almost everyday.

its a matter of taste, yeah

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス

  • MOVIXにてしあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスシェイプ・オブ・ウォーターサリー・ホーキンスの眼力にすっかり参ってしまい、タイミングよくほぼ同時期公開となったこれまた主演作を観に長町まで馳せ参じました。こちらは2016年作。
  • サリーに関してはどちらかといえば実力派のバイプレイヤー、脇役として作品に深みをもたらす存在と認識していたのですが*1、いざ主役に据えてみたらこんなに華があるなんて、と目をみはったのがつい先週のこと。しかも本作は実在した人物の生涯を追うドキュメンタリー作品、エンドロールで見たモード・ルイス本人の仕草や眼差しがサリーの演技と見事にシンクロして見えて思わず息を呑みました。これはまさしく憑依型のサリー・ホーキンス、そこへ持ってきてパートナー役にイーサン・ホーク。配役からして間違いない、大成功のパターンと言えましょう。
  • 本作のモデル、モード・ルイスはカナダ出身の1903年生まれ。時代背景を考えればさもありなんと頷ける話ではあるものの、序盤でイーサン演じる後の夫・エベレットがなかなかに支配的かつ粗暴な男として描かれるあたり、男女雇用機会均等法がいちおう浸透しているはずの現代を生きる身からするとけっこう面食らいます。紆余曲折を経て距離を縮めた二人はやがて結婚するのですが、時間の経過や気持ちの変化にたっぷり尺を割いてるわりにはその辺ちょっと分かりにくいというか、芸達者な二人の技量に頼りすぎではないかという気がしました。行間を読ませるタイプの作品というのはわかるけど、それでも。
  • 孤独なエベレットを取り巻く世界にモードの絵が増えるにつれ、あれほど険しかった表情が少しずつ柔らかくなっていく過程がよかったです。オイルサーディンの空き缶をパレット代わりに使うモードが、エベレットと出会ったきっかけを終生大事にしていた描写にもぐっときました。いつも何だか鼻歌みたいな節回しで話すモード、愛らしかったな。邦題が長すぎ、かつ散漫な印象で記憶に残りにくいのが残念。
  • さて、今日の本題はここから。春以降ちょっとばかし忙しくなるので、今後の治療&投薬プランにお伺いを立てるべくかかりつけ医へ。めずらしく高齢の院長がお出ましだったため話がうまく通じるか不安でしたが、検査結果にざっと目を通したその3秒後「うん、いいね!どの数値も申し分ないよ〜」とのお墨付きを頂戴したのでよしここだ、と覚悟を決めてかくかくしかじか説明することしばし。常備薬、無事これまでの倍量を確保いたしました。ふいー、安心。ひと安心。よかったよかった。おやすみなさい。

