almost everyday.

its a matter of taste, yeah

タヒチにっきその4

5時頃、強い雨音でいちど目を覚ましました。風もだいぶ強いみたいだし今日は何もできなさそうだなぁと半ば諦めに近い気持ちでふたたび眠りについたのですが、2時間後にふたたび目覚めてみたらきれいに晴れてたのでびっくり。天気がくるくる変わります。これがあのスコールというやつですか。おお。
7時30分頃、朝食をとりにレストランへ。この日はパイナップルばかり食べてました。普段日本で食べるそれとは全く違って、ものすごくおいしいのです。あっさりしつつも深い甘みがあり、そして何より芯の近くを食べてもまったく歯にはさまらない!ちょっと感動しました。それから、さすがはフランス領。パンというパンすべてが外れなしに美味です。バゲットやプチフランスパンは外側ぱりっと中身はもっちり、デニッシュ類はバターたっぷりの濃厚な味がしました。他にも、タヒチ名産のバニラフレーバーが入ったヨーグルトやさっぱり味の白いハムなど美味しいものがたくさん。我々の間では、この島で不味いものを挙げるとすればそれはきっとコーヒーくらいのものだろう。という結論に落ち着きました。水のせいなのか何なのか理由はよくわかりませんが、ここで飲んだコーヒーはどれもなぜか2時間くらい煮詰めたような味がするのです。まあ、何もかもが美味いだなんて言ったらちょっと嘘っぽい気がするので、これくらいがちょうどいいのかも。
朝食後、バーカウンターに置いてあったimacをちょっとだけいじってみました。ここのパソコンは、テレホンカードを差し込めばいつでも自由に閲覧できる仕組みになっているみたいです。ほんのちょっとした出来心でつい自分のページのアドレスを入れてみたところ、見られない方がどうかしてるって話なのですがそれはともかくとして、ふつーにぺろんと見慣れたトップが表示されたので何だか感慨深くなりました。見ようと思えば見られるんだなぁ、と。本当に世界と繋がってるんだなーと思ったわけです。一応。
その後、部屋へ戻る途中でレセプションに立ち寄り、無料で貸出しているというシュノーケル用具一式を借りることに。・・・しかしやはり思うように言葉が通じず、困っていたところへ天の助けが現れました。日本語で楽しげに会話している女性連れ2名が!それに英語も堪能みたいです。恥をしのんでお願いしてみたところ、いともあっさり快く通訳を買って出ていただけたのでとてもうれしくなりました。水中メガネとバスタオルを二人ぶん抱え、何度もお礼を言って自室へ。いいひとたちでよかったです。ふうう。
この辺からまた雲行きがあやしくなってきたので、とりあえずベッドでうだうだと様子見。どうやらそのままとろとろと寝入ってしまったらしく(うたた寝大好きですので)、気付いたときにはすでに10時をまわってました。相方の姿が見当たらないところを見ると、きっと愛想つかして先に泳ぎに行ったのでしょう。カーテンを開けるとふたたび晴れ間が見えたので、こちらも急いで水着に着替えてひとまず海へ。テラスへ出ればすぐ海、というロケーションはやはり便利です。贅沢。
 
シュノーケルをするのはこれが初めてなので、息のしかたを覚えるまでが大変でした。が、慣れてしまえばこっちのもんです。波というのがほとんどなくて静かなので、何十分でもそのままぷかぷか浮いていられそうな気がします。気持ちいい。浅瀬をゆらりと泳いでいったら、珊瑚礁のかげにコバルトブルーやカナリヤ色やしましまもようの魚が見えてあんまりびっくりしたので、くわえてた筒を落っことしそうになりました。さらには自分のすぐ下を、エイがひらひら身体をめくりあげながら泳いでいったりして。すごすぎます。総天然色のリアル水族館。あまりにも現実離れしすぎていて、泳いでいる間じゅうずっと「これはたぶん夢なんだ」とぼんやり考えていたくらいです。時間を忘れてひたすら水底ばかり見てました。指先ふやけまくり。
ひとしきり泳いだあと、昼食をとりに外へ。ホテルのレストランだけじゃなくて違うところにも行ってみようよ、というわけで歩いて5分ほどのお店に出かけました。天気がよくて濡れた水着もすぐに乾いてしまうので、きのう買ったパレオだけ巻いて涼しい格好でてくてく歩きます。気持ちいい。

