写真:水平線をみて必要以上にやたらと心が安らぐときは、どこかしら気持ちのバランスが崩れかけています。わたしの場合は。
目を覚ましたら空気がひんやりとして気持ちのいい朝だったので、夏の間お休みしていたおめざ味噌汁をひさしぶりに作りました。具は、豆腐ときゃべつと大ぶりに割いたえりんぎです。温かいものがおなかに入ると、心なしか頭がしゃっきりする気が。気持ちいい。
始業前、ちょっとしたトラブルがあって現場へ急行。幸い大した事態には至らず、やれやれと思いながら職場へ戻ろうとしたときの話です。遠くのほうから人の声がかすかに聞こえて後ろを振り返ったら、閉まった門の向こうからでっかい白人男性が必死の形相でぶんぶん腕を振っていました。どうでもいい話ではありますが、そのとき彼がわたしに向かって発していた言葉は「ヘイ!ボーイ!」でした。とりあえず話を聞こうとそちらへ歩み寄りながら「そーりー、あいむのっとぼーい」といちおう返事はしたのですが、今になってよく考えてみると謝るべきは向こうのような気もします。それはまあいい。話しぶりから察するに、あまり英語が得意ではないらしいそのひと(たぶんロシア人)はわたしの返事にまったく興味を示さないまま身振り手振りで「(門と腕時計を交互に指差しながら)このゲートは何時になったら開くんだ?」というようなことを訊いてきました。「めいびー、えいと。すーん。」と答えたらほっとしたのか我に返ったのか定かではありませんが、今度は困惑したような疑わしいような表情を浮かべて遠慮がちに「…ハウオールド?」と訊いてきました。低い声で簡潔に「あいむ、さーてぃ」と答えたら目玉ひん剥いて驚いてたので「だったら幾つに見えるっつうんだよ」と少しばかり傷ついたような気持ちにって回れ右して帰ってきたのですが、今になってよく考えてみるとひょっとしたら「さーてぃ」が「さーてぃーん」に聞こえてたのかもしれない。いや、そうに違いない。という気がしてきました。そりゃ驚くわ。ごめんね滑舌わるくて。おやすみなさい。