almost everyday.

its a matter of taste, yeah

鉄道開業150年記念JR東日本パスで3日連続日帰り旅行

鉄道開業150年記念JR東日本パスの存在を知ったのは、冗談みたいに暑かった今年の夏もようやく終わろうかという頃。四半世紀ぶりに推しに会いに行く用事があり、乗車日1か月前から発売されるえきねっとトクだ値きっぷをぬかりなく手に入れるべく目を皿のようにしてモニタに張り付いていたところ、ふとそのアナウンスが目に留まりました(※トクだ値きっぷは別途購入できました。ありがとう30%オフ!)。
「…3日がかりで旅程を組むほど壮大なプランはないけど、このエリア内で個別に行きたいとこならちょいちょい心当たりあるな…人混み怖いし、平日だけなら意外にアリかも」と思い立ち、隣でうとうとしている夫に「ねえ、フリー切符で平日3日連続日帰り旅行ってどう思う?」と持ちかけてみたところ「へえ、おもしろそうだし行ってきてみてよ〜俺は行けないけど」との反応が。そんなこんなで半ばなし崩し的にひとり旅が決定しました。
当方、ただいま人生が夏休み中でして、働いてたらこんなの絶対無理に決まってるし「ここまで太っ腹な切符、おそらく滅多に出ないもんな〜次が200周年だとしたらまず生きてないし」という身も蓋もない見通しも大きな後押しとなったところです。そんなわけで以下、お世辞にも旅慣れてるとは言いがたい地方民(仙台在住)が日帰りであちこちふらふら出歩いてきたというただそれだけの話がひたすら延々続きます。長いです(URLを含め1万5千字超)。

第1日・二戸〜盛岡の巻

なんで二戸?

トリックアートが好きで、日本のエッシャーと呼ばれる福田繁雄の常設展示を18年ぶりに観に行きたいと思い立ちました。どうやら天気は良くなりそうとの予報も踏まえ、市街地をピンポイントで散策したのち盛岡にも立ち寄ろうというよくばりプランです。

仙台〜二戸の旅程

仙台-盛岡

この3日間で指定席を使えるのは4回まで。ただし全席指定のはやぶさ・こまちに限っては、一部座席指定なしで乗車できる特例が認められています。そのため、まずはやまびこで盛岡へ向かい、はやぶさに乗り換えて二戸を目指すことに。
平日とは言え、なるべく混雑を避けて移動したいので早めの新幹線に乗車します。よって仙台07:06発のやまびこ97号を狙うべく06:40頃に11番ホームへ赴いたところ、既に車両が到着していてびっくり。この時点でドアはまだ閉ざされたままでしたが、10分後の06:50には無事乗車できました。この時点では自由席にもまだ空きがありますね。各駅停車のためスーツや制服姿の人が多く、古川でどっと人が降りたので通勤・通学の足としての利用が多い便という印象。
それにしてもこの便、時刻表がほぼきっかり10分刻みで見てくれがとてもよろしいです。こういうの大好き。https://www.jreast-timetable.jp/2210/train/020/024951.html

盛岡-二戸

のりかえ時間は約30分。この時間を有効活用すべく、ホームを降りて改札内で朝ごはんを調達します。しかし盛岡、だいぶ寒い!周囲を見渡せば行き交う人たちの装いは既に薄手のダウンコート、底冷えのレベルが確実に上がったのを感じます。
ここで150周年パスの10%オフ特典が使えたらとっても嬉しかったのですけど、どうやらKIOSK以外のお弁当屋さんは対象外のよう。こういうところで足並みが揃わないとせっかくの旅情をごっそり削がれかねませんので、観光需要を頼りにされている皆々様におかれましては最大限のご配慮をお願いしたいところです。単純な話、萎えるんですわ〜「あの店はOK、この店はダメ」みたいな細かいルール、ただそれだけでものすごく。一事が万事よ!いや本当に。
それでいざ二戸行きの盛岡08:50発はやぶさ1号に乗り込んだところ、デッキまで人があふれる大混雑ぶりに驚愕。慌てて他の車両へ回るも当然ながら状況変わらず、途方に暮れつつお弁当を手に立ち尽くしてたら先頭座席のお兄さんとたまたま偶然目が合いました。ダメ元で「あのう、おとなり空いてますでしょうか…?」とおそるおそる尋ねてみたところ、奇跡的にニッコリ微笑んでいただけたのですぐさま着席。喜びのあまり思わず「めっちゃ混んでますね〜!」と話しかけてしまったのですが、お兄さんも割とノリよく「東京からの始発ですからね、ずっとこんな感じですよ〜」と返してくれました。なるほど、今後の参考になります。盛岡-二戸間の所要時間は20分あまり、大急ぎでお弁当をいただかなければ。どーん。

