- 予告編で見た洪水のようなめくるめく色彩に気圧されての初ホドロフスキー、エンドレス・ポエトリー。フォーラムにて。
- 故郷トコピージャから首都サンティアゴへ移り住んだ一家から出奔したホドロフスキーが、友情と恋愛といくつかの別れを経てパリへと旅立つまでの物語。ありとあらゆる虚構が手を替え品を替え観念的に描かれる、つまり「ちょっと何言ってるかわかんないっす」という画が矢継ぎ早にひたすら延々繰り出されるわけなんですが、そのどれもが変にとっつきやすくてすんなり腑に落ちるという不思議な体験をしました。いかにもゲージュツ、という高尚さや鼻持ちならなさを消し去るとともに、クスッと笑える愛すべき隙やグロテスクな皮肉を意図的に散りばめていたように思います。
- 御年88歳のホドロフスキーが己の青年期を生き直し、時に若き日の自分を鼓舞し叱咤し諌めるという構成。メインキャストに自分の息子たちを抜擢するという判断。母親と初恋の相手を同じ女優が一人二役で演じているという事実。どれをとっても強烈というか、情報量が多すぎて頭がくらくらしてきますがとりあえず、ものすごくおもしろかったです。普段あんまり表に出てこない感情の裏側というか奥底というか、そういうところをガツンガツンと2時間にわたりぶん殴られ続けたような衝撃。「なんで今?ここ?」と我ながら驚くタイミングで涙腺が決壊し、それが一体どんな種類の涙なのか見当もつかないままボロ泣きしました*1。それも二度ほど。
- 終映後、公式サイトの著名人コメントの錚々たる顔ぶれに田名網敬一氏の名前を見つけさもありなんと深く納得するなど。わたしにとって田名網さんは「SFAのHey Venus!の完全にいっちゃってるやべーアートワークを手がけたやべーやつ」という認識なのですが、そのえげつなさと本作とは完全に同じ方向を向いていると感じた次第であります。すごい。配給会社のコメント担当さんの慧眼が素晴らしい…!
- アーティスト: Super Furry Animals
- 出版社/メーカー: Rough Trade
- 発売日: 2009/11/02
- メディア: CD
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- Suckers!からBattersea Odysseyへの流れなんかもう、そのまま映画とシンクロしててもいいんじゃないかって気がするくらいトロトロのサイケデリア。脳汁じわじわ出てくる感じの白昼夢。さっきからもうずっとこれ聴いてます。というわけで、前編にあたるという「リアリティのダンス」もいずれ見ねばなるまいと気を昂ぶらせているところです。でも、これ、絶対にスクリーンで見なくちゃいけない類の映画ですよね。うーん悩ましい。
- ところで本日、野暮用にてオフでした。用事が早く済んだので、久しぶりに喫茶ホルンへ。
- 他ではついぞ見たことのない小豆とトマトのクリームカレーにチキンココナッツマサラ、食後にアルゼンチンのエル・セドロ。安定の美味しさ。二十六夜待ちは仙台でいつ上映されるのですか?と澁谷さんにお尋ねしたかった、けどできなかった…。勇気が出ません。くうう。
- 映画の後は勾当台公園に立ち寄り、リーフマンスのホットビールをひっかけつつ帰宅。いわばビールの熱燗。あったまります。あと1日働いたらまたお休み、気合い入れて稼いでまいりましょう。おやすみなさい。
*1:結局のところ、わたしは父の死に関する全てに未だ決着をつけきれずにいるのだと思います