「活字はしばらくもういいかも」と言った舌の根も乾かぬうちに、ふたたび読書モードへ。死の棘があまりにヘヴィすぎた反動なのか、するするさらさらおいしい水を飲み干すみたいにぐんぐん読み進めてしまいました。活字のほうから目に飛び込んでくるような勢いです。前者が閉じてて（というよりは苛烈な現実にいっぱいいっぱいで身動きが取れなくて）後者が開いてる、という単純な違いだけではないけれど、こんなにもあたたかくやわらかい視点で綴られた話だとは想像してませんでした。それぞれの短編の登場人物が数珠繋ぎに登場する、ていうこの手法はたとえば吉田篤弘さんが得意とするところですが、読み進めるうちパズルのピースがきれいにぴったりはまるみたいなこの「繋がった！」ていう感覚はいちど覚えてしまったらもうやみつきだよなあ。上手いなあ。とあらためて思いました。好き。
