almost everyday.

its a matter of taste, yeah

真実

  • 朝、フォーラムで真実。日本人監督がフランス人キャスト&スタッフ(一部アメリカ人)とともに全編フランスで製作した映画、一体どんな仕上がりなのだろうと思ってました。結果、想像以上にフランス的でありながら想像以上に日本的でもあったように思います。映像がまとう乾いた質感や光の柔らかさ、ハイコンテクストかつ細部の解釈を観客に委ねる余白の豊かさはわたしが知る限りのフランス映画らしく、台詞の間合いや細部にわたる伏線回収、それに何より余韻を残しつつも結末がすとんと腑に落ちるあの感じこそが日本映画らしいと感じました。むしろ映画というよりも、昔話の「めでたし、めでたし。」に近い感触かもしれない。
  • 主演の母娘をはじめパリ組が皆フランス語で話す中、娘婿が蚊帳の外に取り残される姿からは撮影クルーにおける監督の立ち位置を想起せずにいられないし、国民的女優である母が「(女優ではない)あなたにはわからないでしょうけど」と語りかける娘もまた現実には世界三代映画賞女優なわけで、そこら辺のメタ感にいちいち膝を打ちたくなるというかもろもろ何とも絶妙なのですよね。映画内映画の撮影シーンやその設定もストーリーとリンクしていて、台本読みの場面などは実際の役づくりまで追っているかのようなラフさでした。「奇跡」における子どもたちの作戦会議や、もっと遡れば「ワンダフルライフ」で飛行機雲を再現する場面と同じドキュメンタリー感があってわくわくしました。
  • 細部を辿ると、マノンが身につける衣装はどれも身体に吸いつくようにぴったりでとても美しかったです。映画内映画の白い襟高プリーツワンピース、サラの遺品の黒いワンピース。他のどの女優より声が低いのも印象的でした。終盤の食事のあと、街角の演奏に合わせて皆が手を取り合って踊るシーンのカメラワークがとてもよかった。それとリュディヴィーヌ・サニエは役得だなあと思いました。楽しそう。