almost everyday.

its a matter of taste, yeah

ぱくぱく

いまこの世に存在する文化だとか芸術だとかいった類のものはほぼ全て例外なく、歴史とか伝統だとかとそういう名前で呼ばれるフォーマットに、あちこちから借りてきたものを切って貼って重ねてまとめて完成されたり廃れたり妙なぐあいに変化したり大仰なものにさせられたりしてきたのだと思うのです。要は、まねっことかオマージュを捧げるとかアイディアを拝借するとかあるいはいっそぱくるとか、そういうこと。それがいいことなのかどうかというのは、もはや問題ではありません。だって、現実というか真実というか、むしろそれが歴史そのものなんですもの。いま考えたいのはそういうんじゃなくて、「ぱくり」をめぐる「許せなさ」の度合いについてです。

まず、自分の「嫌いなひと」が「好きなひと」の作品をぱくった場合。これはもう、作品の出来がどうあれただただ怒りにふるえるのみだと思います。良きにつけ悪しきにつけ、それにまつわる全てに神経をとがらせてしまいそうです、わたしなら。逆に「好きなひと」が「嫌いなひと」の作品をぱくった場合、まずショックを受けることは明白ですがその後のリアクションは作品の出来に大きく左右されそうな気がします。「さすがは俺の認めたひとだ。あんな駄曲がこんなにすばらしく生まれ変わったよ」あるいは「なんてこった、俺の好きなひとがあんな野郎に毒されちゃったよ」みたいな感じで。ならば「嫌いなひと」が「嫌いなひと」をぱくったとしたらどうか?というと、それにはそもそもあまり気を引かれないかもしれません。もしくは、その状況を傍観して意地悪くほくそ笑んでみたりせせら笑ったりしてみるとか(ごめんなさい性格わるいんです)。

それならば。「好きなひと」が「好きなひと」の作品に手を出してしまった場合は?・・・・・・わたしはどうも、これが最も複雑なのではないかという気がするのです。好き×好きの相乗効果で気持ちは既に盛り上がってるわけで、期待度もそれに比例してぐいぐい上昇しまくっているのは明らかなんですもの。それがばっちりはまっていい作品に仕上がってくれていれば何も言うことはないけれど、問題はその逆だった場合です。どっちも好きなのに、良くないはずがないはずなのに、どうにもこうにも残念なことになってる。という状況において、頭ではそれがすっかりわかっていても気持ちの上ではなかなかそれを受け入れられないのではないか。という気がしてならないのです。うーんうーん。

こんなにぐだぐだ要らんことばっか書き連ねて結局何が言いたいのかというと、それはつまりあれですくるりさんの新曲のことです。いっぺん聴いて絶句してその後何度か聴きなおして、どうにか無理やり耳になじませようと試みて、それが少しは上手くいったと一度は思えた気がしたのだけれど、冷静によく考えてみたらやっぱりうーんと唸ってしまわずにいられなかったのでした。初めて、「許せない」と思った。「そりゃないだろう」とか「やりすぎだろう」などというのはこれまでにも何度かあったけど、「許せない」とまで思ったのはこれが初めてです。月の川だけならまだしも悪い指まで、ああまであからさまにフィーチャーして、それを「わたしの歌です」と言って売るのはさすがにどうかしてると思うのよ岸田さん!ついでに言うと弦はほんのちょっぴりオエイシスじゃないですか。あああ。迷ってます。アルバム買うの、買わないの?俺。どうしよう。カップリングがいい感じの変態っぷり(褒めてます)を発揮してるだけに、なおさら悩ましいです。ああ。

おまけでもひとつ番外編を挙げるとすれば、「特に思い入れのないひと」が「特に思い入れのないひと」をぱくってそれが思いがけず「すばらしい出来」だった場合。というのがいちばん無責任に楽しめるのではないかと思います。具体例を示すなら、個人的には「オレ○○○ンジ」の「ロコ○○○○ン」がまさにそれでした。あのひとたちのあの曲だけは、例外的に妙なぐあいにストライクでした。テレビやラジオで流れてきたらつられて思わず口ずさんじゃう確率8割オーバーの人懐っこさ、アホっぽくてエロっちくてどうしようもなく下世話な詞、それに何よりあの、悪びれるそぶりさえ感じられないあっけらかんとした悪ガキぶり。どれをとってもほれぼれするほど無敵だと思いました。だからと言って買ったりはしませんでしたが。何故って、その距離感をも含めた全てがパーフェクトだったからです。離れてるからこそ面白がれるのです。たぶんね。

====================

今週もよく働きました。いのこりまではしないけど、相変わらず気の休まりきらない日々が続いております。その結果、今週末が父の日だってことをすっかり失念しておりました。わー!どうしよう。とりあえず、日曜の午後は手土産持参で相方んちへ赴くことにします。何を買うかはまだ決めてません。困ったな。おやすみなさい。