almost everyday.

its a matter of taste, yeah

2010年第6回・さいきん買ったCD

19.ゲダウェイ / kokyu

「ジャズ、ヒップホップ、レゲエ、ハウス、アフロ・ビート、ファンク等のクラブミュージックを通過したサウンドを、ホーンやジャンベ二胡メロディオンスティールパンといった生楽器を取り入れながら演奏」
これは、kokyuのオフィシャルサイトに記された彼らのプロフィール文です。メンバー構成は声+ギター、鍵盤、アップライトベース、ドラム、テナーサックス、トランペット+パーカッションの6名。これだけ読んだら「それはどんなバンドなんだろう」と思いませんか。想像がつくようなつかないような、不思議な感じがするというか。
端的に言って、彼らの音は気持ちよいです。しかもそれは、初見の客をも引きずりこんで踊らせる力に満ちた、風通しよく開かれた気持ちよさです。自分の場合はネハンの対バンでたまたま彼らのステージを目にしたその1回で見事にノックアウトされてしまい、それ以後はスケジュールをくまなくチェックし可能な限りライブへ足を運んでいる次第であります。主催イベントの入場者向けに販売されたコンピ盤を夜な夜な聴き込み、you tubeのライブ音源をiPodに落としぐるぐるリピート、ついには三十路のくせに学園祭にまで駆けつけた*1自分にはもはや「待望の」としか言い表せない音源が、遂に出ました。本当に待った。ずっと待ってた。
その音源は、ライブでの定番曲を中心に全16曲収録の大ボリューム。贅沢すぎてくらくらします。くらくらしながら日々聴いてます。そして、聴いてると不意に思い出すことがあるんです。「赤い炎よりも実は、青い炎のほうが熱い」と教わったのはいつだったでしょう。中学校?小学校?
前述のとおり、彼らの音は気持ちよいです。ライブはさらに気持ちよく、しかも熱気に満ちています。しかし、演奏している当の本人たちに熱さもしくは暑苦しさのようなものはあまり見受けられません。もちろん演奏には気合いが漲っているのだし、奏でられる音はとてもとても気持ちがいい。にもかかわらず、彼らはその気持ちよさに没入したり溺れたりはしていないように見えます。ライブの最中、彼らの中では理性と快楽、抑制と解放、熱気と涼風、そういう相反する要素が激しくも静かにせめぎあっているのではないでしょうか。それはわたしに、暗闇の中で静かに燃える青くて熱い炎を想起ませます。そして、その感覚はライブでも音源でも変わりませんでした。彼らにとって名刺代わりの、それも現時点では最高の作品だと思います。今も聴いてる。たぶんしばらく、ずっと聴く。

*1:冷静に振り返ってみると、これ相当こわいですね。大丈夫か自分。