れ、今宵とうとうその念願が叶ってしまったというわけです。ひゅー!
  • そうは言っても芸能生活50年、膨大な持ち歌のごく一部しか知らないひよっ子が丸腰で臨むにはあまりにも偉大すぎるレジェンドであるからして、心細さのあまり母を召喚することに。折しも今日は母の日イブ、プレゼントにちょうど良かろうという目論見が見事にハマり二つ返事で同行決定、母娘でいそいそと現地へ向かったのでした。大ホールがほぼみちみちの盛況ぶり、よくチケット取れたよね自分。ざっと見たところ客層は50〜60代中心、ほぼ予想通りであります。
  • さて、いざ開演。客電が落ち、暗闇に響き渡るは「主よ、人の望みの喜びよ」の旋律と女声ハミング。厳かに持ち上がる緞帳、薄闇に佇むバンドメンバー、ステージ中央を照らすスポットライト、両手を広げてポーズを決めるマエストロ。万雷の拍手。オープニングからいきなりこれなのか…!うひゃー、すんごい。格好いい。
  • 最も楽しみにしていた「君は薔薇より美しい」は序盤も序盤、ザ・ピーナッツのカバーを含むメドレーの一角という扱い。それも、小気味のいいジャズアレンジ。正直なところまだまだウォーミングアップの様子見といった段階で肩透かしを食らいましたが、それでもやっぱりあの「変わったあああ〜♪」のビブラートはものすごい声量。惜しむらくは原曲に慣れ親しんだ場内のお客様がほぼ全員おもての手拍子を送っていたところで、あれは是非とも裏拍刻んでスウィングしたかった…!ていうか、そもそもの話として原曲バージョンを中盤あたりにフルで聴きたかったです。くうう。
  • 全編通して知ってる曲より知らない曲の方が多かったものの、前述のとおり声量がものすごいのとテクニックが素晴らしいのとで、曲とか歌詞とか演奏とか全部すっ飛ばして「声が空気をふるわせている」というただそれだけで心が揺さぶられるという得難い体験になりました。公演中、まったく眠たくなんかないのに何度か意識が飛びかけたのにはびっくり。こんなの初めてでした。いや本当に。声で、喉で、歌でゼニを取るというのはこういうことだったんだ…!
  • 終盤、まさに「満を持して」といった趣で披露されたマイウェイは正直期待が大きすぎたというか、わたしの中の千鳥のノブが「クセが強い!」と突っ込みたくなるほど後ろ後ろへ引っ張りまくる節回しであまりのクドさに興醒めしてしまったのですが、本当のクライマックスはここではありませんでした。そのすぐ後、正真正銘最後の曲として披露されたショパンがすごかった。本当に本当にすごかった。イタリア語のオペラ。教会の高い高い天井を突き破らんとするかのごとき豊かな歌声。気づいた時には既に幕が下りていて、滂沱の涙を流していました。ああ、とんでもないものを聴いてしまった。あまりに凄まじくてしばし椅子から立ち上がることができませんでした。以下、本日のセットリストをば。
  • 01.小夜すがら
  • 02.恋のバカンス
  • 03.君は薔薇より美しい
  • 04.仮初の夜は
  • 05.頑張れよと言ったけど 有難うと言ったけど
  • 06.君の歌が聞こえる
  • 07.時は風の如く
  • 08.君に会いに行くよ
  • 09.Dilemma
  • 18.泣かないでMy Friend
  • 19.夢でもいいから
  • 20.青空の彼方星
  • 21.いつでも旅人
  • 22.My Way
  • 23.Tristesse "別れの曲"