開場が押しに押して、中に入れたのは予定を40分も超した後でした。お店側の撤収時刻があらかじめ決められているからでしょうか、トップバッターの次松大助さんが演奏を始めたのはそのわずか5分後のこと。ドリンクオーダーの声が飛び交う場内に響く、流麗なピアノと小さなマリンバ。声があんまり伸びてない?と思ったらどうも体調がすぐれないようで、咳き込んだり鼻をかんだり「鼻セレブって舐めたことありますか?甘いんですよ」などと話したりしておられました。現在は仙台在住なのですね、知らなかった。また今度、万全のコンディションで聴ける機会があればいいなと思います。
次はオオルタイチ+ウタモ。ラップトップからリズムトラックを流してギターと鍵盤(サンプラーも?)を重ねる編成、初見ですがとても楽しかったです。1曲めが特に、座って聴いてるのがもったいないくらいきもちよかった。ジェーンズ・アディクションのカバーとか、バンドで聴いてみたいなあと思いました。それにしてもタイチさんは細いなあ。あと、カリカ家城さんとさとうたけるさんにちょっとずつ似てるなあと。そんなことない?
次はいよいよキセル。何年ぶりかでみるキセル。お兄ちゃんが歌いだした瞬間に場内の空気がさあっと変わる、それももちろんすごいのだけれどああでもやっぱり、二人の声が重なった瞬間がとんでもないなと思いました。空気ってこんなふうに震えるものだったっけ?という気がするほど得難いというか奇跡的というか、とにかく何だかすごいんでした。唯一無二ってこういうことじゃないかと思う。初期の「島根」や「ベガ」が聴けてとても嬉しかったです。本編終盤で披露された新曲も、とてもよかった。アンコールでは全員揃い踏み、加藤和彦さんのカバー。時間が押してあちこちばたばたしたのは残念だったけど、少なくとも歌が歌われている間だけはゆっくりじっくり暖かな時間が流れていたのがよかったです。もっとずっと聴いていたかった。終演後、友晴さんに握手をしていただいたとき、思いがけなく強い力でぎゅっと握り返してもらえたのもうれしかったな。