almost everyday.

its a matter of taste, yeah

そばかす

  • 午後、チネでそばかす素敵なダイナマイトスキャンダルから早5年、いつか必ず観られるはずと確信していた三浦透子単独主演作が遂に来た!ってことでめちゃ期待してました。
  • 自信がなくて流されやすくて、背中を丸めて吸った煙草を吐き出す姿がやたらと様になっていて、お詫びはぺっこり45度どころか額が膝につくほど大仰。個々の仕草はあるあるだとしても、それらを一緒くたにしたら「こんな奴いねえよ」となりそうな人物像を「いろんな表情を併せ持つ、どこにでもいそうな30歳女性」として立ち上らせるさり気なさにまずは痺れました。巧いなあ。
  • 敢えて多くを語らずとも個々の置かれた状況や人となりが浮かび上がってくる脚本とカメラワークも好ましく、坂井真紀演じる母と仲人の会話のズレや三宅弘城演じる父の危なかっかしい縄跳びがとりわけ印象的でした。伊藤万理華は苛立ちを隠そうともしない演技が実に妹らしくて良いですね。逆にものすごくご機嫌でハッピーなお芝居も観てみたい。帰宅した主人公が玄関の扉を閉めるところを何度も繰り返し同じ角度から映し出す反復性とか、あらかた背景が見えてきたタイミングで履歴書を垂直に見下ろしてみせる手際のよさとか、結婚式の一連の長回しだとか、記憶に残る観せかたが至るところにあって見応えたっぷりでした。
  • そんなこんなで個人的に、前田敦子演じる同級生の長台詞からの主人公ポカーン顔あたりまではめちゃくちゃ好みの作風だったんです。が、彼女が「どんな人なのか」「それをどう描きたかったのか」ってところがどうにも腑に落ちないままでいます。登場シーンのいでたちからして、彼女をやや謎めいた魅力的な存在にしておきたい雰囲気は感じ取れたのですけども、それらを両立するのってきっとすごく難しいんだろうなと思ってしまいました。
  • 主人公からすれば「先生の理不尽な言いがかりから庇ってくれた大事な思い出」だった彼女が実際のところ「あの先生が嫌いで困らせてやりたかっただけ」というくだりである程度のオチはついているというか、今度は全く同じやり方で父親を困らせようとする辺りでまあお察しってことなんでしょうけど、父親のクソさが彼女の言葉と多様性への理解のなさから察せられるのみなもんで、単にワガママ娘がぶんむくれてキレ散らかしてるだけにしか見えないんですよね。どうしたって「父ちゃん、こんなふうに衆目環境で罵倒されるほどひでえ奴なの…?」という戸惑いが先に来てしまう。ここをもっと厚く描いてくれたらな、父親としての家庭でのあり方や弱者に目を向けようとしない傲慢さや友達を侮辱された怒りをトリガーに爆発してくれてたらこの役もっと輝いたんじゃね?という気がしてしまいました。
  • ここまで書いて気がついたけど、前田敦子さんも出てたじゃないですかダイナマイトスキャンダル!これは奇妙なご縁、それとも因縁?どっちでもいいや。そのパーソナリティーを最大限に活かしてもらえたバイプレイヤーとしての前田さんをもっと観てみたいです。その後の話はまた後で。