almost everyday.

its a matter of taste, yeah

ボヘミアン・ラプソディ

  • というわけで、小雨の降るなか福島へ。常日頃からお世話になっているフォーラム仙台もチネ・ラヴィータも大好きであることに嘘偽りはないけれど、それでもやはり福島のシアター1と3の素晴らしさには到底及ばないのです。幅がやや狭く、奥行きと高低差のあるあの劇場の最後列近くに陣取ると、目線の高さとスクリーンがぴったり同じになってそれだけでもうわくわくしてしまう。映画の世界にすっぽりと身を投じたいときはここで観るのがいちばんだ、とわたしは10代の頃に身体感覚としてそう学びました。
  • 20世紀フォックスのいつものあのジングルがブライアン・メイのギターで奏でられると、そこから先はライブ・エイド当日の朝を迎えたフレディの背中越しの景色。Somebody To Loveが厳かに鳴り響く中、ベッドから出て身仕度をすませ車に乗り込みウェンブリー・スタジアムへと向かい、慌ただしく立ち動くローディーや鈴なりのオーディエンスを細切れにカットインさせじわじわとボルテージを上げたところで、さあいよいよステージへ。掴みはOK、たった1曲でここまで劇場内を暖めるとは何という力技…!時間にしてわずか5分、これほど完璧なイントロダクションがあるものかと舌を巻きました。すごいわ。
  • 時計の針は1970年へと戻り、ヒースロー空港で荷役に勤しみつつ夜遊びに興じる若き日のフレディを追う展開に。目をつけたバンドからシンガーが去ったと知るやすぐさま自分を売り込み、紆余曲折を経つつもあれよあれよと全米ツアーに至る流れのなんとスムーズなことよ。お披露目ライブで後のステージアクションの片鱗を覗かせつつKeep Yourself Aliveを歌い上げる姿にはハラハラしつつもニヤニヤが止まらなかったし、曲の中で地名をいくつもコールすることでツアーの様子を描くくだりはテンポがよすぎて思わず身体を揺らしたくなりました。上り調子で絶好調のこの辺りから既に、すれ違う男の意味深な目線を追う等ベタな伏線をしのばせる演出がとても親切。わたしのような後追い世代も、映画の世界にすんなり入っていけます。
  • ソロから晩年にかけてのドロドロ期は、孤独と苦悩と身体的苦痛を丁寧に描いているもののストーリー展開を逸脱するほど苛烈なものではなく、きっちり映画的手法に則って手堅くまとめてきたなという印象。ここをもっとヘヴィに作り込んでおけば、メンバーとの和解や厳格な父に認められる瞬間がもっとずっとドラマチックに感じられたのでは…という気もします。クライマックスのライブ・エイドも、もっと胸にぐいぐい迫る描きかたがあったように思う。とは言え、十分すばらしい熱量ではあったのです。それよりもっと、もっともっとと願わずにいられないだけのパワーを感じたことは間違いありません。
  • フレディ役のラミ・マレックの、どこまでも透き通るかのようなあの目がとても印象的でした。ブライアン・メイ役のグウィリム・リーは一体どこから見つけてきたんだと驚愕するレベルで本人そっくり。ベン・ハーディはちょっと若すぎるかな、と思ったらまさかの91年生まれでした。パンフレットを熟読した上でもう一度観たいな。願わくば爆音で。
  • 映画のあとは銀行へ。幼少期からのメインバンクと現在使用中の家計簿アプリがAPI方式連携を導入したことに伴い、アプリが実質死に絶えたまま10日以上経過したためしびれを切らして窓口へと赴いた次第です。いやこれ、本当に腹が立ちました。
  • 銀行の電話相談窓口は平日9時5時しか繋がらないので話にならんし、アプリのアンケートフォームは4営業日も待たせた挙句「詳細は銀行へ」などとふざけた回答を寄越すのみだし、そもそもの話として窓口へ赴く手間を軽減するためアプリを使用しているのにあちらの都合で再度の本人確認を求められるという事態が既にどうかしてるわけで。
  • 窓口で要件を伝えた瞬間平謝りされたので気弱な大人はぐっと不満を飲み込みましたが、これって実際怒り心頭でどなり込まれても文句は言えないと思うの。余計な手間を取らされるだけじゃなく、痛くもない腹を探られるようでひたすら不愉快です。マイナンバーって、こういうところにこそ生かすべき仕組みなのでは…。

  • ともあれ、手続き自体はものの数分で終わったため気を取り直して駅前ランチへ。サラダにメイン、季節のミニデザートに店内焙煎のスペシャルティコーヒーという組み合わせにDr.野口一枚でおつりがくるとは素晴らしいです。グァテマラのアロテペケ農園、果実のような香り高さとほのかな甘みがとても美味しい。ふいー、お腹いっぱい。
  • 徒歩圏内のお店で友人に送る花を手配しつつライブ談義に興じた後は、電車に揺られて橘内酒店へ。先月の公園イベントで思いがけなく写楽を堪能できたのが嬉しくて、これは一度馳せ参じねばと意欲を燃やしておったのです。

  • もうね、すごい。ラインナップがとんでもない。天明だけで10種類も置いてある、だと…?ここは天国か。悩みに悩んだ結果、一歩己の純米吟醸と山の井の黒こと純米大吟醸純米吟醸純米酒の3種ブレンド(!)を選びました。こんなん、なかなかお目にかかれません。大事に飲もうっと。
  • …とホクホクしつつレジに並んで、見るとはなしに会計中の先客さんと目が合ってびっくり。まさかの従兄弟でした。えええええ。こんなところでバッタリ出くわす?しかもド平日の真っ昼間に?お互い住んでる土地でもないのに?「何やってんだおめえ」「それはこっちのセリフ!わたし代休。何やってんの仕事中でしょうに*1」お店の方ぽかーん。そりゃそうでしょう、ああ驚いた。ちなみに従兄弟はと言うと、本数限定の裏ロ万を意気揚々と掲げてました。酒飲みの血は争えない、とあらためて震撼した次第であります。
  • その後は姉宅に立ち寄り、パブロの酪王カフェオレチーズタルトを手みやげに談笑して帰宅。つい先日二十歳の誕生日を迎えた姪は「これでやっと大手を振って外で飲めるの〜」とニコニコしながら東口へと去って行きました。酒飲みの血は争えない…(本日2回め)。充実の代休でした。岸パイセンはどのユニホームを着ても似合うな。フォトジェニック!おやすみなさい。

*1:社長なもんでやりたい放題なのです