その名も鷄舞弁当。常日頃から鷄肉を愛してやまないわたしにはうってつけのセレクト…!甘辛く煮た鷄ももとたけのこは冷めてもおいしいやや強めの味つけ、付け合わせは錦糸卵に味噌しそ巻。おかずには笹かまも入っていて、やや宮城の風情も感じられる県境セレクトという趣でした。製造元は一関の斎藤松月堂さん、なるほど頷ける。美味しゅうございました。

二戸到着〜いつか来たあの場所

お弁当も食べ終え、無事二戸に到着。「あやうく立ったままお弁当平らげる羽目になるとこでした。助かりました!」とお兄さんにお礼を告げてまずは駅構内の観光協会へ。ここからがっつりアクティブに動き回るべく、まずはレンタサイクル「へのクル」をお借りします。
こちらのへのクルは料金前払い(現金のみ)でICカードを受け取り、返却時は自転車置場に設置された回収ボックスへカードを入れて手続完了というシステムです。楽ちん。よそものに優しいシステムだなあ、性善説で成り立ってるよなこれ…としみじみ感じ入りましたが、ICカードレンタル時には住所氏名をきっちり明記&身分証明書の提出まで求められるのでその辺だいぶ慎重に運用されてる感あります。料金は1日800円、駅東口と西口に各5台ずつ設置されているそう。二戸駅東口は比較的大規模と思われる工事の真っ最中、そばっち仕様の青いガードレールが愛らしいです。工事が終われば、今よりもっと明るく開放的な駅舎まわりが実現するのでしょう。ぜひまた来たいわ。
ここでちょっとした余談ですが、書類をしこしこ書いてるあいだ地元コミュニティFM(たぶん)から「ぼくらが旅に出る理由」が流れてきて静かにテンションぶち上がりました。曲のセレクトとタイミング〜!

まずは本日メインの目的地、福田繁雄デザイン館へ。複合施設である二戸シビックセンター全体をド派手に見守る国旗のモナリザ、庭に浮かび上がる田中館愛橘博士のトリックアート。これよ、これを直に体感したかったのよわたしは…!平日朝とあって他にお客さんの姿はなく、なんと終始貸切(!)にてすべての展示を堪能できてしまう最高に贅沢なひとときを過ごしました。「ランチはヘルメットをかぶって…」を再び目の当たりにできて心底嬉しかったし、「顔」にスポットを当てた企画展も見ごたえたっぷり。小ぢんまりとした静かな展示室ではありますが、作品から発せられる情報量がものすごいのであっという間に時間が過ぎていきます。惜しむらくは、展示室の出口に設置された最後の撮影可能スポットが一人では到底フレームに収まれない配置ってかそもそも自撮り困難なトリックアート体験コーナーだったこと…!いつだってまた来たいわ。

2door

ここでいったん来た道を引き返し、北のチョコレート工場こと2doorへ向かいます。2doorとは2(=二)door(=戸)、つまり二戸のこと。南部せんべいの大手・巖手屋さんが工場兼店舗として2016年にオープンしたという大型施設です。

工場見学に目がないわたくし、ガラスの向こうの製造工程に釘づけ。そしていざお目当ての南部ソフト(チョコ味・1日限定20本)をオーダー。さすがチョコレート工場を名乗るだけのことはある、この濃厚さよ…!ソフトクリームそのものがうっとりするほどなめらかなんですけど、コーンの中に詰まってるチョコレートソースがさらに凄いことになってました。これ何?生チョコ?ってくらい濃ゆいです。食べた後の満足感がすごい。ついでに黒ごま南部せんべいが突き刺さってるビジュアルもめちゃ強い。ごちそうさまでした!

南部美人

ここで再び来た道を引き返し、デザイン館のさらに向こう、川を超えた先を目指します。何故って?そこに二戸、ひいては岩手が誇る美酒こと南部美人が待っているから!

