そのひとはいつも、実現可能なことを論じる前に不可能なことをすべてシャットアウトする現実主義者で、理想を前面に押し出す案には必ず疑問を呈するペシミスティックな傾向があるのでした。であるからして、楽観的なものの考え方をすることはまずなく、いつも想像できうる最悪のケースを考え、その状況を回避できるよう先回りして準備を進める用心深さも兼ね備えています。そんな彼は自分の部下にはすこぶる厳しく、滅多なことでは褒めたりしません。そんな人にあるときふいに、予想だにしていなかった優しい言葉をかけられて、うれしいというよりはむしろ驚きのショックが強くて条件反射で涙が出てしまい、それも止まらなくなるという失態を演じるはめになりました。それと同時に情けなくなりました。他のシマの、それこそ鬼軍曹みたいな上司にまで気を遣わせてしまうわたしの現在のこの執務状況はいったいなんなのだと。さすがにもういい加減腹くくったから文句は言わないけど、これをやり終えたらその時はぜったい容赦しないぞと。今に見てやがれと。ここぞって時に守ってくれない上司になんてもう従わないのだ。人をバカにすんのもほどほどにしといてくださいよって話なのです。この一件で、自分の中のある部分がぱちんとはじけてしまった気がしました。もう元には戻れない。
いつものように居残りを終え、車を飛ばして3時間遅れで約束のお店へ。今日は友人がわたしの快気祝いを開いてくれていたのでした。ほとんど寝てないし心ん中はドス黒いものばかりだし、好きな人と会うにはまったく適さない状態だったにもかかわらず、やさしく相手してくれたあのひとたちに心からの感謝を。次はもっとまともな顔で会えればいいなと思います。おやすみなさい(今日も寝ないけどな!)。