almost everyday.

its a matter of taste, yeah

NOVEMBER/ノベンバー

  • フォーラムでノベンバー。美しい水や雪や髪や瞳は眩しい光に包まれ、不穏な取引や飢えがもたらす醜い小競り合いは影や闇に覆われる奇妙な映画でした。白と黒だけでなく、その合間に数えきれないほどたくさんの色と質感があることをこれほど強烈に見せつけられたことはあまりなかったように思います。
  • 主人公をはじめ年若いキャストはみな美しく、そこに主眼を置けば耽美的ダークファンタジーに仕上げることもできたはず。にもかかわらず、日々の営みやごく小さなコミュニティのいざこざを生々しく描いていて民話的土着感もあり、上っ面が綺麗なだけじゃないたくましさやふてぶてしさ、更にはある種の可笑しみをも感じました。
  • とりわけ印象的だったのは、精神を宿した無機物であるクラットの動作音がハンスの奏でる口琴やめくれ上がるのこぎりの刃の音に呼応していたこと。さらには、不穏な場面に差しかかる際の劇伴がわりと派手めのギターリフであったこと。なんかもうあれよ、北欧の寒空の下、いかつい兄ちゃんがジョニデのディオールのCMよろしくキメキメにアンプ震わせる画が今にも浮かんできそうな音なんですよ。3度目あたりからはもう「ここ笑かそうとしてるよな…?」という疑問が半ば確信へと変わりました。美しさと図太さ、壮大さを拒むかのような矮小さ、ただの格好よさに何らかのオチをつけたがるサービス精神といった相反する要素が複雑に絡み合っててめちゃ好みの作風。奥行きがすごい。
  • 若者たちをめぐるすれ違いは抑制の効いた激情が行き交い、ベール越しに雨の夜を明かした主人公の笑顔がたまらなかったです。ひさしぶりに致死量の恋を浴びた…という満足感とも達成感とも異なる謎の感慨に胸を満たしつつ帰途につきました。また何か思い出したら追加します。
  • しもやけがいよいよシャレにならん勢いで悪化してきて、右手薬指と左手人差し指が赤黒い紫色。ついでに両足の小指付け根あたりにも不穏な違和感が出始めたので「これはいかん」と思い立ちTwitterに助けを求めました。ワクチン接種に備えて買った湿布の残りを貼りつけて映画を観ている間に腫れが少し収まったので、帰りにステロイド軟骨を買い手袋をはめて過ごしたら水疱になりかけの患部が幾分しぼんだ気が。ここまで短期間に強い症状が出たのは幼少期以来で、当時も特効薬には恵まれず*1ひたすら痒みに耐えていたのであまりの効き目にびっくりしています。ありがたや。おやすみなさい。

*1:鉢植えのアロエをぽきんと折って果肉を塗りつけたりしてました。ひんやりして気持ちよかったけど効いた覚えはありません