いやね、さっきレンタサイクルで手前のデザイン館まで来たときにふと思ったんですよ。「この距離&さほどキツくない高低差なら、駅まで普通に歩けるんじゃね…?つまり試飲ワンチャンあんじゃね?」って。たとえひと口でも飲んじゃったら最後、以後飲酒運転ダメゼッタイなわけで、帰りにチャリを押して歩いてでも行くよな!南部美人!という実感を踏まえた上でこの行程を採用するに至りました。いま店頭に出てるお酒ナンバーワンの大吟醸&既に四合瓶が完売してしまったひやおろしを各100円で試飲、大吟醸のふくよかさとひやおろしの清洌さを併せてばっちり堪能しました。現地でいただくお酒のなんと旨いことよ…!

お土産には店舗限定の木桶仕込みを購入、さらにへのクル利用特典として南部美人オリジナル手ぬぐいを頂戴してしまいました。…ええと、これ一枚でレンタル料金まるっと回収できちゃうどころか普通にお釣りが出るんですけど、これって一体どういう種類のバグなんですかね…?いや本当に、実際の収支どうなってんの?と心配になってくるいきおい。
さらに、お店の前には愛宕神社麓の湧水つまり南部美人の仕込水をご自由にどうぞスポットが。持参したマグボトルの白湯を慌てて一気に飲み下し、これ幸いとありがたいお水を頂戴してまいりました。ご近所にお住まいと思しきおばあちゃんが2リットルのペットボトルを手押し車に4本積んで汲みにいらしてたので、きっとものすごく美味しいに違いない…!と期待が高まります。
そうそう、こちらのおばあちゃんが「あたしこんだけ汲んでくけえね、お先にどうぞ」と何度も何度も先を促してくれてめちゃくちゃ優しかったんですよね(最後に折れて急いで給水)。さらに振り返ってみると、この界隈で道を渡ろうとしたら毎回毎回車がスッと停まってくれるもんで「いや待て、なんで皆さんこんなに心のゆとりがあるわけ…?」と軽く頭が混乱しましたっけね。道幅はゆったり広々としてるし、駅まわりなんか特に家と家との間隔が広くてお庭も綺麗なとこばっかだし、会う人会う人揃いも揃ってほわ〜んとのんびりした口調だし、ここはずいぶんのどかで穏やかなところみたいです。すてき。

二戸-盛岡

盛岡への折り返しには再びはやぶさを使う想定でしたが、朝の混雑ぶりにやや懲りたのとレンタサイクル(電動アシスト付き)で移動時間を大幅に短縮できたのとで、せっかくだからといわて銀河鉄道を使うことに。盛岡までは1時間ちょっと、ボックス席のおしりがじんわり暖かい幸せをかみしめつつのんびりゴトゴト運ばれました。
好摩駅の少し手前で見えた岩手山がとても綺麗で、少しだけ色づいた山裾と山頂近くの淡い雪がものすごく様になってたんですよね。車窓から撮影を試みるひとの姿もちらほら、もれなくわたしも停車の合間に連写。しかし当然ながら、この目で見た景色のほうがずっと何倍も素敵でした。雲のかかり具合がね、何だかすごく良かったんですよ。

盛岡到着〜忘れられない味

そんなこんなで盛岡到着。おいしい甘味も食べたことだし、ここはモリモリはりきって歩きます。まずは肴町のお茶とてつびん engawaへ。かつて仙台で紅茶のお店を開いていた店主が今は移住先の盛岡で腕をふるっていらっしゃるのですが、そこのナポリタンがそれはそれは美味しくてですね…!

つい先月岩手県立美術館を訪れた際も立ち寄ったばかりで、そのとき頂いたランチも絶品だったのですよね。しかしやはりこちらは別格。ただただ感無量でした。このところもうずっと何年も渇望していた美味しいナポリタン欲が、やっとやっと満たされた…!食後のアールグレイブルーオブロンドンも間違いない美味しさでした。また来ます!

ここからまさかの連敗

お腹も心も満たされた直後、これほどまでに手痛いショックを受けるなんて。というのも、先のお店から徒歩3分のところにある伝統建築物「茣蓙九(ござく)」の一角で角打ちができるというワインショップ・アッカトーネ539に立ち寄るのをめちゃ楽しみにしてたんです。が、いざ現地にたどり着いてみたらこの通り。本日はセミナー開催のため休業、ですって。ああなんてこと!

