almost everyday.

its a matter of taste, yeah

カーマイン・ストリート・ギター

  • 9月、つまりは上半期の最終日。この期に及んで未だ消化できていない夏休みを半ば強制的に取らされるの巻。
  • ちなみに本日、うちの課全員似たような状況に陥っておりまして、まともに出勤するのは課長だけという非常事態だったりします。「さあ、今こそ思い知れ日々の俺らのマルチタスクっぷりを〜!」という底意地の悪さと「処遇に困ってしれっと電話かけて来るんじゃねえぞ」という祈りにも似た気持ちが交錯してたわけなんですけど、いざ蓋を開けてみたら9時過ぎくらいに早速ヘルプの電話が来ましてね。なんて言うかもう、乾いた笑いが収まりませんよねって話で。休んだ気がしねえっつうのよ、こんなことなら終日電源切っときゃよかった。気が休まらない。
  • 10時、あまりに天気が良いのでドライブがてらコーヒー屋さんへ。田んぼの真ん中を貫くように車を走らせ、南側からきれいに稲刈りが済んでいる眺めの美しさにめ目をみはりました。北側は山に面しているのできっと日当たりやなんかが違うのだろうな、なんてことを思ったりとか。
  • ひっきりなしにお客さんが訪れるお店は今日も賑やかで、豆を熱する香ばしい匂いと金木犀とが混ざり合う今この季節だけの空気に満ちていました。ここの金木犀は他より何だか柔らかく香っているような気がします。ふしぎ。

  • 午後、チネでカーマイン・ストリート・ギター。とにかくめちゃくちゃ音が良く、ギターはもとより街の雑踏、水の流れ、鳥のさえずりまでクリアに響く奥行きの深さが心地よかったです。さらには聴覚のみならず目配りも素晴らしく、工房を舞う木材の細かな破片や弟子のシンディが操る焼きごての煙までもが丁寧に収められていました。また、ルー・リードの思い出を語るスチュアートや勤続5年の祝福に感極まるシンディを追うカメラがまるでわれわれ観客の「これは聞き捨てならない」という気持ちと呼応するかのように揺れたりブレたり不意に被写体にズームしたりするのがとても良かったです。店主ことリックの姿を丁寧に正確に追おうとするのと同じように、観客として映画に触れるこちら側の気持ちにも寄り添ってもらえているような温かみを感じました。
  • ギターショップの月曜から金曜までを追う構成には、本作にも登場するジム・ジャームッシュの近作「パターソン」へのリスペクトも少なからずあるのではないかしら。出演者がみな笑顔で、観ていてとてもいい気分になれるドキュメンタリーでした。生きがいを生業にしているひとは強くて優しいな、すごくいいなと思えた自分はまだ大丈夫かしら、いろんな意味で。ジェフ・トゥイーディーの誕生日にギターを贈ろうと来店するネルス・クラインの目はどこまでも優しく、事故にもめげず新たな弾き方を模索するジェイミー・ヒンスの顔つきは飄々として楽しげでさえあったな、格好よかったな。おやすみなさい。