ここで相方はタリアテッレのナポリタン、わたしはマヒマヒのソテーを注文しました。マヒマヒは白身の魚で、温かい海でしか採れない種類らしいです。わたしはかつてハワイ料理店でマヒマヒロコモコを食べてすっかりこの魚のとりこになってしまったことがあるので、ひさびさの逢瀬によだれが出そうな勢いでした。ビール飲みつつ待ってたところへ現れたそれはバジルソースもこうばしく身が柔らかで、いくらでも食べられそうな気がしましたよ。お皿の縁にあしらわれたスパイスも絶妙な塩加減のフライドポテトも、何もかもが夢のように美味しいです。当然ながらビールもすすみます。思えばわたしは、昨日からずっと飲んでばかりです。暖かいせいなのか、いくら飲んでもするするとアルコールが抜けてしまうような気がするのですよ。というのはもちろんただの言い訳ですが。うふふ。
食事中、わりと激しい雨がふったので「これじゃ午後はもう泳げないなぁ」と思いながらぼんやり外を眺めていたのですが、帰るころにはすっかり晴れ間が戻ってました。なので再び海へ。何だかもう、ずっと海から出たくないような気分です。いつまでもここにいたい。とは言ってみても肺呼吸動物であるわたしの手足はすでにこれ以上ないほどふやけきっているわけで、事前に予約を入れておいたマッサージの時間も迫りつつあり名残を惜しみながらも部屋へ。泳いだあとの心地よい脱力感とかすかな怠さと身体の重たさは、どこへ行っても変わらないものだと思います。身体が冷たいのか温かいのかわからないようなあの感覚。
シャワーを浴びて髪を乾かし、そのまま部屋で待つこと数十分。道具一式を抱えてやってきたマッサージャー氏は欧米系のすらりと細い中年男性でした。てきぱきとマッサージ台を組み立て、まずは相方から施術を受けることに。背中にとろりとアロマオイルをたらした後でゆっくりやさしくもみほぐされていくさまは、見てるだけでもよだれが出そうに気持ちよさげです。事実、相方は15分もたたないうちにすーすー寝息をたてていました。30分後にわたしもまったく同じトリートメントを受けたのですが、身体ぜんぶがとろけてしまいそうにうっとりしましたよ。オイルがすごーくいい匂いです。市場でこれを見つけたらぜったいに買おう。ふはー。
終了後、余韻にどっぷり浸ったままでやはりそのまま昼寝に突入してしまったらしく、暇を持て余した相方がひとりで買い出しに出かけていたのを知ったときはさすがに驚きました。いったいどれだけ寝てたんだ、という話です。このあたりでまた雨が降りはじめ、それも先ほどのスコールとは違い本降りになってきたようなので「泳いでるときに降らなくてよかったね」「日頃の行いがいいんだよ多分」などと言いつつ喜び合いました。よかったよかった。
19時30分頃、レストランへ。昼間のマヒマヒがあまりにも美味しかったので味をしめ、ここでもまた注文することにしました。今度はバニラソース(!)のソテーです。特産品のバニラはお菓子だけでなく、こうして料理に使われることもあるのだとか。肝心のお味は、甘い匂いと濃厚なとろみが何とも不思議な口当たり。少なくとも、今まで一度も食べたことのない味です。いったいどうやって作ってるんだろう?相方はまぐろの刺身(!)のココナツソース和えを食べてました。半分に割ったココナツの実がそのまま器になっているという楽しい盛りつけ、お皿を前にしただけでテンション上がります。南国だなあ。それから、この日はレストランでミニライブが催されており、キーボードとマイク1本でささやかに歌われる「ホテルカリフォルニア」などをたのしみました。おいしいごはんとお酒と音楽。至福です。昼のあいだに泳ぎすぎたせいか、部屋へもどったらあっという間に眠気がきました。おやすみなさい。