定休日が月曜という点のみを把握してすっかり安心しきってましたが、まさかの月いちイレギュラー休業日にぶち当たってしまうなんて…!くうう、こちらはまたのお楽しみにします。気を取り直して次の目的地へ。こちらはだいぶ距離がありそうなので循環バスを利用します。路線名がかわいい。でんでんむし号。

降り立ったバス停が「啄木新婚の家」なる聞き捨てならない名前だったので興味をひかれつい寄り道。リンク先によれば「新婚の啄木が明治38年から3週間ほど暮らした家で、現存する盛岡唯一の武家屋敷」ということらしいのですが、実質1か月足らずの仮住まいに過ぎない建造物を市内最後の1軒になるまで保存し続け、あまつさえ無料公開までしてる盛岡市ってばマジ律儀じゃね…?という感想が浮かんでくるばかりでした。いろんな意味ですごい。
そんなこんなでお目当ての福田パンにたどりついたのは15:30頃、まさかの完売閉店済みでがっくりうなだれましたよね。くうう、平日だからと油断していた…盛岡市民のソウルフードを甘くみるにも程があったよ…!と拳で腿を打ちなぐりつつとぼとぼと駅方面へ。悔やんでも悔やみきれない。悲しい。

盛岡-仙台


盛岡駅に着いてからはお土産調達&ちょい飲みハッピーアワー。ここがおそらく最後のチャンス、何とかして手に入らぬか福田パン!とフェザンをゴリゴリ徘徊し、銀河堂にて無事福田パンサンドを調達できました。具は海老アボカドにスモークサーモンの2種、もちろんいずれもお買い上げ。やったー!達成感に満たされつつふらり立ち寄ったのは日本酒バル、おまかせ日本酒をオーダーしたところ何故か岐阜のお酒が出てくる不思議な事態に。17:54発のやまびこ68号は帰りのラッシュが不安視されるも、当駅始発のため至極快適。朝はすっかり聴き逃してしまった水沢江刺の発着メロディもばっちり確認できて大満足でした。あー、楽しかった〜!

第2日・取手〜東京の巻

なんで取手?

キリンビールを愛するあまり、工場見学がライフワークと化しつつあります。2022年9月末現在、全国9か所のうち既に踏破済みの工場は北海道千歳、仙台(これまで何度も行きすぎてるのでリンク省略)、横浜神戸福岡の5か所。近いようでなかなか遠い、このためだけにえいやと足を伸ばすにはなかなかの勇気と時間と体力(そして運転手という名の生贄)を要するロケーションゆえ、東日本で唯一取りこぼしたままでいたのが取手工場です。この絶好の機会、逃してなるものか…!と武者震いしつつ見学予約を取り付けました。

仙台〜取手の旅程

仙台-東京

初日と同様、まずはやまびこで東京まで。昨日のはやぶさ1号の大混雑ぶりに少々、いやかなり恐れをなして05:40には13番線ホーム到着。当然ながらそこはまだ空っぽ、というかホーム全体がまだほぼ無人でした。さすがにビビりすぎかしら。その後05:55には無事乗車。そもそも昨日より1時間ほど発車時刻が早いためか、目立った混雑もなくたいへん快適です。宇都宮以降で通勤客がやや目立った程度かな?
ちなみに、昨日乗車したやまびこ97号ならびに122号(東京行き)は既にそれぞれ11番・14番ホームに鎮座ましましておられました。もしかして、車庫には戻らずこの場で夜を越してるの…?謎のまま。
ところで、首都圏にお住まいの方なら「行先が取手だったら乗換は上野で良くね?」と首を捻るところかもしれませんね。いいえ、東京方面へ向かう朝のわたしには目的地より先に向かうべき場所があるのです。どーん。

東京駅は改札内グランスタ地下、築地寿司清の朝食メニュー・鯛胡麻だれでございます。というのも前職での東京出張時、ここで朝ごはんを食べて気合いを入れるのが半ばルーティンと化しておりまして。鯛のお刺身と胡麻だれは言うに及ばず、炊き立てごはんもちょっとした付け合わせも抜群に美味しいのですよね…!ごはんに軽くひと振りされた白ごまは、ちょっと他ではお目にかかれないほど真っ白な粒に目をみはることうけあい。東京駅で朝の乗り換え機会などございましたら是非に。

