almost everyday.

its a matter of taste, yeah

レディ・バード

  • 朝いち、フォーラムでレディ・バード20センチュリー・ウーマンで主人公のお姉さん的ポジションにあたるクールビューティを好演したグレタ・ガーウィグ初監督作とあって、ずいぶん前から公開を心待ちにしてました。すごくよかった…。
  • ストーリーは王道も王道、2002年つまり9.11後のアメリカ西海岸に暮らす高校3年生女子が恋や進路や友情や親との関係に悩むというもので、ここだけ見たらごく凡庸としか言いようがなさそうな気もします。が、出てくる全員誰もかれもが平熱のままゆるゆると生気を放って一筋縄ではいかなくて、何というかこう「フィクションの枠組みにすんなり収まる」ことを良しとしないんですね。誰もが善人、だけどちょっとだけ間が抜けてたり嘘つきだったりいけすかなかったりする。それがとてもありのままで、飾り気のない洗いざらしの綿シャツに袖を通した瞬間みたいな心地よさを感じたのでした。そうよね、日々の生活なんてそうそう上手く転がらないよね、うっかりとかやらかしとかバツの悪さとかそういう瞬間の繰り返しよね、みたいな。そういう日々の営みが軽やかなユーモアたっぷりに描かれているというか。
  • 本作を観たこの日にちょうど40歳の誕生日を迎えた身としては、あまりに記憶が遠く微かにぼやけてしまって思い出すのもひと苦労ではあるけれど、それでもやっぱりいちいち何だかぐっと来てしまうのでした。いや、どちらかと言うと素直になれないママや良き理解者であろうとするパパ寄りの目線なのかもしれない。仕事着を含め常に寒色系の服を身につけていたママが、別れのその日に限っては娘のピンクの髪を意識しているかのような装いだったりするところとか、もう、じわじわ泣けて胸が苦しかった。見返すほどに味わいが増しそう。
  • それはそうと「君の名前で僕を呼んで」であれほどまでに儚い子鹿のような主人公を演じてみせたティモシー・シャラメが、ここではスカした厭世的な意識高い系ヤリチンと化していたのでちょっと笑ってしまいました。公開順が逆でなくてよかった、本当に。いやマジで。
  • 先発は則本。初回からギアが上がりきってる則本なんて、いったいいつ以来…?という気がしてくるほどのっけからキレッキレでした。これを援護できない打線、さすがにそろそろいい加減奮起してくださいよ。お願いですから。田中は今日も気まぐれに絶好調でした。いいね!
  • とは言え、一方的なワンサイドゲームではなく最後の最後まで競り合った末に敗北を喫したあたり、喜ぶべきか悲しむべきか未だ判断がつかずにいます。やめて!逆頂上決戦、あわや3タテの危機とかいうのはやめといて!明日は勝ちたい。そろそろ勝とうよ、頼んだぞ美馬。おやすみなさい。