almost everyday.

its a matter of taste, yeah

天使のみつけかた

帰りがけにガソリンスタンドへ立ち寄ったときの話。

いつものお店に車を乗り入れるとそこには、今まで一度も顔を見たことのない店員さんがいました。新入りさんなのでしょうか、まだ汚れも油もついていないさっぱりとした帽子をかぶったはたちくらいの男の子です。これは、窓を開けてカードを渡していつものように給油を頼んだ際のやりとり。その男の子が何気ない感じで「いまお仕事帰りですか?」と訊いてきたので「はい、そうですよー」と短く答えると、その子はほんの少しだけ間を置いて、なぜか小さくため息をつくような感嘆するような調子で小さく「ああ、」と声をもらしたその後で「おつかれさまです、遅くまで大変ですね」と言ったのでした。まぶしいものを見るように細めた目でわたしを見下ろして、実に清潔にすっきり笑って。

その間とその「ああ、」とその笑いかたが何故だかひどく良いものに思えて仕方なく、左肩にべったり重たく張り付いたままでいた凝りや痛みや苦しさまでもがほんの一瞬すうっと消えた、ようにさえ思えて何だか頭がぼうっとしてしまったのでした。あんなふうに不特定多数の誰かに笑いかけることができるだなんて、さてはあなた天使ですね?お目にかかれて光栄です。それにしてもいったい、何を食べてどう眠って、何を見て何を聴いて何に触れればあんなふうに笑えるようになれるのでしょう。わからない。わからないけど、それでも今夜はいい夢が見られそうです。おやすみなさい。