東京-取手

こうしてきっちり腹ごしらえを済ませ、09:18発の土浦行き上野東京ラインに乗車。ラッシュ時からは完全に外れ、難なく着席することができました。ほっ。
時刻表を見てもあまりぴんと来なかった、というよりそもそもいわき以南の常磐線経路をさっぱり理解できないままでいるのですけど、車内アナウンスによればこの便は取手まで快速・のち各停になるそうで「へえ、そういう合わせ技もあるのか〜」といかにも地方民らしく感心したところです。生まれがまあまあ辺鄙なところで、快速と特急の区別さえおぼつかなかった程度には公共交通機関に縁のない生活を送ってましたっけね。ふふふ。

取手到着〜憧れの地へ

この先は路線バスに乗り換えて工場を目指します。取手駅西口2番のりばからJAとりで総合医療センター行きへ乗車し、4つ目の北中原が最寄りとのこと。ふむ。
ここで乗車までに20分ほどの待ち時間が生じまして、絶賛工事中の取手駅西口ロータリー(昨日は二戸、こういうのって続くときは続くよな…)にて規則的なドリルの轟音をバックに秋の陽射しを感じるなどしました。当たり前ですが仙台とも二戸とも盛岡とも違う、じりじりと背を灼くような強くて熱い夏寄りの光です。あらためて思う、日本って広いのね…縦に…。ふうう。
見学開始15分前に工場到着、エントランスに入るなり「ご予約の◯◯様でいらっしゃいますか?」と名指しで声をかけられ大いに驚くなど。先程バスに乗車した時点で薄々勘づいてはいたのだけれど、どうやらこの回は団体客ご一行が大多数を占め、わたしのようなソロ客は容易に特定が可能だったみたいです。そうは言っても初見でいきなりこのホスピタリティ、心を鷲掴みにされて当然というもの。しかし、取手工場のポテンシャルはまだまだこんなものではありませんでした。
というのも、手続きの傍ら挨拶程度の世間話としてぽろり口にした「オンザクラウド、シルクエール白発売に伴って終売になるんですよね?」という話題。これを受け「まあ、それは存じませんでした。最新情報をありがとうございます!」と応じてくださったスタッフさんが、その後見学開始と同時にスススと傍に寄ってきて「先程のオンザクラウドの件ですが、代官山店でのみ現在も提供可能とのことです。また、終売ではなく休売とも」とお伝えくださったではありませんか…!「代官山か〜遠いなー!」といったんは笑い飛ばしたものの、心の中で「いや待て、これは千載一遇のチャンスなのでは…?」という小さな炎が心の中に宿った瞬間でありました。詳細のちほど。

全ての説明を終えて分かったのは、これまで見学に参加したどの工場よりとにかく移動距離が短い!ということ。場内をバスで巡った福岡工場、複数施設を順繰り見ていく仙台工場とそれぞれ特色は異なるものの、煮沸釜の前からほぼ動かずにして素材・製法・パッケージに至るまで全ての説明が完結する工場はこれが初めてでした。パッケージ〜出荷に関しては動画による説明からVR体感タイムへと様変わりしていて、缶に詰められドナドナされるビールの気持ちが疑似体験できるいかにも令和っぽいギミックが楽しめます。あと、味と香りの体感コーナーで手渡される麦芽とホップの量が他より多かった気がする。太っ腹!

お待ちかねの試飲タイムは、いつものように一番搾りを一杯ごくり…からの3種テイスティングセミナーでした。おお、これもまた初めての体験。ここでプレミアム一番搾りが供されるのは福岡工場以来〜!ってことで大いに気分がブチ上がりました。改めて、こうして3種並べてみると個々の美味しさがより際立ちますね…!新たな試み、堪能しました。楽しかったです。
取手工場オリジナルグッズは特にないとのことですが、先程のスタッフさんのナイス対応に報いるべくどうにか金を落としたい…!査定か時給か分からないけど、何でもいいからとにかく評価アップに寄与したい…!という思いがほとばしり、レガートグラスと柿の種(それでなくても何故かおつまみ倍量キャンペーン中だとかで2袋提供されてました。やっぱり取手、太っ腹!)をお買い上げ。お土産にLINEお友達登録特典としてロンググラス&コースターのプレゼントもあり、至れり尽くせりの取手工場でした。ついでに取手駅〜工場間シャトルバスを運行してくださったら最高に嬉しいです!ありがとう、必ずやまた来たいよ取手工場。