*1:「僕と世界の方程式」におけるシングルマザー役など

二十六夜待ち

  • 終業後、光の速さで仙台セントラルホールへ。二十六夜待ち、ずっと待ってた。それはもう二十六夜どころの話ではなく、年末?なんなら秋口?頃からずっとずっと待ち焦がれていたのでした。何故ってそれは、いま自分と同じ街に暮らす作家の小説が、自分の二十代ほぼ全てを過ごしたいわきで映像化された作品であるとともに、劇伴を仙台の至宝ことyumboが手がけているからに他なりません。これを観ずに何を観る、という話です。いや本当に。
  • そもそもの話として、お膝もとの仙台やロケ地いわきで先行上映されて然るべき作品だと思うんですよね、これ。何だってまた公開から3か月も後回しにされてんですかね。3.11に合わせるため?バカも休み休み言えって話じゃないすかね。いわきなんてまだ上映予定すら決まってないですし。それ以前にまず公式情報がTwitter頼みとか、いくらなんでももうちょっと何とかならなかったですかね…?作ったら作りっぱなしってそれはどうなの。井浦新×黒川芽以W主演という立派な看板を活かさなくてどうするんだって話ですよ。東北、特に福島の民は総じて商売っ気がないっつうかものを売る気があんまり感じられないっつうか、その純朴さ素っ気なさ奥ゆかしさこそがまあチャームポイントと呼べないこともないとかなんとか身内の欲目で結論づけたくなりがちですけど、そういうところを差し引いてもなおいろんな意味で「もっといろいろ頑張れたんじゃないですかね?」と言いたくなりました。
  • 翻って震災当時、わたしはいわきを離れ仙台で暮らし始めてちょうと1年になろうかという時期でした。地域に根ざしてる系の職を生業としている関係で、休む間もなくあちこちの避難所を回る日々が続きました。そんな混乱期を経てしばらく経った頃、心身に異変が現れました。「頑張れ」という言葉をかけられるのが突然ひどく辛くなり、自分の意志とは関係なしにぼろぼろ涙がこぼれるようになりました。寝る間も惜しんで身を粉にして働いて、これ以上何をどう頑張ればいいのかわからない。こんな日々がいつまで続くのかもわからない。あのひとが波に飲まれてわたしなんかが生き残った意味がわからない。何から何までわからない。
  • 生きる意味とか生き残った意味だとか、そんな大仰な話よりもずっと先、そもそも自分が今立たされてる足元の地面すら気を抜いたらすぐに崩れ落ちてしまいそう。そういう状態を訳もわからず駆け抜けて、そこから既に7年が経って、かつてあれほど自分を傷つけた「頑張れ」を今やフィクションの作り手につきつけようとするまでになっている。にもかかわらず、傷口は未だ癒えずかさぶた一枚隔てた奥にまだ血が滲んでいる。手が届きそうで届かないもどかしさ、そこへ直に触れてしまうのを恐れる気持ち。そういうところを焦らずゆっくり、辛抱強く見守るように、あるいは祈りを捧げるように映画にしてもらえたような気がしました。
  • 脚本・監督は「海辺の生と死」の越川道夫、シーン毎のたっぷりとした間はここでも現在。陽光あふれる奄美ではなく、涼しい風が吹き抜ける小名浜でもない、やや内陸寄りに位置するいわきのど真ん中・平。ぎりぎり最南端とはいえやはりどこか東北らしい翳と湿り気を帯びた映像は、かつて十年近くあの町に住んだ自分から見ても完全にそっくりそのまま同じ質感を湛えていると感じました。
  • 撮影は「ワンダフルライフ」をはじめ是枝作品を数多く手がける山崎裕。パートの面接に訪れた由実をカウンター越しに窺う場面、初めて由実に触れようと手を伸ばす場面、時にぎこちなく時に激しく揺れるフレームは心の動きに寄り添いながらもどこか俯瞰しているようで、肌を重ね合う気の昂り以上に痛みや孤独が伝わってくるようでした。夜ごと幾度も身体を交わしてやっと、穏やかな笑みと他愛もない言葉にたどり着いた瞬間が何よりも愛おしかった。8年と2時間と宙に浮いた幾度もの間を経てこその愛おしさだと思えました。
  • 澁谷さんの劇伴は映像効果を増幅するものではなく、クライマックスを引き立てるものでもなく、二人が川べりで摘んでは活ける野の草花のようにただそこにあるものとして鳴っていました。かつて長く暮らした町に、その先の毎日を過ごす街で生まれた音楽がしみ込むように馴染んでいるのは、何だか奇跡を見ているみたいでとても嬉しかったです。
  • もう少しうまくまとめることができたら、後でまた何か書き足すかもしれません。おやすみなさい。

一生懸命って素敵そうじゃん

  • 起きたら快晴。いい天気。というわけで、ドライブがてらちょっとそこまで。

  • 青根温泉、日帰り湯。タイミングが良かったようで、1時間弱ずっと最初から最後までこの絶景をひとりじめできました。ふおおお贅沢…!源泉かけ流しのお湯は無色無臭で肌に吸いつくような質感、身体がしんから温まりました。お昼は近くで美味しいお蕎麦を。

  • 下足天つきの寒ざらし蕎麦をそばつゆと温かいきのこだしで。透明感のあるやや太麺、むっちりして美味しかったです。夫の田舎蕎麦はもう少しそば粉の香りが強く、こちらもまた美味しかった。お風呂上がりのお蕎麦は美味しいな。
  • 帰宅後、7年めの節目には黙祷を。
  • 夕方、散歩がてら買い出しに。夫のホワイトデーはキルフェボンの黒豆ショコラ、その他書店などを回って早めに帰宅しました。充実の休日。おやすみなさい。

Sabotage

  • 暖かな朝、そして湿気の多い朝。窓や床や壁の湿りぐあいが完全に6月のそれとおんなじで、そろそろコートを春物に替えようかしらと思いました。おそらく3日後くらいにすぐ後悔するんだけど、それでも。
  • いやー、それにしても今週は長かった。しんどかった。ふいー、くたくた。たまたまテレビをつけたらMステにperfumeパラリンピック開会式が風間俊介×増田明美という絶妙ぶりなので何だかとてもいい気分です。おやすみなさい。