almost everyday.

its a matter of taste, yeah

ヘルムート・ニュートンと12人の女たち

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  • 朝いち、チネでヘルムート・ニュートンと12人の女たち。かつての被写体やエディター、同業者でもある妻の談話を織り交ぜながら撮影風景や本人コメントを紐解いていく内容でした。とりわけ印象的だったのは、カメラ越しに彼と対峙したモデルや女優が皆にこやかに饒舌に語っていたこと。冒頭から矢継ぎ早に繰り出される作品群を見るに、ヘルムートの作品はモードの最先端を突き進みながらも相当にクセが強く、作家性ありきといった印象を受けます。単に脱ぐのをためらうだけでなく、どんなディレクションがなされるかさっぱり分からない…という不安、つまり「現場の雰囲気と勢い」「やらされてる感」みたいなものに押し流されたクチの人もいるんじゃないかとばかり思ったんですけど、実際にはみな若き日の良き思い出を懐かしむようであり、中には女優活動のターニングポイントとまで言い切る姿も。美しい容姿に恵まれた彼女たちでさえ見つけられずにいた自分の別の顔に出会わせてくれた、あるいは自分自身が張り巡らせていた抑圧の檻を打ち破るきっかけを与えてくれたアーティストとして畏敬の念を抱いているのがわかりました。
  • なんて言ったらいいんだろう、戦隊ヒーローみたいだなこれ。セットもメイクも髪も服も靴もネイルも全部バシッと決めてもらったら違う自分に変身しちゃいました、とでもいうような。セーラームーンでもプリキュアでもなく、あくまでヒーロー。成熟した女性が強い眼差しで世界のすべてを見下ろすようなあの写真たちには、男どころかあらゆるものを屈服させる気高さと凛々しさとある種の威厳が宿っているように見えるのです。
  • この考察があながち的外れでもないっぽい、と確信を得るに至ったのはイザベラ・ロッセリーニの談話。「(女性である)レニ・リーフェンシュタールが男性を描くやり方で彼は女性を撮った」とのコメントがものすごくストンと腑に落ちました。2年前にアップリンクで観たリーフェンシュタールのドキュメンタリーがこんなところに繋がってくるなんて…!と膝を打った次第であります。幼少期に国威発揚プロパガンダを刷り込まれたがゆえの表現技法としてみるとまた違った見えかたもありそう。鷄とブルガリの組み合わせなど、意図や背景を勘繰りたくなる刺激的な作品ばかりで上映時間があっという間でした。演出や音楽も格好よかった。その後の話はまた後で。

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  • 散歩の後にお風呂とごはん、出勤する夫を見送ってから映画館へ。このところ、休日は散歩の後にサウナよろしく交互浴をキメるのが習慣と化しつつあります。サウナではじんわり身体を温めた後の水風呂こそが至高ですが、自宅では逆に水シャワーをじゃぶじゃぶ浴びた後の温かい湯舟がたいへん気持ちいいですね。いずれにしても、休日の朝からお風呂に浸かるのはとてもしあわせです。おやすみなさい。