05.YUCK / YUCK
こないだ東京へ出張した際、ふらりと立ち寄った新宿タワーでひと耳惚れ。なにこれ、本当に2011年のバンドなの?ていう「何がどうとは言えないけれどいつかどこかで聴いたあの音、あの空気」をまとっているというか、遠い記憶の向こう側で見た青い空が裏ジャケにだぶるというか。
音も名前も聞いたことがないので調べてみたところ、数年前にアルバム一枚を発表したきりあっという間に解散してしまった高校生バンド・Cajun Dance Partyのメンバーが新たに始めたバンドなのだそう。…ということは、弱冠はたち前後にしてこの音を出してるのですか。いや、若いからこそこの音なのか。わからないけど、今後どういうふうになっていくのか興味深いです。
ただ、このバンド名についてひとつだけ。短くて覚えやすくていいことはいいんだけど、iTunes用にアートワークを調達すべく画像を検索してみたらどえらいことになりました。軽いトラウマ体験。心臓が弱い方は決してご覧になられませんよう。
06.COME TOGETHER/DANCING BABE / MONOBRIGHT
1月に見たヒダカ加入後初ライブ@仙台。それはそれは楽しそうなお祭り騒ぎで「これならひとまず安心できるかしら」と思える内容だったのです。それなのに。音源を聴いてこんなにも不安がつのるのは何故かしら。ああ、不安だ。すごく不安だ。
前作「淫ビテーションe.p.」からわずか2か月足らずでリリースされた音源は、タイアップてんこもりの両A面シングル。話題が尽きないのは喜ばしいことですが、かたやスカパーJリーグ中継イメージソング、かたや吉高由里子主演映画の主題歌およびそれに伴うコラボCMソングというこの豪快な振れ幅ったらどうでしょう。いいほうに捉えれば「やれる楽曲の幅が広い」とか「引き出しが多い」とかいうことになるのかもしれませんが、自分にはどうも「行き当たりばったり」とか「出たとこ勝負」とか、そういうハッタリ上等自転車操業にしか思えないのです。あるいは「ヒダカ加入で注目浴びてる今のうちに売れるだけ売っとけ」的なやっつけ感というか。
そういうふうに感じさせられてしまう大きな要因はただひとつ。ADVENTURE以前に比べると楽曲が、いやアレンジが、さらに的を絞って言うならリズム感ががらりと変わってしまった点に他なりません。ここ2作の楽曲テンポは、揃いも揃って何故あんなにもせわしないのか。単にビークル印と言ってしまえばそれまでなのかもしれないけれど、それがどうにも残念で仕方ないのです。小文字時代のmonobrightのあの、勢いは感じられるのに決して性急ではないいびつなタイム感。あれこそが彼らの個性、ひいてはアイデンティティとも呼べるもののひとつだったはずなのに、そこが均され凡庸な音になってしまったとため息をつくばかりです。前作ではまだ様子見のつもりでいたけれど、これはいよいよ本当にヤバいんじゃないかと思い始めました。桃野の声と松下のギターがなければ、これってほとんどビークルですもの。ああ、本当にどうなっちゃうのかしら。いっそのこともう、音源にはもう期待しないでライブだけを心待ちにすべきなのか。うーんうーん。