almost everyday.

its a matter of taste, yeah

イエスタデイ

  • いつかの代休でオフにつき、TOHOシネマズにてイエスタデイ。そこかしこに散りばめられたダニー・ボイル節というか手クセというか、具体的には最初のフェスのラリってるっぽいカット割りとか唐突にスクリーンを横切る文字列だとか、そういうあれこれがいちいちお家芸っぽくビシバシ決まるもんだから観ていてひたすらニヤニヤしっぱなしでした。楽しい…!荒唐無稽な設定にたった一人で放りこまれる主人公が、終始一貫して善良さを失わないのがとても良かったです。
  • こんな夢のような世界がずっと続くはずがない、いつかは全てが破綻する。そう思わせる伏線の張りかたや心理描写はきわめて手堅く、これって一体どうやってオチをつけるつもりなんだろう…?とハラハラしましたが、これはまた何と地に足のついたエンディング。果たしてそんな上手いこと行くもんかね?などと意地悪なことをちょっとくらいは思わないでもないけれど、スマートフォン&SNS文化から音楽マーケットのありようを戯画化しつつ一歩踏み込んでみせる姿勢はなかなか意欲的かもしれません。惜しむらくは2019年現在の音楽マーケットがサブスクリプションに取って代わられているという事実で、仮にもし本作がダウンロード販売全盛期に公開されていたならもっと喝采を浴びるに相応しいのでは、という気がします。
  • とりわけ印象的なのは、故郷のステージに立った主人公が大観衆の前でヘルプ!を歌う場面。オリジナルの軽快かつポップなアレンジはどこへやら、これ以上良心の呵責に耐えられないとばかり必死の形相で「僕を助けて!」と叫ぶ姿は胸に迫るものがありました。クライマックスのライブシーンはエド・シーランのライブとの兼ね合いもあってか演出が少々、いやかなり雑。せめてシールドくらい挿そうや。ホーンズ隊を呼んでることをマネージャーが知らないってのもありえないべ。…といった感じで終盤からエンディングがだいぶ駆け足というかやっつけになった感は否めませんが、前述のヘルプ!同様楽曲がどれもドンピシャの場面に配置されるので観ていてひたすら楽しかったです。端役の友人連中がどいつもこいつも憎めないダメダメ感を醸し出してるのもよかった。
  • 最後にひとつ。エド・シーランが主人公にとあるアイディアを授ける場面、あれは是非ともクリスピアン・ミルズfromクーラ・シェイカーに言及するネタを噛ませてほしかったぞ。とUKロック育ちの70年代生まれはそう思っています。ダニー・ボイルは今後も音楽ネタの映画をもりもり量産してほしい…!