almost everyday.

its a matter of taste, yeah

悲しみの果てを見たことはない

朝から強い雨。にもかかわらず、傘さして外仕事。本日の連れは隣の部屋のおっちゃんで、最初のうちこそ「梅雨明けねーなー」「そーですねえ」等害のない話をしていたのに、ネタが切れたら「あのさぁ、仕事忙しすぎて死にてぇとか思ったことない?」とか「俺の同期、現時点でもう3人死んでんだよな・・・」とかだんだんダークな話になってきて、この上空の雲行き同様暗澹とした気持ちになりました。ちなみに自分は「消えちゃいたいなあ」と思うことはあっても「死にたいなあ」と思ったことはないような気がします。死に値するほどの絶望、ってどんなんだろう。ううむ。
後から後から仕事はどんどんたまっていきますが、お昼の時報を聞くと同時に本日はタイムアップ。机の上を片付けて終わった分の作業を次の担当に引き継ぎ、ダッシュで帰宅。もろもろの雑用を済ませ、すべりこみで15時のバスに乗り込みました。仙台行きの高速バス、さすが平日(しかも雨ふり)ということでおそろしく空いております。自分の他に3人しか乗ってないや。最後部座席を極限まで倒し、ほとんど水平に近いくらいの体勢であっという間に眠りに落ちました。耳から流し込んでるのはNYANTORAです。あの、青っぽいジャケットのやつがいちばんいいなあ。快眠。

仙台着は18時すこし前。勾当台公園の手前まで歩いて、まっすぐ会場を目指しました。本日はennにてキセルとオトナモードとドロノフネを鑑賞するのです。あらかじめローソンで買っておいた整理番号のないチケットを手に、待つこと10分ばかし。客層は20代中盤くらいの女子が多い感じ、でしょうか。全体的におとなしめな雰囲気。

まず一番手はドロノフネ。こないだいわきで見て以来すっかり好きになってしまって、実際のところ今日はこのひとたちを見に来たようなものだったりします。前回とは違う低いステージで我々聴衆と目線がほぼ同じ高さにあるため、演奏してる手元がよく見えました。左手でベースライン(※ドロノフネはベースレスバンドですので)、右手でメロを奏でる鍵盤のひとがめっぽう格好よくて、そのひとの左手ばかり見てた気がします。吸い寄せられます。いい音だなあ。本日の私的ハイライトは「回転球体」でした。ぐるぐると大きな円を描くように昇りつめていく、あのメロディの高揚感ったら!それから、最後の最後で「種子島」をやってくれたのが嬉しかったです。はやくアルバム聴きたいな。たのしみ。

次はオトナモード。ライブはおろか音を聴くのさえ今日が初めてで、予備知識一切なしのまま臨みました。暗闇の中でじんわり光る炎のような、張りつめた静けさとやわらかい暖かさを併せ持つ音という印象。それに、歌声がとてもきれいでした。触れた瞬間はひんやりとして、触れ続けたら次第に暖かみを持つベルベットみたいにふしぎな奥行きのある声です。目を閉じて頬やまぶたを撫でられてるみたいな音で、途中二度ほどふわふわ意識が飛んでしまいそうになりましたよ(眠たくなる、というのとはまた違った意味で)。生で聴くからこうまで気持ちいいのかもしれませんが、できることなら自分ちで、それも夜更けに強めの酒なぞ飲みながらゆるゆる聴きたい音だなあと思いました。ほわほわ。

最後はキセル。実を言うと初期の音源しか聴いたことがありませんで(以後興味がなくなった、というよりはファーストアルバム1枚で満足してしまいするめのように味わい続けていると言ったほうがいいような感じです)、どんなもんかと思いながら待ってましたがこれがとても素敵な演奏でした。メンバーは兄弟ふたり、あとは後ろでリズムトラックが流れてるだけの極ミニマム編成。正直な話、これまでキセルの歌については「味があるなあ」と思いこそすれ「上手いなあ」と思うことは一度もありませんでしたがそれは大きな誤りでした。生で聴くと、すごくすごく深くてよく通るんです。あの声ったら!CDでは高音部ばかりが響いてやたら寂しげではかなげで力弱いのに(というのはもしかしたらうちのスピーカーが悪いだけかもしれませんが)。びっくりしました。高田渡さんのカバーがよかったです。知ってる曲では「ベガ」と「ギンヤンマ」、それにまさかの「IN THE FLIGHT」をやってくれましたよ。関係ないけどキセル弟氏はワタナベイビーとナンチャンを足して薄めたような顔つきをしておられました。似てない兄弟だなあと思いました。

22時すぎ、雨の中を車で迎えに来てくれた相方と合流。なんて出来た夫なんだ、君は。ラーメン食べて部屋に戻り、テレビでくるり松尾スズキを見てそろそろ眠ろうと思います。ああ、いい一日だった。おやすみなさい。