almost everyday.

its a matter of taste, yeah

夜の不良

実家にくるといつもいつも、おそろしく早い時間に叩き起こされるのがしんどいです。勘弁してー。朝食のあとは買い出し要員として朝市やらドラッグストアやらを一巡、うちのママンは車を運転しないので必然的に全コースくまなくお付き合いすることになるわけで、これまた大変です。ていうかこのひとは随分マメな主婦なのだなぁ、と今更ながらに実感しました。わたしには到底無理な芸当ですよ。野菜市で見つけたオクラがとてもみずみずしいきみどり色をしていてうぶ毛もやわらかく、そして何よりびっくりするほど大きいのに感服。持ち帰り用にひとつ多く買ってもらってほくほくです。どうやって食べようかなぁ。たのしみ。

いったん家へ戻り荷を下ろし、父方のお墓参りへ行くことに。先日のお盆もその前の彼岸にも来なかったので、たぶんものすごく久しぶりです。ごめんねじいちゃん。わたしの夢に実在の人が登場することはあまりないのですが(大抵は知らない人、またはこちらが一方的に知っているだけの人が出てきます)、このじいちゃんの夢だけはわりと定期的に見るので「あんまり出てきてくれなくていいよ、また来るから」と念じておきました。それからふと気になって「わたし、今死んだらここに入れてもらえるのかなぁ」とママンに訊いてみたところ「あたしはやーよ、だからアンタも入らないんじゃない?」という返事が。・・・・・・いくら何でも、墓前でする会話じゃないよなぁ。返す返すもごめんなさい、じいちゃん。わたしは悪い孫です。

午後から友人と会う約束をしていたので、とりあえず福島へ。待ち合わせにはまだ時間があるし本屋でものぞいてみるかね、と思い車を置こうとしたら、偶然高校時代の先生とすれ違いました。このひとはいつも両手に重たそうな革鞄を下げて、定規のようにまっすぐ背筋を伸ばして歩くので、遠くからでもすぐに誰だか分かるのです。卒業してから6年弱、前にこれと似たような状況で話した時からも既に3年ほど経ってるはずなので、せっかくだからと声をかけることに。卒業年次と名前と告げたら前回同様「ああ、あの髪の短い陸上部の」と言われてしまい、彼の中ではそこまで記憶に残るほどすがすがしい短髪ぷりだったのか自分は、と今更ながら不安になりました。

それはまあいい。この方はたぶんもう55歳くらいになってるはずなのだけど、未婚で浮いた話もなくて授業も静かで声を荒げることさえ滅多になくて、単純に言ってしまえば地味なだけの先生でした。が、とてもとても声が綺麗で、わたしはおそらくただそれだけの理由から彼の授業でただの一度も眠ったことがなかったのです。今もこうして話してるだけで、どこか涼しい森の中か綺麗な小川のほとりにでもいるような気分なのですよ。実際にはぎらぎら光を反射するアスファルトの上にいるというのに。だからこそ、変なお世辞みたいなことは言ってほしくなかったのになぁ。「あなた、高校の頃からちっとも変わっていませんね」だなんて、そのうつくしい声で言われたら何だか逆にかなしくなりますよ。きっとわたしの髪しか憶えていないくせに。それはそうと恩師に気を遣わせるなんて、わたしも随分容色が衰えたのだろうな。ますます辛いわ。次に声をかけるのは10年後くらいにしとこうかしら。無事に生きてるといいですね、お互い。お元気で。

気を取り直して、友人ふたりと合流。ハンバーグ屋に入ったのに注文したのは居酒屋のメニューみたいなやつばかりで、結局ろくにものも食べず3時間あまりも喋りたおしてきました。現在妊娠中の友人はダンナの両親との同居がしんどいと訴え、もうひとりは職場のおばはんにやられっぱなしで5キロ痩せたとげっそりしており、話題が全体的に年寄りくさく、じゃなくていい大人みたいな感じになってきたなーと一同しみじみ。妊娠中の友人は出産後ダンナと3人で引っ越すのだとかで、今のところはそれだけが心の支えみたいな感じで目をキラキラさせておりました。そしたら遊びに行き放題だわねー、と3人して顔を見合わせニヤリと笑ったところで解散。次に会うのは彼女の出産見舞いかなぁ。楽しみ。

家へ帰る途中、スーパー銭湯の看板を見たら何となく大きいお風呂に入りたくなりました。それで帰宅後ママンを誘ってみたところ、二つ返事でついてきたのでそのまま福島方面へ逆戻り。専業主婦で車も免許も持たない彼女は暗くなってから外出するだけでも嬉しいらしく、わたしは何だか申し訳ないような気分になりましたよ。訊いてみたらばスーパー銭湯も初めてですって。今日だっておそらく、父上が飲みに出かけたりしなければ付いてきたりしなかったのかも。変な気分だわー、これじゃまるで後輩を悪の道に誘い込んでるみたいじゃないか。自分の親なのに。何だかいたたまれなくなってしまい、普段なら入浴だけで済ませるところへ整体20分コースも付けて差し上げました。喜んでいただけたようで何よりです。おやすみなさい。