取手-都内

12:45の路線バスで取手駅に戻り、12:59発快速で品川へ。取手駅周辺も事前にあれこれ調べることは調べたのですが、前述の経緯もあるし今回ばかりは申し訳ないがキリン推しで行かせてください。そんなこんなで脇目もふらず都内へとんぼ帰り。すまない。

都内にて〜幻かもしれないあの味

13:59品川到着、山手線に乗り換えて10分後には恵比寿駅、そこから歩いて代官山まで。恵比寿公園の先の急な坂をのぼり、14:30にはスプリングバレー東京へと到着できました。

シルクエール白発売とほぼ時を同じくして終売(DRIKX)がアナウンスされたオンザクラウド、どっちもちゃんとメニューに載ってるうううう!嬉しい〜!ってことで、まずは2種を各ハーフサイズでオーダーし、前者に合うとされるペアリングのオレンジサーモンマリネを合わせました。これがもうね、本当によく互いの味わいを引き立て合ってくれるのですよ…!おかげでビールの味の違いもより際立って大満足、次にいつ飲めるかわからないオンザクラウドをレギュラーサイズにておかわり。ごちそうさまでした。

東京-仙台

すっかり満足して15:15には恵比寿から山手線乗車。東京駅構内にて夜のおつまみがてら目をひく駅弁を買い、この秋冬のおやつにと日持ちする菓子を買い求めました。ホームに上がると16:00発のやまびこ・つばさがちょうど発車するところでこれ幸いと飛び乗って、17:00からのドラフト速報を横目にうとうとしながら帰途についた次第です。この日は何もかもが順調でした。素晴らしい。

第3日・新潟の巻

なんで新潟?

既にお気づきでしょうが、当方無類の酒好きにつき3日間のグランドフィナーレは酒どころ・新潟と心に決めておりました。ここであらためて各日の行程をおさらいしてみると、初日から3日めにかけて尻上がりに飲酒量が増加する構成となっております。ふふふ。

仙台〜新潟の旅程

仙台-大宮

ここに来て伝家の宝刀、もとい指定席カードをようやく使うことに。その筋の識者によれば「改札を出ない新幹線の乗り換えは(うまいことやれば)1回にまとめてカウントできる」という裏技的ライフハックも存在するらしいですが、ぶっちゃけ先の2日間でとっくに元は取れているのでもう満足です。ありがとうJR東日本
ついでにもうひとつ理由を挙げておくと、この日は行先が行先なもんで泥酔して足腰立たなくなる危険性もある、ってか大ありなので、ガチガチに予定を固めて早め早めの移動を心がけることによりそこらへんの諸問題をなるたけ遠ざけておきたいと考えた次第です。
というわけで、全日程中最も余裕をもって07:21発のはやぶさ102号に乗車。金曜とあって、大きなスーツケースを引いている人がずいぶん多いです。座席もほどほどに埋まっているものの、3人がけ席の真ん中は空席。ストレスフリー!

07:15頃にホームへ上ると、12番線から「試運転」のサインを点灯させた見慣れない銀色の車両がちょうど発車するところでした。車体には「ALFA-X」の文字、なんかもう見るからに速く走りそうだな…と思ったらこれが新型のE956形なのですね。大柄な外国人観光客さんが「ソオ〜〜〜クーーーーール!」って大はしゃぎしながらバシバシ写真撮りまくってて微笑ましかったです。朝からいいもの見たわ〜。

大宮-新潟

のりかえ時間は20分弱。08:49発のとき307号に乗り込みます。そろそろ朝食をとっておきたい頃合いではありますが、この2日間大いに食べて飲んでいるため空腹感がまるでありません。とは言え、この先電車を降りるまでお腹が空かないとは限らないし、それより何より空きっ腹に酒を流し込むのマジ危険〜!ってことでザバスとペパリーゼだけ買いました。KIOSK10%オフが地味にありがたい。
ところで、大宮駅を利用するのは4年前の西武戦以来です。新潟へ赴く機会も少ない上、新幹線での往復は初めて。何となく新鮮な気持ちで改札内を歩いていると、待合室の奥の壁画?モニュメント?に目が吸い寄せられました。

