almost everyday.

its a matter of taste, yeah

ベクトルは振り切れた

  • いつもと同じ新幹線で出発。いつもと違うのは服装が休日モードであること、そして鞄のなかに東京行きのチケットがあることです。毎日降りる駅に着いてもうとうとしてたら同じ通勤経路のおじさまに「着いたよ?」と肩を揺すられ笑顔でお礼を。まさか「楽しんでおいで」なんて声をかけられるとは思いませんでした。ありがとうございます、優しいおじさま。
  • 東京到着後、かるく食べて皇居周りを散策しつつ国立近代美術館へ。現在開催中の展示「高松次郎ミステリーズ」を見に行きました。

  • 高松さんの作品を初めて見たのは10年以上前、いわき市立美術館コレクションの「影」シリーズでした。小さな作品はその後も何度か目にすることができたものの、個人名を冠した大規模な回顧展はこれが初めて。しかも、最も好きな「影」にまつわるラボまで用意されているというので、今回ばかりは何としても見に来たかったのです。会場に足を踏み入れた瞬間、あの影の大きな大きな現物に出迎えられてそれだけでもう泣きそうになってしまった。遂に夢が叶ってしまいました。そればかりか、この世界に自ら入り込むことができるなんて!

  • 光源の前に立ち、白いスクリーンにそれを投影することで高松作品を再現できる「影ラボ」のエリアだけは写真撮影が許されていたので、様々な立ち位置からの自撮りを試みました。早い時間に入場したおかげで、ここはほぼ完全に貸切状態。嬉しかったです。
  • 展示会場は年代ごとに3つのパート分けがなされており、若き日の展示には先日逝去された赤瀬川原平さんや中西夏之さんと活動を共にしていたハイレッド・センター関連のものもありました。哲学的な疑問や謎を謎のまま留めておくこととの距離のはかりかたなど、テーマとしては非常に難解であるはずなのに作品はどれも*1見るものの心を捉えやすい形を成しているのがおもしろい。
  • 中期は遠近法をテーマとした立体や写真、後期は平面、病床でのドローイングなどもあり。2012年に取り壊されたアトリエをほぼ原寸大に再現したというステージは、これら各時代の作品群をぐるりと俯瞰できる位置に据えられていました。とても素晴らしい展示だったのと、あまりに情報量が多すぎて頭がパンクしそうなのとでたまらず図録を買い求めあちこち確認。コレクション展も含めると、なんと3時間あまりずっと舐めるように作品を見てた。とても濃密な時間でした。
  • 美術館を出た後は本当にくたくたで、身体ではなく脳がエネルギー切れを起こしていました。食後は丸ビル、KITTEなど丸の内界隈をぐるり。かまわぬnugooで手ぬぐいを見て回ったり、ゆるキャラに誘われるまま北陸新幹線開業イベントに参加したり*2、宝塚コラボのクリスマスツリー前で「お願い、写真撮ってくださらない?」「わたしも!」と見知らぬおばさま方に何故かシャッター係を仰せつかったり*3しました。男女を問わず高齢者ウケ*4は抜群に良い、それがわたくしであります。たまにふと思うんだけど、これってわたし自身が高齢者になったらその時は一体どうなるんでしょうね。どうもしないか。うん。
  • それにしてもです。KITTE4階はあれですね、魅力的なお店が多すぎて怖いです。特に書店が凄い。マルノウチリーディングスタイルは書店・雑貨屋・カフェがひとつの店舗内にあって居心地がよくて、こんなお店が地元にあったら週一で通うわーと思いました。文庫本を別のカバーで覆い、窓に見立てた穴から裏表紙の解説だけを見せる謎めいた「飾り窓」シリーズ、誕生日別に作家を並べ、これまた別のカバーをつけて統一感を出した「バースデー文庫」は他に類を見ない切り口。いいなあ。いいなあ!なんて粋な発想なんだろ。
  • 19時、高円寺。Hi-5とテルスター、それにSUSAことSURFING in United States of Americaを見に行きました。

