MONOBRIGHTの何が好きって自分の場合、ポップな曲もねじれた歌詞もどっしりしたリズムもぶっ飛んだギターも総じてどこかいびつで変態ぽいところなのですが(褒めてます)。どれだけ音がやりたい放題暴走しても、いつも必ずど真ん中にあの声があるってことはすごい強みなんだなー。というようなことを、今日のライブであらためて思い知らされました。湿り気もなく乾いてもいないまっすぐな声は、エフェクトどころかマイクさえ通さなくても瑞々しくなめらかで力強かったです。デビュー後しばらく経った今なお都会の絵の具に染まりきらないというか、畑から引き抜いてきたままの野菜みたいな素材のよさが際立ってるというか。たまらんなー。ツアー中につき、以下たたんでおきます。
開演は19:30、セットはアコギとマイクとエフェクタひとつ。カンカン帽に着流し・草履という出で立ちは月亭可朝師匠をイメージしているのだそうです。オープニングは"WARP"、元が直線的な印象の強い曲なのでいきなり驚かされました。今日は弾き語りだし静かめの曲が多いのかなーと思ってましたが、"DANCING BABE"やら"この人、大丈夫ですか"やら"JOYJOYエクスペリエンス"やら"踊る脳"やら「よりによってそれ?」といういつものライブの定番曲ばかり。ある意味、期待を裏切らない…!さすがです。
カバーも意外な選曲が多く、イースタンユースの"青すぎる空"が来たときにはまたしても「よりによって…!」と思わされました。イースタンを選んだ時点で声を張らなきゃならんのは明らかなわけで、中でも特にしんどそう&難しそうなこれで来るかと。しかし本当に好きなんだねこの曲、ていうのがびしびし伝わってくる熱のこもった歌いっぷりに漢をみた気がいたしました。続くカバーもこれまた原曲が激しい(らしい)9mm曲で、こちらは仙台限定のご当地カバーなのだそうです。9mm、ベースの方が仙台出身だとか。カバーは他に事務所のドン・桑田御大やモンキーズからの忌野さん、ユニコーンと全5曲。こうして見ると、わりかしカバー比率高かったですね。カバー曲はちょいちょい左手あぶなっかしいところもあって何度かひやひやさせられましたが、その都度どうにかうまいこと繋いで和ませて持ち直してました。こういうステージ運びとか場数を踏んだ経験とかが、いずれバンドに還元されたら今後のライブがますますおもしろくなるんじゃないかなー、という希望的観測もあったり。それにしても今日は終始、場内の雰囲気がよかったです。和やかというか穏やかというか、それでいてノリも良いというか。男子も意外に多かった、かも。少なくとも想像したよりはずっと。
バンドとしては現在曲づくり真っ只中、というわけで新曲も披露されました。中盤で場内からのリクエストにより演奏された「別の海」にも通じる故郷の歌、これからどんなアレンジが施されるんでしょうか。たのしみです。
本日の自分内ハイライトは最後の"まぼろし"、デビュー前のソロ活動時からずっと弾き語りでは必ず歌い続けてきたという1stアルバム収録のこの曲がとにかく素晴らしかったです。「最後の曲なので」とマイクを通さずに歌われたその声を聴いている間じゅうずっと、今この場所のこの瞬間のこの空気の震えかたを忘れず覚えていたいと思ってました。いい歌だなあ。いい声だなあ。今日ここに来られてよかったよ、ほんとうに。
セットリストは、たぶんこんな感じだったと思います。
- WARP
- DANCING BABE
- 青すぎる空 (EASTERN YOUTHカバー)
- The World (9mm Parabellum Bulletカバー)
- 町 (新曲)
- 白い恋人達 (桑田佳祐カバー)
- この人、大丈夫ですか
- 別の海
- デイドリーム・ビリーバー (忌野清志郎カバー)
- JOYJOYエクスペリエンス
- 踊る脳
アンコール
- すばらしい日々 (UNICORNカバー)
- まぼろし