川の祭り、83年作。ボルダリングのホールドにも似たカラフルかつ立体的なレリーフはコンピューターで色分析がなされているとの説明が添えられています。当時としてはかなり先進的な取り組みだったのでしょう、遠くからでも「あれは何?」と興味をひかれる迫力でした。かっこいい。とき307号は満席御礼、頭上の棚にもスーツケースがぎっしり。東北新幹線ユーザーには目新しい「西Navi北陸」なる小冊子が旅情をさらに盛り上げてくれます。これは帰りにもらって帰ろう、たのしみ。長岡手前まではトンネル内を駆け抜ける時間が長く、ずっとうとうとして過ごしました。帰りはきっとここで寝落ちするんだろうな…。

新潟到着〜さらに北へ

10:27、新潟到着。そこから10:43発の白新線に乗り換えて新発田市へ向かいます。目指すは市島酒造改め王紋酒造、ことし社名を変更されたばかりだとか。駅から徒歩5分とのことで「改札出たら分かるかな?」くらいの感じで降り立ったのですが、ロータリーを出た瞬間に分かったわ。もう見るからに「ああアレだな」って感じの真新しい白壁がそびえ立ってました。どーん。

現行体制にリニューアル後のプロジェクションマッピングツアーには残念ながらタイミングが合わなかったので、カウンターでの有料試飲を。3種から選べるプランのうち、ここ新発田でしか飲めないという初代「秀松」飲みくらべをオーダーしました。

「左の『朱』から『山吹』、『藍』の順にお召し上がりください」との説明を受け仰せのとおり口に含んでみたところ、「朱」はこれぞまさしく新潟の酒っスね〜!という定番淡麗辛口。「山吹」でやや味のふくよかさが増し、「藍」が旨味の最高峰と全く違った味わいを楽しみことができました。器は燕三条製、お酒の冷気できりりと冷えて味覚がシャープになったような錯覚?が味わえます。

朱のザ・新潟なスッキリ感を堪能しつつ旅情をかみしめていたらスタッフさんが奈良漬やら何やらあれこれオマケしてくださったので興が乗り、王紋最高の一杯のうち「純米吟醸 大倉喜八郎」を追加オーダー。わたしの狭い観測範囲においては高知のcel-24でしか見たことのない香りの表現「メロン香」に期待を膨らませつつグラスを口に運びました。…華やか〜!すっかり満足してショップ内を見て回った際、値札を思わず二度見しましたよね。この試飲、お財布に優しいどころの話じゃなくてめちゃくちゃお値打ちだと思います。お土産には手ぬぐいを購入、それと1回400円の酒ガチャにて市島本醸造をゲット。ひゃっほう!

須坂屋そば 新潟駅前店

すっかりほろ酔いで13:00発の白新線に乗り込み新潟まで。いざ駅前に降り立ってみると一昨日の二戸、昨日の取手に引き続きまたしても工場中。お前もか新潟駅…それも明らかに規模が飛び抜けてデカい。二度あることは三度ある、それは分かるけど何なの?秋ってそういうシーズンだっけ?

お昼ごはんは駅前に出て大好物のへぎそば。遠くに磯が香るお蕎麦、いつか佐渡で食べて以来ずっと大好きなんです。これが小(1.5人前)とのことですが、ものの数分で胃に収まりましたよね。あっという間にそば湯までまるっと完食、ごちそうさまでした!

今代司酒造

15:00からは今代司酒造で酒蔵見学。こっちはあらかじめオンラインで予約できました。普段ガイドを担当されているスタッフさんがお休みとのことで、既にご勇退された元杜氏さん(!)が急遽ピンチヒッターをつとめられるという大変レアなタイミング。我ながら引きが強い。

元作り手ならではの小ネタを挟みつつ暖かみのあるトークにすっかり聴き入っていたら、30分の見学時間があっという間でした。今なお現役で使用されているという蛇管やタンクまで見せていただけて楽しかった、もっとあの場所にいたかった。無料試飲はノンアルコールの麹甘酒さ2種とひやおろし、もちろん足りるはずもなく流れるように有料試飲へ。1,000円ですべてのお酒が1杯ずついただけるとあって、慎重に舐めるようにして全種をぐるり1周しました。「コレ全部なみなみ飲んだら四合瓶超えますからね〜、お気をつけてどうぞ!」とのアドバイス、しっかり遵守いたしました。お土産に小瓶をひとつとおちょこを購入。

それにしても、この界隈の街並みはたいへん味わい深いですね。蔵から少し足をのばせば沼垂(ぬったり)テラス商店街、お味噌屋さんにレトロな銭湯!あいにく本日定休でしたが、開いてさえいれば確実にひとっ風呂キメてたところでした。いいなあ、めちゃくちゃ風情があるなあ!