  • Hi-5はかれこれ10年以上前から偏愛し続けているバンド。近年は音源リリースもライブもめっきり少なくなりましたが、結成からずっと不動のメンバーで活動し続けている九州男児3ピースです。「懐かしいメンツが揃うので久しぶりの曲もやります」とは言え、まさか1stから"Trousers"が聴けるとは!
  • というのもですね。彼らはメンバーチェンジこそ行っていないものの、パートチェンジを一度経験しているのです。デビュー当時はベース・ドラム・鍵盤のギターレス編成でとても3人とは思えない爆音をぶちかましていましたが、あるときベースがギターへの転向を表明。以後、音割れ寸前のぶっとい低音は鳴りを潜め煌びやかな鍵盤が印象的なダンスミュージックへと変貌を遂げたのであります。
  • そんなひとたちがですよ。今のベースレス編成のまま、あの爆音泣きメロを奏でるわけですよ。そりゃ泣くよ。大泣きだよ。泣くけど踊るよ。ああ。ああ。来て良かった。ありがとうHi-5。セットリストはいつも楽しみに拝読してる徹平さんblogから拝借いたしました。こちらもありがとうございます!
    • 01.Vector
    • 02.universe
    • 03.TOKYO LIFE
    • 04.Trousers
    • 05.wonder in wonder time
    • 06.DISCO-SOUND-FEEDBACK-OK
    • 07.WICKED BEAT
  • 続くテルスターも、その長いキャリアにおいて一度もメンバーチェンジを行っていないバンドです。久々に見たらリズム隊のお二人にものすごい貫禄を見せつけられ、にもかかわらず増沢さんは相変わらず中学生のような見てくれなので時空が歪んだような気持ちにさせられました。遠目にはお父さんと息子に見えてもおかしくないような気がする。
  • レンタルズの1stが流れる中での転換を経て本番、しょっぱなから「手垢つきだ。」でわたくし本日二度めの大泣き。何故ってこれ、彼らの1stアルバムの曲なんですよ。それも1曲めなんですよ。そりゃあ泣くよ。大泣きだよ。うわあああん。
  • その後のセットも古参歓喜の必殺ラインナップで、「恐ろしく丁寧にやろう」などは何と8年ぶりだとか。ブレイクオフ!というサンプリング音声が増沢さんのiPhoneから発せられているという事実に時の流れを感じました。増沢さんは相変わらずステージでの動きが激しくて、眼鏡バンドを装着していたにもかかわらず終盤どこかへすっ飛ばしてました。さすがです。
  • 「理解者」「決意はあるのか」「違和感みたいなもの」「そのまま進むのだ」「追っかけ理想ゲーム」など、このひとたちの*5歌詞はいつも強烈に捻くれていて、それでいて熱くて、そういう相反する要素を隠そうとしないところがとても好きです。開き直りと往生際のわるさみたいなものを常に醒めた目で捉えていて、その腹の据わり具合が格好いい。地震の後、どうにか我に返れた頃に「前すら見えなくてもそのまま進む!」と歯を食いしばって働いてたのを思い出しました。あの頃の自分にとっては進軍ラッパみたいな存在だったんです、テルスターは。
  • SUSAは元ヨーグルト・プゥの井野さんのバンド。今日は新音源のレコ発ライブだそうで、この頃にはお客さんもかなり増えてました。前出の2バンドと共演してた頃は京都出身・眼鏡・スリーピースと既視感ばりばりの出で立ちだったわけなんだけど、今やメンバーも違うし眼鏡ですらなくなったのですね。ギターの女の子は元12月8日だそうで、ずいぶん前に見たことあるなーとこれまた懐かしく思ったりしました。
  • こういう名義でやるからには当然、あのバンドやあのバンドを意識してるのだろうなあ。と思っていたら、曲の緩急やコーラスにはっとさせられることが何度もありました。初見でも飽きさせない。終盤、コール&レスポンスを求める際にはあらかじめプリント(!)を配って練習させるなど並々ならぬ気合いを感じました。トリにふさわしいたっぷり1時間超のセット、楽しかったです。
  • Hi-5の未聴音源を買ってそそくさと会場を出た直後、身体が切実に水分と塩分を欲しているのを感じました。だよな。踊ったもんな、かなりがっつり。というわけでささっと汁物を摂取して本日の宿へ。万歩計つけてたら3万歩は行けてそうな金曜日でした。おやすみなさい。

*1:提示されたテーマに気づくか否かは別問題として

*2:クイズラリーで地酒をたんまり試飲した後キャラグッズまで貰った

*3:去り際に飴ちゃんをくれた

*4:だけ?

*5:というか主に横山さんの