almost everyday.

its a matter of taste, yeah

私、オルガ・ヘプナロヴァー

  • 午後、フォーラムで私、オルガ・ヘプナロヴァー。これまでワンダノベンバーと素晴らしく刺さる作品を選んでこられたクレプスキュールフィルムさんの配給ならもう間違いないわ行く行く〜!とばかり上映を心待ちにしておりました。すべての情報をスクリーンから直に得たく、主人公オルガが死刑囚となった罪状その他あらゆる事前情報を絶って今日を迎えることができひとまずほっとしました。
  • 作風としてはかなり硬質なドキュメンタリータッチで、BGMがほぼ皆無(クラブで踊るシーンのみ)であるばかりか映像のエフェクト等装飾的演出をも徹底的に排除。深い絶望へと陥っていく主人公を悲劇的に描くのでもなく断罪するのでもなく、起きたことを時系列に沿って淡々と記録していく展開はおそろしく寡黙で冷徹とさえ呼べそうで、上映中ずっと「観ているこちらが試されている」という緊張感がありました。主人公への共感も周囲への同情も促さない演出は、観客であるわたしたちを「今はまだ加害者でも被害者でもない、ふとしたはずみでどちらにもなり得る存在」とみなしていると考えますが果たして。
  • 主人公オルガは終始猫背で無愛想で心のシャッター下ろしっぱなし、タバコか酒しか口にしておらずいっそやぶれかぶれに見えるのだけれど、意を決した後になってようやくまともにものを食べたり傍で眠るガールフレンドにそっとブランケットをかけてあげたりするんですよね。「ここで何とか引き返すことはできなかったのか、救う術はなかったのか」という強烈な悔しさと同じくらい「いったん腹を括ったらこうも穏やかに平らかになれるもんなのだな…」という脱力を伴う実感が湧いて止まりませんでした。これはきっと忘れられない感覚。
  • 光量が多く白っぽいモノクロ映像は運転席からの荒っぽく危なっかしい視点がとりわけスリリングだったし、漆黒の闇夜とのコントラストがひどく印象に残りました。パンフレットはこれから読みます。追加があればまた後で。おやすみなさい。