ぽんしゅ館


最後の目的地はこちらです。言わずと知れた酒呑みの聖地、これにて五本締めと心に決めてメダルを5枚使いきった後、名物の爆弾おにぎり(銀鮭)を食べてフィニッシュ。注文してから握ってもらえる炊きたての新米、最高に美味しかったです。しあわせ。ごちそうさまでした。
ちなみに、このとき飲んだお酒のラインナップはこちら。

  1. のぱ(塩川酒造新潟市西区)

お猪口を鼻先に近づけただけでわかる、めちゃくちゃ華やかな香り。口に含むとふんわりした甘みが広がって、なんとも幸せな気持ちになれました。うっとり。

  1. COWBOY 山廃(塩川酒造新潟市西区)

こちらは山廃仕込み、どっしりした香りと旨味。ラベルだけ見て直感で選ぶというジャケ買いさながらのセレクトながら、偶然にも1杯めに選んだのぱと同じ蔵のお酒でした。なにその振れ幅!と大いにビビりましたよね。引き出しの多彩さがエグい。

  1. 鼓88(恩田酒造長岡市)

どっしり系をもひとついっとこ、と選んだのがこちら。その名が示すとおり、精米歩合は驚異の88%…!そんなすごいお酒がメダル1枚でいいんですか?本当に?と二度見しました。燻したような独特の香りがあって、これは確実につまみなしで飲むとヤベえやつだ…と確信。

  1. つなん 藍(津南酒造津南町)

ここでふたたび華やかタイプへ。フルーツみたいに爽やかな香りで飲み口がよく、それでいて旨味も感じられるいいとこ取りのお酒でした。「限定流通」のラベルが気になって調べてみたところ、以前は「霧の塔 吟醸酒」という名前で販売されていたようです。ふむふむ。

  1. 花越路(村祐酒造新潟市)

〆はこれ。アルコール度数13~14%と日本酒にしてはやや低めながら、ふんわり優しい香りと旨味が広がるお酒でした。余力があればもう1セットいっとく?という考えも頭をよぎらないことはありませんでしたが、我ながらバリエーション豊富なセレクトだったもんですっかり満足。おそらく新潟県外ではそうそうお目にかかれないであろう銘柄も堪能できて最高でした。

新潟-仙台

そんなこんなで駆け抜けた3日間、記憶が薄れないうちに18:54発のとき344号車内でこれを書いてます。無事家にたどり着くまでが旅行、まずはしっかり大宮で乗り換えを済ませなければ。後でまたいろいろ書いたり消したりすると思います。それではひとまず、おやすみなさい(2022年10月21日作成、同11月14日更新)。

後日追記~この旅程、通常料金でいくらかかる?~

早いもので、この記録を未完のまま放り投げて一ヶ月近く経ってしまいました。いかん、このままでは年を越してしまいかねない。ということで記憶が薄れゆく前に完結を目指します。
何としても検証しておきたかったのは、見出しの通り「これ、まともに運賃+特急料金支払うとしたらいったいどんだけかかったんだろう…?」という点について。ずらずら金額を羅列するのもアレなんで、えきねっとでざっくり検索した料金を次の一覧にまとめました。どーん。

…元とるどころか4倍近くになってるううう~!はちまんえん超え…?無理無理マジ無理ぜったいまともに払えない。最も移動距離が長く、かつ往復指定席を利用した最終日の新潟だけで4万円超ってのが格別ゴージャスだわあ~とあらためて実感しております。
これまでずっと行ってみたかったor再訪したかった場所をあちこち回れて最高に楽しかったし、全国旅行割的な恩恵に与らずともこれだけもろもろ得した感を味わえたという満足感も得られてたいへん嬉しかったです。JR東日本さま、ものすごく太っ腹な企画をありがとうございました。フル活用&めちゃくちゃ堪能させていただきました!