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its a matter of taste, yeah

世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ

  • 終業後、チネで世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ。政治家のドキュメンタリーというよりは単にクストリッツァの新作として公開を心待ちにしていて、どんなものかとわくわくしながら劇場に向かったわけなんですけど、いざ蓋を開けてみたらびっくりするほどいつものクストリッツァでした。動物がいる。歌がある。ほんの少しの毒とユーモアも。何よりホセ・ムヒカの人生がそっくりそのまま映画のように波乱万丈で、彼はただ少しばかりスクリーン映えするように手を貸しただけのように思えてくるほどでした。なんて粋なんだ。
  • つぶらな瞳にふわふわの銀髪、まるいお腹のホセ・ムヒカことぺぺ(愛称までもが愛らしい)は、例によって一切の予備知識を断って臨んだ身からするとコアラみたいにチャーミングなおじいちゃんにしか見えなくて、てっきり無実の罪か何かで思想犯として捕らえられたのだろうとばかり思ってました。が、実際には左翼ゲリラ組織の中心メンバーとして「接収」と呼ばれる活動にバリバリ従事しておられたそうで、何なら収監後はギネスに載るほど大規模な脱獄をかましたりもしちゃってて、何だよやることやってんじゃん!といちいちびっくりしながら観てました。そこから紆余曲折を経て大統領までのし上がったという事実が凄いし、ウルグアイという国の懐の深さが計り知れないし、そりゃもうこんなんクストリッツァにしたら大好物以外の何者でもないよな…と変に納得したりしたんでした。
  • ドキュメンタリーとしての優れた点は、大統領最後の日と私財を投じて設立した学校開校の日をピークとして彼の足跡を追う一方で矛盾や後悔をも包み隠さず描いてみせるところ。国民に愛される姿だけではなく、彼の政策に異を唱える人物をも収めたことで、作品としての厚みがぐっと増したのではないかしら。「大勢の国民に選ばれたなら、国民と同じ暮らしをするべきだ」という本人の言葉どおり、彼もまたひとりの国民であるという地に足のついた思想がすとんと腑に落ちました。
  • それにしてもああ、資本主義と社会民主主義の違いはもちろん理解しているはずなのだけれど、それにしたって「国」というものの定義があまりにもかけ離れていて口があんぐり開いてしまうのです。国を愛する気持ちそのものはわが国のトップもウルグアイもきっと同じはず、と信じたい。けれども、現政権にとって「国」とはすなわち威信でありメンツであり自分自身とその仲間たちのみであるのに対し、ぺぺにとっての「国」とは民に他ならない。その違いに何より愕然としたのでした。わたしは現政権が愛し守ろうとする国の一部ですらなかった。悲しい。色とりどりのペットボトルの蓋を並べて打ち込んだガーデンチェアが可愛かったな。


  • 朝ごはんは鹹豆漿と玄米甘酒、昼ごはんは豚汁定食。豚汁をひとり分だけつくるのは初めてですが、乾物を駆使すればわりと抵抗なくいけますね。コロナの影響で食生活が変わったところと言えば、季節の移り変わりもあるっちゃあるんだけど生の大根を買わなくなったことですね。切り干し大根の機動性とうま味にすっかり魅了されてしまった。おやすみなさい。