65年前のきょう公開された東京物語を東京で。トークショーでの香川京子さん、輝くようにお美しかった…! https://t.co/SjSxxZhgNX (@ 角川シネマ有楽町 in 千代田区, 東京都) https://t.co/OWM3hUxCTZ pic.twitter.com/0ED3YY4ujr
— almost everyday. (@almost_everyday) 2018年11月3日
- というわけで、ただいま東京におります。不朽の名作として名高い本作を特別な日に見ることができた上、実際にご出演されている香川さんのトークショーに居合わせられるなんて…!たいへん畏れ多いです。なんという贅沢。
- まずは4Kリマスターとの触れ込み通り、映像がひたすら美しかったです。青空にはためく真っ白な洗濯物、戦後建築されたビル群の磨き上げられた窓、熱海の陽光きらめく海辺、尾道の町を走り抜ける列車の艶やかな車体そして黒煙。どれもこれもまるでつい昨日撮られたかのような質感。
- 自然光のもとで撮影されたこれらの映像のみならず、屋内セットにも印象的な場面が多々ありました。灯りを落とした部屋で眠りに就こうとする笠智衆の横顔は内側から発光しているかのように滑らかだったし*1、原節子の涙に至っては銀の雫のようにきらめいて見えました。あまりにも美しかった。
- 1953年と言えば戦後10年も経っておらず、太宰がこの世を去ってわずか5年後という頃合い。頭では理解しているはずなのに、いま目の前で繰り広げられているこの美しい映像がまさにその当時のものとは信じがたい思いでいっぱいでした。この映画が封切られた頃、父は次男の勇ちゃんくらいの歳だったんだよな…等と考えると次第に頭が混乱してきます。音が相応に古びているので時おり我に返るとは言え、終始時空が歪みっぱなしでした。
- 演出に関しては時代を感じるというか、老夫婦が交わす会話のシーンなどは特にのんびり好々爺然として昔話の絵本を朗読しているかのような雰囲気なのだけど、当時の世相を表しているであろう子供世代のセリフ回しが興味深かったです。特に杉村春子。とびきりテンポがよくて表情もくるくる変わるので、ひとりだけまったく別の演技プランを与えられているのではないかとさえ感じました。ポジションとしては憎まれ役にあたるのだけど、お母さんの体型をからかったり酔いつぶれたお父さんをバシバシ叩いたりする場面がいちいち笑いを誘うので、どうにもこうにも憎めない。このひとがスクリーンに現れるたび「来たぞ来たぞ」みたいな感じでわくわくしました。もっと観たいな。
- 映画のあとは谷中へ。古い友人が営むお店、今日は昼だけ開けているとの情報を得て連絡もなしにふらっと訪ねてみたのです。友人は不在ながらも楽しく昼酒をいただき「せっかく遠くからいらしてくださったんだし、マスターに連絡しますよ?」と残念がる店員さんを制して谷中銀座をひやかしに。
- 週末の谷中銀座がこれほどまでに賑わっているだなんて、地方住まいの自分は知る由もなかったわけです。細い通りの両側で、あらゆるお店が路面で何かを立ち売りしていて、老若男女が酒やつまみを片手にぶらぶらしてるだなんてここは天国か。
- 角打ちの酒屋さんで1杯500円の日本酒を頼んでみたところ、まさかのコップなみなみもっきり状態。これ、軽く1合超えてると思うんですが、本当に500円でいいんでしょうか…?当たり前のように美味いし、なんかもうスルスル飲めちゃう危険なやつだし!時間をかけてゆっくりゆっくりいただきました。美味しかった…。
- ここらで件の友人に、いちおう近くまで来た旨は伝えておこうと連絡したら光の速さで本人登場。のち、奥さま&常連さんを交えてふたたびお店で飲むことになりました。楽しすぎたし美味しすぎた。泥酔。おやすみなさい。
*1:そのせいで老け役がやや説得力を欠いた感すらある