almost everyday.

its a matter of taste, yeah

呼吸さえ一秒

  • 橋本治の文章に初めて触れたのはごく幼い頃のことで、当時姉が単発的に買い集めていたアイドル雑誌のコラムか何かだった記憶があります。今となってはもはやその記憶も曖昧だけれど、大人の男のひとというよりむしろおじさんと言っていい年齢のはずなのに、やけにくだけた文章を書くのだなあと驚いたのを覚えてる。今にして思えば当時は桃尻娘がヒットして間もない頃で、同じテイストのテキストを求められるまま大量に書いていたのではないかと推測されます。
  • その「桃尻語」とは80年代のポップでキッチュなキャピキャピ感に満ち満ちたものであり、2〜3世代ほど後に思春期を迎えた自分にぴったりフィットしたとは言いがたく、当時の感覚で言えばむしろ若干スベってる感すらありました。そういうわけで10代のうちは特段ハマることもなく過ごしたのですが、成人後に時事評論や新書であらためてその飄々とした明晰さに触れ、また洒脱な掌編から重厚な長編まで自在にこなす筆の巧みさにもひれ伏し、あちこちいくつか拾い読みして現在に至っております。とにかく著作が多すぎて、きっと全仕事の一割も読めてないと思う。「愛の矢車草」「上司は思いつきでものを言う」「『わからない』という方法」「リア家の人々」あたりは特に何度も読み返したものです。新作は二度と読めないけれど、まだまだ未読作品があると思えば少しは救われるかも。
  • かれこれ15年あまり断続的に使い続けてきた仕事用の布バッグがとうとうほつれてしまい、同じ形のものがどうしても欲しくて諦めきれなくてずっと探してたんですね。A4ファイルが横にすとんと入って、ガバッと開いて留め金もあって、内ポケットがついていて、手提げにも肩掛けにもできて、嵩張らず適度に柔らかく、洗濯できて、そして何より軽量であること。これら全ての条件を満たすものがほとんどなくてしょんぼりしてたんですけども、やっとやっと理想に近い形のものが見つかりました。大事に使うよ、うちに来てくれてありがとう。おやすみなさい。